【NISAやってみた14】note株は買いなのかーーAIと一緒に「良い会社の株=良い投資」という罠を検証してみた
まず、noteはすでに上場しています。
証券コードは5243。2022年12月21日に東証グロース市場へ上場しました。公開価格340円に対し、初値は521円と好調なスタートを切っています。
現在の株価は2,400円前後。約1年前の500円台から2.6倍以上に上昇した水準で推移しています。年初来高値は4月15日に付けた3,405円。直近では2,300〜2,500円付近を行き来している状況です。
業績は“本物の成長”をしている

株価だけでは判断できないため、業績も確認してみました。
直近の第1四半期決算では、売上高12.18億円(前年同期比27.3%増)、営業利益2.35億円(同4,167%増)と、大幅な増収増益を達成しています。前期に黒字転換を果たし、今期はさらに利益拡大フェーズへ入っている印象です。
主力のメディアプラットフォーム事業も好調で、noteの流通総額は前年同期比25%増。法人向けサービス「note pro」のARR(継続課金収益の年換算額)も同33%増と、継続的な成長を見せています。
さらに、Google・KADOKAWA・NAVERとの資本業務提携、2025年3月に始動した投資情報サービス「noteマネー」、AI学習データ事業など、新たな収益の柱も育ち始めています。
noteは「2ちゃんねるの裏側」にある、日本独自のプラットフォームだった
ここで一度、noteというサービスそのものの面白さについて整理しておきたいと思います。
AIとの対話の中で、個人的に最も「なるほど」と感じた視点がありました。
海外にも類似サービスは存在します。たとえば、広告なしで長文コンテンツを読めるMedium、ニュースレター型のSubstackなどです。
ただ、noteとは決定的な違いがあります。
Substackはメール購読ベースの関係性が中心で、記事がアーカイブとして蓄積され、Google検索経由で流入してくるnote型とは構造が異なります。Mediumもかつては「クリーンな読書体験」を武器に存在感を放っていましたが、アルゴリズム変更や収益性低下の影響で、以前ほどの勢いはありません。
広告なし、コメント制限、検索流入、個別記事販売、SNS的な回遊性——これらを同時に成立させているサービスは、海外にも実はあまり存在していない、という結論に至りました。
では、なぜnoteはこういう形になったのか。
そこで浮かび上がったのが、「2ちゃんねるとの対比」という視点です。
2ちゃんねるは、「匿名・速度・カオス」という日本独自のインターネット文化を象徴する存在でした。4chanを通じて海外にも影響を与え、“匿名掲示板文化”として世界へ輸出されたとも言えます。いわば、日本的ネット文化の「ウラ側」です。
一方、noteはその対極にあります。
丁寧に書かれた長文を、広告なしで静かに読む。コメントは登録ユーザーのみが書き込めるため荒れにくく、本や映画などカルチャーへの関心が高いユーザーが多い。さらに、読む専門のユーザーが書き手を大きく上回っている。
これは、日本的な「オモテ」の文化——読書文化、丁寧さへの志向、コツコツ積み重ねることへの敬意——を体現したプラットフォームとも言えるのではないか、と感じました。
2ちゃんねるが日本のネット文化の「ウラ」を輸出した存在なら、noteは「オモテ」を世界へ届ける可能性を持っている。
食、デザイン、職人文化、独自の社会観察。そうした日本コンテンツへの世界的関心が高まる中で、翻訳機能とGoogle検索がうまく噛み合えば、noteの記事が思いがけない形で海外に届く未来も、十分あり得る気がしています。
では、なぜ「すぐ買わない」のか

業績は良い。サービスとしての独自性もある。
なら、買えばいいじゃないか——という話になるのですが、ここで重要なのが、「良いサービス」と「良い株」は別物だという点です。
現在の予想PERは55倍前後。これは投資家が「将来の大きな成長」に対して、すでにかなり高い期待値を織り込んでいる状態を意味します。
たとえば、iPhoneが素晴らしいと誰もが理解した時点でApple株を買っても、市場がすでにそれを認識していれば、期待ほど大きな利益にはならない。構造としてはそれと同じです。
つまり、「noteが良いプラットフォームである」という事実そのものは、すでに現在の株価へ反映されている可能性が高いわけです。
グロース株は「地合い」で大きく動く
さらに、もう一つ理解しておきたい概念がありました。
それが「市場全体の地合い」です。
noteのように、「現在の利益」よりも「将来の成長期待」で買われる銘柄は、一般的にグロース株と呼ばれます。
グロース株は、特に米国の金利動向に敏感です。金利が上がると、「わざわざリスクを取って未来の成長へ賭けなくてもいい」と考える投資家が増え、売られやすくなります。逆に金利が下がる局面では、資金が再びグロース株へ戻ってきます。
また、急激な円高局面などでも、市場全体のリスク回避ムードによって、note固有の悪材料がなくても株価が下落することがあります。
これが「地合いで売られる」という状態です。
逆に言えば、そうしたタイミングこそが、冷静に拾いやすい局面でもあるのかもしれません。
10倍・50倍の可能性はあるのか
せっかくなので、夢のある話もAIに聞いてみました。
10倍株、いわゆる「テンバガー」については、「ゼロではない」という答えでした。
現在の時価総額は約468億円。10倍になると約4,680億円となり、現在のメルカリに近い規模感になります。
Google・KADOKAWAとの提携、noteマネー、翻訳による海外展開——それらがすべて噛み合えば、数字としては決して不可能ではない。
ただし、50倍となると話は別です。
時価総額は約2兆3,000億円規模となり、LINEヤフー級に匹敵します。ここまで到達するには、日本のプラットフォーム産業全体の勢力図を変えるレベルの成長が必要になります。
現実的なラインとしては、業績成長が継続した場合の「2〜5倍」あたりが妥当なシナリオ、という結論に落ち着きました。
「自己正当化ロジック」という痛烈な指摘
ここは正直に書いておきたいのですが、AIとの会話の中で、こんなやり取りがありました。
私が、
「数千円で、いくつもの生々しい体験を記事化できるなら、それほど高い買い物ではないかもしれない。しかも値上がりも期待できて——」
と言いかけたところで、返ってきた言葉がありました。
「自己正当化ロジックですね」
文字にすると、かなり刺さります。
ですが、投資においては非常に本質的な指摘だと思いました。
人は「買いたい」という感情が先にあり、その後から理由を積み上げてしまう。これは投資で最も危険なパターンの一つです。
ただ同時に、こうも思いました。
1〜2株、数千円規模であれば、仮に下落しても致命傷にはならない。決算のたびに「なぜ株価が動いたのか」を自分ごととして考えられる。そして、その学習過程自体を記事にできる。
そう考えると、“学習コスト込みの投資”としては成立するのかもしれない。
……これもまた、自己正当化なのかもしれませんが。
しばらくウォッチして、2,000円割れを待つ
結論として、現時点ではすぐに買わず、しばらく値動きを観察することにしました。
2,000円を割る水準まで下がれば、業績成長率と比較して、多少の割安感が出てくる可能性があります。
市場全体の地合い悪化による下落や、CEO株売却のような内部要因による一時的な急落局面があれば、逆にそこを狙いたい——そんなスタンスです。
実際、買う前に値動きを観察していると、
「あの時買っていたらどうなっていたか」
「あそこが天井だったのか」
という“疑似体験”が積み重なっていきます。
その蓄積が、実際に買う時の判断軸になっていく気がしています。
もし本当に購入したら、その時はまた記事にしたいと思います。
今回、一番大きな気づきだったのは、「良いサービスの株が、必ずしも良い投資になるとは限らない」という点でした。
noteというプラットフォームの可能性を深掘りすればするほど、逆に「株としてどう評価するか」の難しさも見えてきた気がします。
ちなみに今日のnote株の引値は、1株2150円でした。値段がだいぶ落ち着いてきた感じみたいです。

