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テニス上達メモ156.「できること」ではなく、「できないこと」に目を向ける


▶「分かりやすい参考書」を選ぶ罠


子どものころ、本屋で立ち読みしながら参考書を選ぶにあたって、自分の「できる問題」が載っている参考書を選ぼうとした経験はないでしょうか?
 
「あ、この問題について詳しく書かれていて、分かりやすいし、良さそうだ」などと判断してしまう。
 
もちろんこれは、能力を伸ばす選び方ではありませんよね。
 
自分ができる問題なのだから、分かるのは当然ですし、良さそうだと好意を寄せてしまいやすいのです
 

▶能力を伸ばすためにできること


しかしその参考書に載っている問題をいくら繰り返し解いて、解説文を読んだとしても、能力は向上しません。
 
すでにできている問題だからです。
 
だから改めて取り組んで、正解したりすると、心地よく感じたりもする。
 
しかし本当に能力を伸ばすためには、「できない問題」が載っている参考書を選ばなければなりません
 

▶「これはダメだ」が「実はいい」?


今の時点で一読(立ち読み)するだけだと、「解説も分かりにくいし、これはダメだ」などと判断してしまう参考書こそ、能力を伸ばします。
 
とはいえそんな問題ばかりが載っている参考書は、自分にとって心地よく感じません
 
むしろまるで、自分の能力を否定されているかのように感じられたりしがちではないでしょうか?
 

▶ラリー・ステファンキの教え

 
ジョン・マッケンローをはじめ、エフゲニー・カフェルニコフ、マルセロ・リオス、ティム・ヘンマン、アンディ・ロディックなど数々の名選手をコーチとして歴任したラリー・ステファンキは次のように言っているそうです。

「Get out of your comfort zone.」(自分の心地よいゾーンから出なくてはならない) 

http://newyork.blog.tennis365.net/archives/article/192237.htmlより引用

また次のようにも語っているそうです。 

「カンフォート・ゾーンを出てみなければ、真の自分のテニスのレベルは分からない。ロシアに行く。ヨーロッパに行く。アフリカに行ってみる。いろんなところで劣悪ボールを打って、凸凹のコートでプレーして、ひどいアンパイアのもとで戦って初めて、自分がどれだけプレーできるのか分かってくる」

http://newyork.blog.tennis365.net/archives/article/192237.htmlより引用

▶変わらざるを得ない環境へ


私たちはすでにできることを繰り返しやって、「できる心地よい安心感」を得たいのかもしれません。
 
しかしそれでは、能力は伸びない。
 
能力を伸ばすには、「今はまだできないアンコンフォートな心地よくない新たな経験」が必要なのかもしれません
 
ステファンキの言う「Get out of your comfort zone.」です。
 
その試みは確かに、最初だけは大変なのだけれど、言い方を変えれば「最初だけ」です。
 
快適領域からひとたび出てしまえば、変わらざるを得ず、適応によりそれにも慣れてくるから、いやが応にも進化成長が見込めるというわけです(関連記事「『テニス』も『年収』も上がるコンフォートゾーン脱出法」)。
 
そしてそこに、為末大の言う「『今の人生』の横に走っている『別の人生』がある」のかもしれないと思います(関連記事「リア充なんて全体の10パーセントもいない」)。

▶「スモールステップ」の活用


もちろん日本語が通じる日本国内にいれば、基本的に何ひとつ不自由なく会話はできるから「コンフォート」です。
 
しかしそこにぬくぬくと、してしまえばしてしまうほど、英会話は不可能とは言わないまでも、できにくい。
 
もちろんいきなりアンコンフォートゾーンへ向かうのは、いろんな抵抗感もあってストレスが大きくなりすぎるでしょう。
 
その場合は適切なスモールステップで段階を踏むのも賢明だと思います(関連記事「ほんの小さな針のひと穴を、チョンとつつく」)。
 
いくら「快適領域」を出るからといって、極端な「劣悪領域」へ行ってしまっては自分がつぶれてしまいかねません。

▶「出ないポーチ」はミスらない


卑近なテニスの例で言えば、バックハンドストロークはスライスが安心だからといって、そればかりに頼っていては能力は、現状維持が御の字でしょう。

失敗しても、メチャクチャな打ち方やフォームでもいいから、ドライブ(トップスピン) にも挑戦し始めると、現状打破のスタートラインに立てます。

ポーチに出なければ、ミスは絶対しないけれど、出てみないことには後衛同士のラリーを指をくわえて見ている前衛プレーヤーどまりです。

▶自己肯定感も「できない自分」に目を向ける 


最初の話に戻りますと、すぐにできる参考書を見て安心してしまっては、「現状維持」はあっても、「現状打破」とはなりにくい。
 
自分にとって望ましい人生となるよう、どのゾーンに所属するか?
 
ちなみにこれは「自己肯定感」についても同じだと思います。
 
「できる自分(それ以前にできる他者)」に目を向けるのは、条件つきの肯定ですから、ありのままの自分(それ以前にありのままの他者)の受け入れではありません。
 
それでは自己肯定感を高めるどころか、「条件つきで自他を見る目」が補強されて自己否定感が強化されかねません
 
自分を好きになって自己肯定感を高めようとする試みが失敗しやすいのはそのためです。
 
自分を好きになろうとする試みは、今の自分は「嫌い」の裏返し
 
マイナス(嫌いな自分)に、いくらプラスの好条件(テニスができる、容姿が良い、学歴が高いなど)を掛け合わせても、出てくる答えはマイナスなのでしたね(関連記事「自分を『好き』になろうとする『罠』」)。
 
むしろ「できない自分(それ以前にできない他者)に目を向けると、そんな自分(それ以前にそんな他者)も、不器用ながらも生きている愛おしさが感じられて、自己肯定感が(それ以前に正比例の相関である他者肯定感も)高まると思います(関連記事「『嫌いな自分』を受け入れるのが難しいなら)。

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