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AIと大喜利で壁打ちしていたら、世界が生き始めた。



最初は、ただ大喜利のネタを増やしたかっただけでした。

ChatGPTへ、

とんでもない魔王城の特徴は?

と投げて、返ってきた答えに、

「求人票にしたら面白そう」

「次は社内連絡にしてみよう」

「敗北報告書ならどうなる?」

と返していきました。

そうして生まれたのが、前回の記事です。

『AIと魔王城で大喜利してたら、そこで誰かが働き始めた。』

求人票や社内連絡、敗北報告書、口コミ、館内放送。

同じ「とんでもない魔王城」というお題でも、書き方を変えると違う景色が見えました。

最初は、その違いが面白かっただけです。

でも、形式を変えながら遊んでいるうちに、妙なことが起きました。

魔王城の中に、魔王や勇者ではない人たちが見え始めたのです。

受付をする人。

壊れた壁を直す人。

報告書を書く人。

昼休みを取る人。

勇者が来た翌朝も、また出勤する人。

その時、私は思いました。

この人たち、ちゃんと働いている。

そこから、大喜利が少しずつ別のものへ変わり始めました。



第1世代

面白い答えではなく、面白い「器」を探した

最初に見えてきたのは、答えそのものより、答えを入れる形式の違いでした。

普通に、

とんでもない魔王城の特徴は?

と答えるだけなら、一行の大喜利になります。

でも、それを求人票にすると、

募集職種:魔王軍一般兵
福利厚生:勇者が来なかった日は定時退社

のように、魔王城が急に会社らしくなります。

退職者口コミにすると、

福利厚生は良いですが、最終決戦が多いです。

となる。

社内連絡にすると、

本日の勇者対応について
四天王の皆さまは、昼休み終了後に玉座の間へ集合してください。

となる。

同じお題でも、形式を変えると、視点も説明の量もオチの場所も変わりました。

どうやら私の場合、答えを考える前に形式を変えた方が、次の発想が出やすいようでした。

私はこの段階を、AIのモデル世代ではなく、壁打ちの中で創作の育ち方が変わった区切りとして、勝手に「第1世代」と呼ぶようになりました。



第2世代

魔王城の中に、本当にありそうなものを探し始めた


求人票や口コミを増やしているうちに、次の疑問が出てきました。

魔王城には、他にどんな書類があるんだろう。

そこから、答えを考えるのではなく、魔王城の内部を探し始めました。

たとえば、

* 勇者接近警報
* 四天王敗北理由報告書
* 宝箱設置申請書
* 魔物再配置希望届
* 新人魔物研修資料
* ドロップアイテム返還申請書

最初は、架空の書類を増やしているだけでした。

けれど、書類が増えるほど、こんなことが気になり始めます。

誰がこれを書いているのか。
誰が読んでいるのか。
誰に見られたくないのか。

「四天王敗北理由報告書」があるなら、敗北は珍しい事故ではありません。

報告書として処理される程度には、何度も起きています。

「魔物再配置希望届」があるなら、敗北した魔物にも、その後の勤務先があるのかもしれません。

第一希望はきっと、

勇者が来ない階。

「宝箱設置申請書」があるなら、宝箱は誰かが勝手に置いているのではありません。

中身、罠、照明、配置。

勇者が開けたくなる見せ方まで、担当部署が審査しているのかもしれません。

「今日は静かですね」

そんな挨拶が、一番怖い職場なのかもしれない。

ここで魔王城は、ただの舞台ではなくなりました。

人物や場所だけでなく、書類や通知、記録まで見えるようになり、魔王城が少しずつ立体になっていきました。



第3世代

書類の奥にある制度と生活を考え始め


次に気になったのは、

なぜ、その書類が必要なのか。

ということでした。

たとえば、魔王城には「勇者対応順位制度」があるとします。

勇者が侵入した時、誰が最初に戦うかを、

* 戦闘評価
* 勤務成績
* 忠誠度
* 過去の勝率

によって決める制度です。

弱い魔物を無秩序に犠牲にしないためには、合理的な制度に見えます。

でも、優秀な魔物ほど先に勇者と戦わされるなら、どうなるでしょう。

きっと、全員が少しだけ手を抜き始めます。

強いと評価されたくない。

昇進したくない。

目立ちたくない。

ここで、笑いのつもりだった話が、少しだけ静かになりました。

制度は、強い魔物を選ぶために作られた。

けれど、その制度があることで、強い魔物ほど力を隠すようになる。

この制度にも、作られた理由があるはずです。

昔、上司に嫌われた魔物や、身寄りのない新人が、実力に関係なく最初に勇者へ差し出されていたのかもしれない。

だから、公平な評価制度が作られた。

その制度で救われる人がいる一方で、時間がたつと別の人がこぼれ、現場には制度を避ける独自の習慣が生まれていきました。

その習慣の中で育った新人にとっては、それが最初から当たり前になります。

ここで、世界に時間が流れ始めました。



世界観は、設定の数だけではなかった

以前の私は、世界観を作るというと、

国の名前。

魔法の種類。

城の構造。

種族。

歴史年表。

そんな設定を増やすことだと思っていました。

もちろん、それも世界観です。

でも今回、AIと大喜利で壁打ちをしていて、別の世界観が見えました。

その世界の人が、毎朝何を確認するか。

失敗した時、どんな書類を書くか。

誰が責任を取るか。

何を口にしないか。

退職する人へ、どんな言葉をかけるか。

修繕係の朝は、昨日勇者に壊された扉の木っ端を拾うところから始まる。

そんな生活の積み重ねも、世界観でした。

魔王がどれほど強いかより、

勇者が去ったあとに、何が残るのか。

今回は、その方が世界を生きているように感じました。



やっていたのは、問いを返すことでした

私は最初から、

世界観を作ろう。

第3世代まで進化させよう。

と考えていたわけではありません。

返ってきた案を見ながら、

「別の形式ならどうなる?」

「この書類は誰が書くの?」

「なぜこの制度があるの?」

「この制度で困る人は?」

と、問いを返し続けました。

AIが案を出す。

私が選ぶ。

違う方向へ振る。

面白い部分を残す。

少し違うと思ったら削る。

続きを見たくなったら、もう一度問いを返す。

その往復の中で、最初にはなかった構造が見えてきました。

だからこれは、

AIに世界観を書いてもらった話というより、

AIと遊んでいたら、世界観が生まれる瞬間に立ち会った話

に近いです。



大喜利は、ここで終わるはずだった

ここで一度、完成したと思いました。

大喜利から世界観が生まれた。

それだけでも、十分に面白い体験でした。

けれど、この世界を眺めているうちに、一つ気になることが出てきました。

勇者対応順位制度の中で、誰かが本当の強さを隠しているとしたら。

自分が高く評価されると、仲間まで前線へ送られてしまうから。

その一人が現れた瞬間、世界観が物語へ変わり始めました。

第4世代が、見えました。

大喜利は、まだ終わっていませんでした。

続きます。



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