サロン楽屋話085:「悩まない」は才能ではない──集中が悩みを消す仕組み(連載その2)
悩みが多い人ほど、煩雑に考えすぎてしまう。でも、悩まない人も、「考えない」わけではありません。むしろ、ちゃんと悩んだ経験があるからこそ、悩みに囚われなくなる。鈍感だからではなく、今、ここ、この瞬間に、鋭く集中しているのです。「悩まない」は性格ではない。それは、だれでも身につけられる技術です。
▶悩みやすさは、欠点ではない
連載その1では、鈍感と敏感、タフとガラスのハートについて、関係性を整理しました。
ここで言う「悩まない」とは、悩みが存在しない状態のことではありません。
悩みはあっても、注意がそこに貼りついていない状態。
それを、ここでは「悩まない」と呼んでいます。
鈍いから、タフなのではありません。
繊細さんだから、気にしいなのでもありません。
むしろ正反対の相関なのでしたね。
一般にもてはやされる鈍感力は、鈍いというより、転じて「タフ」のことを言っている。
むしろ繊細さんはポテンシャルに恵まれているという話でした。
▶「四球を出さない」は、気合いの成果ではなかった
それらを踏まえて今回は、こちらを題材に取り上げます。
シーズンを振り返って四球の少ない好投を演じた阪神・大竹耕太郎は、こう伝えました。
「今こうやって言われて、そうなんだって感じ。意識はなかったですね」
98イニングを投げて、与えた四球はわずか7個――
とはいえ「意識はなかった」というのです。
ノーヒットノーランを「意識」したら、かえって打たれてしまうのと同じように、四球を出さないように意識したら、フォアボールを出してしまうのが、努力逆転の法則というものでしょう(関連記事「好調が崩れた誘因」)。
「フォアボールを出さないようにしよう」
そうやって意識すれば意識するほど、フォアボールを、出してしまうのです(関連記事「願えば願うほど、反対の結果が出る」)。
▶気にするほど、上手くいかない理由
なぜ、意識するとミスが出てしまうのか?
なぜならば――
大竹がメンタルを勉強して分かったと言うとおり、「人間の脳みそは否定形を理解できない」からです。
よーく、聴いてくださいね。
そう、お願いしたにも関わらず、あなたは青い象について、考えてしまいましたね(残念!)。
▶だから繊細さん(HSP)は、ポテンシャルが高い
ただ、記事の中で個人的に引っかかったのは、四球を気にしないことを「鈍感力」と、捉えているところ。
それは、前回の文脈に即して言えば、精神的に「タフ」なのであって、感覚(五感)が鈍感なわけではないはずです。
ドラマ『ビーチボーイズ』で、春子(稲森いずみ)が言いました。
「悩みがないのと、悩まないってのは違うんだなぁ……分かる?」
悩みがないのは、悩みがあっても気づかない鈍感。
悩まないのは、気づいているけど悩まないという選択肢を取れる敏感。
悩むのが人です。
敏感な人は、悩むときには悩みに向き合えます。
悩みながら、人は成長します(関連記事「『悩みがない』と『悩まない』は違う」)。
だから繊細さん(HSP)は、ポテンシャルが高いのです。
▶敏感さは、集中に変えられる
いたずらに悩んでしまわないためには、敏感になることです。
「僕は四球がどうとかではなく、どうやって抑えようかなと考えることに重きを置いています」
と大竹がインタビューで答えたとおり、抑えることへ「敏感になる」と、四球について、「悩まない」相関です。
言い換えれば、今・ここ・この瞬間の「どうやって抑えようか」に集中すると、未来の「僕は四球がどうとか」について、もはや考えられなくなるのです。
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