サロン楽屋話012.NHK『百聞はジッケンに如かず』(選択の摩訶不思議)、“後付け再構成”の謎に迫る!
▶選んでるつもり、選ばされてるかも?
NHKの『百聞はジッケンに如かず』。
こちらでも参考にさせていただきましたが、主観的に面白いと感じる実証科学バラエティー番組です。
先日のテーマは「選択の摩訶不思議」。
https://www.nhk.jp/p/ts/9VMQVJNZPL/episode/te/4V4YJP6ZWN/
今回の楽屋話は長くなるので結論から先に言うと、私たちは「自分の意志で選んでいない」ようなのです。
選んだ理由は、玉川大学脳科学研究所の松田哲也教授によれば、「後付け再構成」なるもの。
どういうことでしょうか?
▶“好きじゃない”のに気になる?
2枚の似ている顔写真を瞬間的に交互に見せて、どちらが好みかを被験者が答える実験。
「私がこちらを選んだのは、男らしいから」「優しそうだから」「口角が上がっているから」などと、あたかも熟慮して選んだ理由を説明します。
しかし選んだ顔写真とは逆(つまり好みじゃないほう)を選んだと見せかける騙しの実験をしてみても、被験者は自分が選んだ好みの理由について、スラスラと説明し出したのです!
つまり選んだ時点では「男らしいから」「優しそうだから」「口角が上がっているから」などという言語化は、できていなかった。
言い換えれば、「何も考えていなかった」のです。
選ぶ理由は自分の意志で熟慮したのではなく、そのときは直感だったのであり、理由は「後付けによる再構成」だったから、「自分で選んでいない」と推論されるというのです。
番組の説明はこちらが詳しいようです。
https://nhk.shigeyuki.net/?p=6576#google_vignette
▶なんで私、この人と結婚したんだっけ?(笑)
要は、嘘を見せても選んだ理由をスラスラ答えられるということは、先に考えてから選んだのではなくて、選んだ後になぜなのかの理由について考えたという理論らしいのです。
私なりに言い換えると、「正当化」なのかも知れません。
「なぜこんなものを買ってしまったんだろう?」という経験が、誰しも一度や二度はあると思います。
買い物の失敗を認めたくないから、「安かったから」「便利そうだから」「予備として」などという理由をつけて正当化するといった感じだと思います。
「なぜこんな夫と結婚したのだろう?」とご婦人が顧みるならば、いやはや、「後付け再構成」を学ぶチャンスかも知れません(苦笑)
▶同じ打ち方なのに…コーチAとBで評価が真逆?
なるほどテニス指導でも、ミスしたときのフォームを見たコーチが、「ヒザを曲げていなかったからだ!」「前に突っ込みすぎ!」「左手が死んでいる!」などと、そのときどきの理由を説明しますね。
しかしそれは、後づけ。
たとえ同じフォームだったとしても、ミスしなかったら「それでいい!」という逆の評価になる矛盾は、テニスレッスンの日常茶飯事だからです(関連記事「フォーム指導で上手くいった!?」)。
同じ打ち方をしたつもりでも、コーチAとBでは評価が真逆だったり???
コーチ自身は、指導力の承認欲求が満たされてご満悦かもしれないけれど、生徒さんは混乱するだけです。
▶正論ばかりのフォーム指導が、あなたを惑わせる
フォーム解説の後づけ理論については、これまでにも再三お伝えしてきました(関連記事「すべての技術的アドバイスは『後づけ』である(自分の宝の見つけ方)」)。
「フェデラーは肩を入れている!」
「ナダルは腰をローテーション!」
「ジョコビッチは運動連鎖だ!」
そう、後づけなのだから、フォーム解説は間違えようがありません。
言い換えれば、すべて正解。
だから皆さん、うっかり騙されるのです(関連記事「『納得』するから『錯覚』する」)。
▶悩んだら負け。“直感”が正解
さて本題です。
今回お伝えしたいのは、選択するにあたって直感と熟慮はケースバイケースであり、「8~9割は直感である」と番組が伝えた結論、に対する異論(反論というわけではありません)。
というのも熟慮も細分化すると、直感なのではないでしょうか?
マルチタスクも細分化すればシングルタスクの集まりなのと同じです(関連記事「『一時にひとつ』が原理原則」)。
なぜなら直感も熟慮も、単に時間の「長さ」の違いだから。
つまり量の差であり、質は同じです。
表現の違いだけですべて「直感」。
ここに、テニス上達のヒントがあります。
▶思考は「降ってくる」ものだから
こういうと、「え!?」と思われるかもしれません。
その「え!?」も、直感だったのであり、「どうなんだろう?」「違うんじゃないかな?」などという思考が、次から次へと出てきて、あたかも「熟慮」のように感じられてくるかもしれないけれど、それら「どうなんだろう?」「違うんじゃないかな?」も、突き詰めれば「直感の連続」だったのではないでしょうか?
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スポーツ教育にはびこる「フォーム指導」のあり方を是正し、「イメージ」と「集中力」を以ってドラマチックな上達を図る情報提供。従来のウェブ版を改め、最新の研究成果を大幅に加筆した「note版アップデートエディション」です 。https://twitter.com/tenniszero
