イップス克服に向けて032:勝敗よりも普段に近い形でプレーできることがなにより嬉しかった
「もうテニスを辞めようか……」
そんな絶望から生還し、団体戦で準優勝を果たした物語。
『テニス・ベースメソッド』が解き明かす、ベストを尽くせるようになるための「ズレ」の正体とは。
(※抜粋して掲載)
吉田様
ご丁寧にご返信いただきありがとうございます。
これで、全巻購入です。今日の団体戦に向けて…。
いつもなら、チームの仲間に迷惑かける、
イップスを知らないみんなが見て、どう思うだろうとか考えながらやってましたし、
何でもないボールも、相手コートに返らない自分をさらけだしてし、惨めな思いをしていたので、
しばらく試合にはでなかったのですが、
イップスがほぼ解消しましたし、練習ではフォアもドンピシャのタイミングで打ててましたので、
何か試したくて仕方ありませんでした。
結果は準優勝できました!
団体戦なので、いつも以上に人の目が気になりましたが、コートに入れば、ボールへの集中で
全く気にならず、清々しい気持ちで出来ました。
最後は負けましたが、5-7でかなりの接戦で
今までとは明らかに違って練習に近い自分でプレーできました。勝敗よりも普段に近い形でプレーできることがなにより嬉しかったです。
ただ、やはりフォアは少しタイミングがズレてドンピシャではなかったですが、これは先日アドバイスいただいた通り、いろんなボールを打つことで治っていく気がします。
何とお礼を申し上げてよいのやら。私のテニス熱を再び呼び戻していただきました。本当にありがとうございました。
これからも、よろしくお願い致します。
※※
回答
▶あなたの喜びが、誰かの救いになる
冒頭から堅苦しい話で恐縮ですが、大変な社会貢献です。
なぜかというと、ご自身としては意識していようと、いまいと、その、イキイキとしたご活躍が、その、文面からほとばしる喜びが、その、冷めかけたテニス熱の再燃が、今現在、イップスに悩んでいる人々の、もう、テニスを辞めてしまおうかと絶望しそうなプレーヤーたちの、大変な励みになっているからです。
▶「もがく姿」がドキュメンタリー
社会で生きる以上、どんな人にも役割があると思っています(社会で役割がないのが最もつらい)。
イップスなら、イップスからの回復を果たすプロセスの歩みが、社会貢献となるでしょう。
ドキュメンタリー番組が、心を打つようなもの。
その奮闘ぶりが、人々の励みになっています。
精神的のみならず、イップスの人には「テニス肘」も少なくないはずですから、ご自身が自覚していようといまいと、フィジカル的につらい思いをしている人々の希望にもなっています。
▶スコア以上に価値ある「5-7」
「5-7」ですか。
どちらに転んでも、おかしくない内容でした。
つい先日までイップスだった人が、試合に出るというだけでも、その勇気は尊敬に値します。
しかも団体戦。
プロでも、国別対抗戦には、ツアーを回るのとは違う特別な重圧があるといいます。
おっしゃるとおり勝敗よりも、普段に近い形でプレーできる喜びは、イップスからの「生還者」ならば、ひとしおだったのではないでしょうか。
▶半分も実力を出せない「テニスの特殊性」
イップスに限らず、全力を出し切って負けるならまだしも、テニスというのは普段の力の半分も出せない敗戦も、少なくありません(関連記事「テニスは初心者ほど『涼しい顔』をしている」)。
100メートル走や、相撲、サッカー、ラグビーなどは、基本的に、「やれるだけのことはやる」でしょう。
しかしテニスに限っては、全力で力いっぱい、打ったり走ったりすればいいというものでもなく、普段やれることの半分すらできない「もどかしさ」が、口惜しいのだと思います。
▶イメージのズレを埋めれば、世界は変わる
その理由は、すでにお分かりです。
現実に対するイメージがズレると、もはや「テニスにならん」のです。
そのズレを、『ベースメソッド』で埋めていただきました。
ズレさえなくなれば、勝つか負けるかは別にして、やれるだけのことをやれます。
とはいえ全力を出し切れるから、勝つ可能性は必然的に高まりますし、負けても、むしろ清々しい。
ボクシングで死闘を繰り広げたあと、敗者が勝者を称えて肩車したくなるリスペクトに似ています(笑)。
▶『ベースメソッド』は必勝法ではない
勝つか負けるかは、この際、わきへ置いておきます。
『ベースメソッド』は、「必勝法」を語る本ではありません。
もしこの世に必勝法なるものがあるとするならば、それを使った者同士が戦えばどちらが勝つのかという、矛盾の語源になってしまいます。
『ベースメソッド』に、嘘や、非科学的な話は、一切出てきませんでした。
魔法ではないのです。
しかし、魔法のような驚きがあります(関連ページ「魔法や必勝法じゃない。それでも驚くほど上達する『ベースメソッド』」P.177)。
▶過去の自分に別れを告げる
「相手コートに返らない自分をさらけ出して、惨めな思いをしていた」のは、すでに過去。
ですから、確信とともに申し上げるのです。
『ベースメソッド』以前の競技成績は、「参考記録」程度でしかありません。
それは、本来のご実力ではなかったのです。
▶「自分史上最高の運動神経」へ
テニスって、お便りにもあったとおり「何でもないボール」であってもイメージがズレると、平気でミスします。
『ベースメソッド』以降は、「自分史上最高の運動神経」になる。
世界が一変すると言っても、過言ではありません。
次々と記録を塗り替えていく人生が、いよいよ、これから始まります。
先日もある方に申し上げました。
今日という日が残りの人生でいちばん若い――。
▶新たなテニスライフのはじまり
改めましてイップスからの準優勝、優勝は逃しましたが、まずはおめでとうございます。
繰り返しになりますが、イップスからの生還が、同じ境遇の人々を、どれほど勇気づけるか。
大変な社会貢献です。
▼『テニス・ベースメソッド――フォームを直さない上達論』

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テニスゼロ代表 吉田無型(よしだ・むけい)
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スポーツ教育にはびこる「フォーム指導」のあり方を是正し、「イメージ」と「集中力」を以ってドラマチックな上達を図る情報提供。従来のウェブ版を改め、最新の研究成果を大幅に加筆した「note版アップデートエディション」です 。https://twitter.com/tenniszero