質問1591:チャンスボールが浮いてきた時のボレーミスがどうしても直らない
吉田さま
こんにちは。
いつも楽しく拝見しています。
メソッド実践して、
ボールへの集中力が高くなって
これまでより、ボレーもストロークも
しっかり当たるようになった感覚があり、
音も変わったと思います!
(記事を読んで、日常でも、何に対しても腹が立たなくなっているというメリットも!)
ありがとうございます😊
ただ、どうしても克服への道筋が見えないことがあって、ご相談したくメール差し上げました。
ダブルス前衛にいて(あるいは平行陣で)
ラリーが続いて、ふとチャンスボールが浮いてきた時のボレーミスがどうしても直りません。
焦って一発で決めようとするからダメなんだと
コーチに言われます。「チャンスはピンチ」というのも頭ではわかっていても、うまくいきません。
一発で決めよう!と思っているわけではなく、自動的にそうなっているんですが、慌てているのは確かだと思います。
前に詰めるのが遅く、ネットからやや遠いところにいるのに、ネットぎわにいるかのようなラケットワークになってネットしたり、丁寧にやりすぎてふかしたり、ガシャったり...
よく見かける光景で「テニスあるある」ではあると思いますが、もういい加減、失敗する自分がデジャヴすぎて嫌になっております。(苦笑)
そろそろ、もうちょっと成功率を上げたいのです。
空間認識能力の問題でしょうか?
ボールの見方が足りないのでしょうか?
何かヒントがあればぜひ教えてください。🙏
よろしくお願いいたします。
※※
▶打ち下ろせる「気がする」
ご明察です。
空間認識力の問題であり、ボールの見方の不足でもあります。
両者は密接に関わっています。
さらっておくと空間認識は、目で見なくても頭の中で狙う相手コート側をイメージできる能力。
打点目線から見た相手コートのラインやネットが、現実どおりにレイアウトされている必要があります。
浮いてきたチャンスボールの場合は、高めの打点から打つものだから、打ち下ろせるような「気がする」かもしれません。
けれども打点目線から見たら(しかも、ネット際にいない場合はなおさら)、案外そうではないのです。
打ち下ろせるイメージがあるせいで、ネットミスしてしまいます。
あるいは今度はネットミスしないようにと意識するから、ふかしてしまいます(関連記事「これをすると『ノーコンが止まらない』」)。
ネットミスやふかすアウトが、たまにあるならまだしも、デジャヴになっているとすれば、イメージがズレている疑いもありそうです。
▶見た目以上に簡単?
なぜそうなるかというと、ボールの見方が不足していて、打つときに、相手コート側を見てしまうからです。
ボールから目が離れて相手コート側を見ると、打点目線ではなくそれよりも低い自分目線からの風景が見えますよね。
だけど実際に打ち出す打点はそれよりも高いから、打ち下ろせるイメージを持ってしまいがちです。
つまり、見た目以上に簡単だと思い込む。
仰せのとおり頭では分かっていても、ズレていると上手くいかないのがイメージの支配力です。
▶百獣の王・武井壮の教え
もちろん『笑っていいとも』で武井壮氏が伝えたように、自分がイメージしている腕や面の角度と、打点にかざした実際の腕や面の角度とがズレている場合もあるかもしれません。
それもチェックしてみてもいいでしょうけれども、今回は冗長になるのでそのご説明は渇愛しますね。
関連記事だけ貼っておきます→「自分の体なのに、案外イメージどおりに操れない」。
腕を水平に上げるだけでもタモリさんは正確にできなかった。
にも関わらず、さらにテニスの場合はラケットが介在するから、角度のズレはより大きくなりやすいと言えます。
要言すると、イメージしている角度と、ハイボレーを打つときのラケットの角度との間に、乖離がある。
端的に言えば、自分は垂直で打っているつもりなのに、ラケットは下向きでインパクトしている。
ベタ詰めしてもネットミスする理由です。
▶「勘」で狙う
慌てる自覚がおありであれば、本質的にはボールの見方問題です。
その根拠は、見えていたら慌てないからです(関連記事「メンタルが原因ではない」)。
お試しいただきたい解決策は「ノールックショット」。
相手コートを見ないほうが、現実に対するイメージのズレに惑わされません。
打つ時にはボールを見て、相手コート側は見ないのですけれども、このとき、相手コート側を「感じる」ようにしてほしいのです(関連記事「『チラ見』しない」)。
何となくこの高さにネットがあって、何となくこのあたりに相手がいて、という「勘」を働かせます。
この「何となく」というニュアンスが大事。
何となく感じ取れるほど、相手コートを見ずに済み、そのぶん、インパクト付近までボールを見ることができます。
すると慌てません。
むしろ「安心」するのです。
▶見えたらバツ
どうでしょうか?
今、横や背後に、何がどこにあるか、目で見なくても何となく感じられると思います。
空間認識は見ずに感じ取ろうとすると、活性化します(関連記事「テニスが上達するうえで前提として踏まえなければならない『空間認知』とその簡単な鍛え方 」)。
これを何となくではなくて、「ハッキリ見たくなる」から、目線がボールではなく、相手コート側へ飛んでしまうのが打ち損じる原因。
つまり見えたら、バツです。
▶「何となく」を信じる
相手コート側を何となく感じる「勘」に委ねる。
目で見た視覚情報は、ボールが打ち出される打点の高さとは違うのですから案外アテにならず、イメージのほうが現実どおりだったりします(見ると揺らぐ)。
相手コート側を感じようとすると、ボールに集中できなくなる気がするかもしれませんけれど、実際にはそんなことはなくて、相手コート側は勘に委ねるからこそ、意識はボールに集中できるのです。
▶テニス上達の秘訣は「何か知らんけど」
相手コート側が感じられると、慌ててはたき落とす力みもなくなるでしょう。
スピードよりもコース、叩きつけるのではなく角度や深さのプレースメントでも、勝負しやすくなるからです。
「何となく」に任せると、何か知らんけど、入るのです。
(こういう発言を人は“天然”とイジりがちだが)「テキトーに打てば入る(一同・笑)」と錦織圭が言ったのは、冗談ではなく本当です。
https://www.youtube.com/shorts/5U-engpEIcI?feature=share
▶怒りがないことの「至福」
「日常でも、何に対しても腹が立たなくなっている」
貴重な人生において1分1秒でも腹が立たない時間は至福です。
イライラしていては、どんなに社会的に成功しても、収入があっても、食事をしていても、風呂に入っていても、寝床にいても、不幸(関連記事「『イライラするのは割に合わない!』心が合理性を学習する」)。
もちろんテニスが上手くいくのも、腹が立たなくなった要因でしょう。
イメージのズレがあって不甲斐ないミスを繰り返すと、腹立ちますからね(苦笑)。
▶「非日常」を求めたくなる心理
「非日常」をありがたがりがちだけど、そうすればするほど、「日常」がありきたりで何の変哲もなくなります。
ですから何かのご褒美と称して、あるいは嫌なことがあったストレス解消とばかりに、「非日常にエスケープ」するのは、おすすめではありません。
それをすると日常が、もっとありきたりで何の変哲もなくなるからです。
ますます「非日常体験」や「自分にご褒美」が、欲しくなるのです。
▶「いつもと同じ風景」「いつもと同じ味」「いつもと同じ髪型」?
日常がありきたりで何の変哲もないのは、ちゃんと観察せず、「いつもと同じ風景だ」「いつもと同じ味だ」「いつもと同じ音だ」「恋人の髪型はまたいつもと同じだ」などと、決めつけているからです(関連記事「脳は『省略』がお好き」)。
ボールに集中できないのは、それが何の変哲もない黄色い球だからでしたね。
ちゃんと観察していないから、いつもと同じと思って「今・ここ・この瞬間」の一期一会を忘れてしまう私たち……(関連記事「行き交うボールは諸行無常。『生老病死』を観察する」)。
▶毎日がスペシャル
テニスと日常とは、つながっています。
テニスの調子いかんで日常の幸福度も変わるし、日常がテニスのプレーにも反映されます。
以前おっしゃった、「ぜんぶつながっている」のでしょうね、人知の及ばないところで。
どんなにありきたりで何の変哲もない日常の中にも、バリエーションを見出せます。
すると「毎日がスペシャル」。
ボール音の大小、高低、清濁に耳を澄ませば、諸行無常の響きあり。
繰り返しになりますが、雨音はショパンの調べだし、水たまりに落ちる波紋はアートです。
傘の露先に宿った一粒を通して見ると、真逆の世界が垣間見えるのです。
▶「音も変わった」という気づき
前回は「縦ロブのバウンドを見誤る」ご相談だったと思うのですが、それも『ベースメソッド』で、今までは取れなかった遠いボールも、取れるように変化してきていると思います。
足の速さは変わらなくても、動線が改まるから追いつくのです。
「音も変わった」(と気づける)のは、思考が薄まっている証拠。
以来少しご無沙汰していましたけれども、「便りがないのは上手くやっている証拠」と思って、安心していますよ。
「しっかり当たるようになった」からだったのですね。
錦織の言葉を借りると、(『ベースメソッド』にならえば)「テキトーに振ってもしっかり当たる」。
即効テニス上達のコツ TENNIS ZERO
(テニスゼロ)
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テニスゼロ代表
吉田無型(よしだ・むけい)
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スポーツ教育にはびこる「フォーム指導」のあり方を是正し、「イメージ」と「集中力」を以ってドラマチックな上達を図る情報提供。従来のウェブ版を改め、最新の研究成果を大幅に加筆した「note版アップデートエディション」です 。https://twitter.com/tenniszero