テニス上達メモ505.テニスボール統一論、いよいよ現実味? プロですら惑う、跳ね、飛び、打感
▶“このボール、おかしいわ”──ヒンギス、即座にやり直しを要求
ボールのシーズン内統一が検討されているそうですね。
https://news.tennis365.net/news/today/202506/153014.html
それだけ、ボールが及ぼすプレーへの影響は大きい。
大きさ、重さ、弾みなどが後述する規格内にすべて収まってはいたとしても、ボールメーカーの特徴に応じて飛びや硬さの違いがあります。
あるいは同じメーカーでも、シリーズによってはフィーリングに差異があります。
それくらい、テニスボールというのは“微妙”。
リクリエーションでもない限り、ガスが抜けて内圧の下がったペコ球や、圧の入っていないノンプレで、プレーしている場合ではないのです(関連記事「ボールは『取り扱い要注意』」)。
そんなことになったらマルチナ・ヒンギスに、ポイントの「やり直し」を命じられます(関連記事「さんまさんほど振り切れる?」)。
https://youtu.be/idTndG1QPxQ?t=1280
▶ボールの裏切りに、追いかける手が届かなかった……
このポイントでヒンギスがボールに追いつけなかったのは、明石家さんまさんのストレートが鋭かったから?
あるいは所詮エキジビションなので、本気でボールを追わなかったから?
違いますよね。
イメージが揺らいだからです。
ヒンギスでさえ、現実に対するイメージのズレが生じると、思うようにプレーできないのです(関連記事「ズレたイメージの前では、人は無力」)。
逆に言えばテニス愛好家も、距離と時間と走力のバランスからして取れているはずのボールなのに、イメージのズレがあるせいで、取り損なうミスも少なくないのです。
▶「なぜそのボール、追わなかったの???」
たとえばパートナーの前衛がサイドを抜かれたストレート。
逆サイドへ走り込めば後衛のあなたは取れたかもしれないのに、なぜかボールを「追わなかった」というより、「追えなかった」ご経験はないですか?
たとえ取れなかったとしても、せめて全力を尽くすために追いかけるくらいはできたはず。
ところがイメージがズレていると、頭では分かっていても、体が思うように動いてくれません。
そんな今までは届かなかったボールにも、現実とイメージが一致すれば、余裕で間に合うようになったりもするのです。
▶余裕でボールに追いつく人の秘密
足の速さは変わらなくても、現実とイメージの一致が図られると、遠くて速いボールにも追いつける。
ご自身の周りにも、きっといると思います。
頑張って走っているようには見えないのに、むしろゆっくりスーッと動いているようにも映るのに、なぜかボールのところにいつもいるプレーヤー(関連記事「どうやったら、こういう余裕のあるプレイが出来るようになるの?」)。
逆に言えばイメージのズレがあるうちは、せっかく追いつく足があっても合理的・能率的に動けないから、ドタバタと慌ただしく動く割に追いつけないから、あたかも運動神経が悪いような気がしてしまうのです。
上記の例で言えば、まるでヒンギスの足が遅いように、見えてしまうのです。
えぇ、確かにヒンギスは、スプリント的には決して足の速いプレーヤーでもなかったのですけれども、現実に対するイメージの精度が著しく高かったため、次のように称えられたそうです。
She’s not the fastest runner, but she’s always in the right place at the right time.”
(彼女は足が一番速いわけではないが、いつも適切な時に、適切な場所にいる)
▶「PLAY+STAY」も使い方しだい
254±0.3センチメートルの高さからコンクリート然とした硬質な平面上に自然落下させて跳ね上がったボールの下端が135センチメートル以上147センチメートル以下に収まらなければならない規格の定めがある以上、「PLAY+STAY」みたいにジュニア育成のためなど意図した目的でもない限り、ルールに適合しないボールは、もはやテニスですらありません。
私も「回転の味見」を試してもらうために「PLAY+STAY」を紹介したりもしますが、それで成人プレーヤーが初心者でもない限り、いたずらにラリーしてよいと言っているわけではありません。
自覚的に使うならば、プレーの難易度を下げて楽しむぶんには有効ではあるものの、無自覚なまま乱用すれば、むしろイメージのズレが拡大する懸念すらあるのです。
ですからボールは、テニスを現実どおりにプレーできるようになるためのプライオレティワン。
ボール統一の記事に関して、ネットの一部コメントが面白く、なるほど、その関心の高さにうならされます。
▶プレッシャー・ライズド・ボールは廃止!?
いわく廃棄ロスのためにノンプレを進化させる「プレッシャー・ライズド・ボール廃止論」もあれば、「ノンプレのコアで同じ弾みを実現したとしても、フェルトがもたないから結局、圧が抜けようと抜けまいと廃棄になる」とする反論もある(関連記事「『プレッシャー・ライズド・ボール』を甘く見ない」)。
ただし今の製造技術であれば毛羽が飛び散らないボールも開発可能なのだけれど、すると今度は毛羽立ちが過ぎてソフトボール大にもなるからボールは、鶴の恩返しよろしく毛を削ってそのサイズを規格内に留める生き物のように健気な側面もあったりするのです(関連記事「『ボールに集中するための世界でいちばん簡単な方法』」)。
※まだまだ跳ね続けるボールの話。
続きは明日公開予定の『サロン楽屋話』にて。
即効テニス上達のコツ TENNIS ZERO
(テニスゼロ)
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テニスゼロ代表
吉田無型(よしだ・むけい)
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