S.F.F.(1976)『Symphonic Pictures』最高の最高!!その②「TAO」以外の曲たち
「TAO」以外の曲たち
「TAO」ばかりが取り上げられがちだがな、息子よ。
このアルバムの本当の凄さは、その後ろに控えている曲たちにある。
この作品は、派手な一発勝負じゃない。
アルバム全体で一つの宇宙を描いている、そういう作りなんだ。
まず感じるのは、
「次はどう来る?」という期待を、決して裏切らない流れ。
曲と曲のつなぎが、とにかく自然だ。
プログレにありがちな
「ここから難解になりますよー」
みたいな嫌らしさがない。
音楽が、ちゃんと前に進んでいく。
中盤に入ると、ギターとキーボードの距離感が絶妙になってくる。
どっちかが前に出すぎない。
だけど、引きすぎてもいない。
ここがな、
いかにも 英国プログレを通過した連中 だな、と思わせるところだ。
技巧を誇示しない。
でも、引き算ができるほど、腕はある。
それから特筆すべきは、リズム隊 だ。
ドラムは終始、出しゃばらない。
だが、ずっと緊張感を保っている。
さっきも言ったが、
ビル・ブラッフォード的な
「歌を壊さないためのドラム」
その思想が、はっきり聴こえる。
ベースも同じだ。
音源はシンセだが、低音で威張らない。
でも、居なくなったら一気に崩れる。
この感じ、分かるだろ?
アルバム後半に行くにつれてな、
音はどんどん 静かに、深く なっていく。
そう、超大作のPICTURESだ
これはな、色んなアイディアが詰まっているんだ。
変拍子が変拍子を生みお互いにぶつかり合い、新たな展開にへと
いざなう。
そして、後半のピアノのソロパートでの安堵の表現
だが、それは、その後(あと)の期待と不安を示唆しているんだ。
もうな、鳥肌もんだよ。
参りました。SFF
間違いなく言えるのは、このメンバーの経歴は分からんがな、
音楽を良く知っている人たちだというのは良く分かる。
だからこそ、リズム、音、長さが、無駄なく構成されているんだよ。
それも、完璧にな。
そして、全編を通して残るのは、
「ああ……いい旅だったな」
っていう余韻だ。
そう、頭の中がいつの間にか宇宙旅行から帰ってきた気分になるんだ。
最後は、ちょっとやばかったけど、無事に帰ってこれたよーみたいなさ。
だから、これを聴きゃぁな、高い金出して宇宙になんか行かなくても良いんだよ。
違うか? あ、ほめ過ぎ?
さあ、締めだぞ。
正直に言うとだな。
このアルバムには
誰もが口ずさめる大ヒット曲は無い。
でもな、
何十年経っても、ふと思い出してまた聴きたくなる音
それが詰まっている。
だから俺は言うぞ。
この 『Symphonic Pictures』 は、
プログレが「終わり始めた」と言われた時代に、
静かに、しかし確実に灯っていた一つの恒星 だ。
派手じゃない。
だが、消えない。
……まだ語り足りんが、
これだけは言わせてくれ。
これはな、ドイツ音楽史上に燦然と輝く最高のアルバムだ!
以上だ
息子よ
