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初めての相撲巡業 「1977郡山体育館」 プチ観戦記

郡山体育館と、二人の力士

俺が高校生の時の話だ。
郡山体育館に大相撲の巡業が来たんだ。

当然、チケットは買った。滅多に来るもんじゃないからな。
電車で駅まで行って、そこから歩いて会場へ向かった。

するとだ——当たり前のように、お相撲さんがそこら中にいるんだ。

ああ、巡業ってこういうもんなんだな、と妙に感心したのを覚えている。

入口付近に立っていると、地元力士の〇〇関が、すたすたと入ってきた。
よし来た、とばかりに、俺は事前に用意していた色紙とマジックを差し出して、サインをお願いした。

その瞬間だ。

「あー? ふん!」

軽く、手で色紙を押しのけられた。

俺は、ショックだったんだ。まだまだ、純粋な時期だったからな。
因みに、色紙は落としてはいない。

うるせーな、とでも言わんばかりの仕草だった。
俺は一瞬、何が起きたのか分からず、ただ立ち尽くした。

そして彼は、そのまま何事もなかったかのように、スタスタと去っていった。

——ショックだった。かなりな。

地元力士で、応援していたんだぞ?
それがこの扱いかよ、ってな。

この時点で、俺の中では彼は「奴」に格下げされた。

忙しいのは分かる。
だがな、断り方ってもんがあるだろう?

息子よ。
俺はこの時、奴には悪いが、「ああいう振る舞いを平気で出来る人間にはなりたくない」と、二度目の反面教師を学んだんだ。
一度目は、お前のアル中爺さんだがな。

——そんなことがあった直後だ。

今度は人気力士の増位山が入ってきた。

俺は懲りずに、またサインをお願いした。

するとどうだ。
彼は、にこやかに色紙を受け取り、ちゃんとサインをしてくれたんだ。

嬉しかったよ。

初めて手に入れた、有名人のサイン色紙だったからな。

さっきの「奴」とは、まさに雲泥の差。
この二人の対応の違いで、この時にまた一つ学んだんだ。

世の中には、色んな人間性の大人がいる——ってな。

さて、巡業の話に戻るがな。
これは、いわゆる「花相撲」だ。本気の勝負じゃない。

初っ切りで笑いを取り、取組もある程度は段取り通り。
勝敗も、ある意味“お約束”だ。

だが、それでいいんだ。

これは興行であり、ファンサービスだからな。

当時の顔ぶれは豪華だったぞ。
輪島、若三杉、北の湖、貴乃花、富士桜、麒麟児——

どうだ、錚々たるメンバーだろう。
……まあ、知らんかもしれんがな。

その中で、俺が一番驚いたのは、輪島の下半身だ。

あれはな、もう芸術だ。

明らかに他の力士とは別もんだった。

どっしりとした腰回りに、引き締まった太ももと足首。
明らかに、他の力士とは別格の肉体だった。

本当に、美しかった。

そしてもう一つ。

貴乃花だ。

とにかく、イケメンだった。
俳優かと思うくらい、格好いい。

ここだけスポットライトが当たっている感覚。俳優でも飯を食えただろうね。

そりゃ人気出るわな、と妙に納得したもんだ。
今は、こういう佇まいの力士は居ない。

さらにだ。
お目当てだった若三杉とも、トイレで遭遇した。

これがまた、なかなかのイケメンでな。
肌がやけに白くて、妙に印象に残っている。

実際に見ると分かる。
お相撲さんってのは、皆どこかしら“美しい”んだ。
この時には、入場しょっぱなに喰らった「奴」
の事は、すっかり忘れていた。

そんなこんなで花相撲を見終えて、
俺は増位山のサイン色紙を抱えたまま、家路についた。

あの日のことはな、今でもはっきり覚えている。

余談だが、
俺が東京にいる時に、山手線にある幕内力士が一人で乗っていたんだ。
目の前にいた。
驚いたのはな、その顔の大きさだ。
普通の人間の3倍はある感じに見えた。

この体験を会社の後輩に話したら全然信じてくれなかったんだ。

ところが、この後輩、後日だが、東京駅で
当時の人気横綱と遭遇したらしい。
そいつの第一声
「〇〇さん、俺、東京駅で〇〇〇見ましたよ。
本当に4倍くらい大きかった!」
「な、だろう?」と俺

だが、お相撲さんの名誉のために言っておく。

顔だけ大きい訳ではなく、体も大きいから、お相撲さんは。^^


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