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タイミングという名の皮肉


——言うことを聞かなかった人が、いなくなってから真面目になる——


私は20年以上、カイロプラクティックに通っている。


体の声を無視すると、後で必ずツケが来ることを、もう何度も体験してきたから。


だから、20年ぶりに再会した深爪が

「腰の調子が悪い」と言ったとき、

私は迷いなくカイロプラクティックを勧めた。


最初は、やっぱり続かなかった


最初のうちは通っていた。


でも案の定、すぐに理由が出てくる。


仕事が忙しい。

ゴルフがある。

予定が合わない。


そして、行かなくなる。


「まあ、そうだろうな」と思った。


私はもう、そのパターンを知っていた。



サイレントモドキ中のぎっくり腰ラッシュ


その後、

深爪はサイレントモドキの期間中に

何度もぎっくり腰をやったらしい。


整体にも鍼灸にも行ったが、

「全然良くならない」と言う。


そこで私は、もう一度だけ言ってみた。


「カイロプラクティックに行ってみたら?」


正直、心の中ではこう思っていた。


どうせ三日坊主だろうな。


どうせまた海に行きたくなって終わるだろうな、と。



ところが、である


別れてしばらくしてから、

私が通っているカイロの先生から、

ふと、こんな話を聞いた。


「深爪さん、案外真面目に来てますよ。

 毎月、ちゃんと通ってます」


一瞬、言葉を失った。


あの頃、

あれだけ言うことを聞かなかった人が、

あれだけ理由を並べて、通わなかった人が、

私がいなくなった後で、ちゃんと通っている。



何とも、面白い


怒りはなかったし、悔しさもなかった。


ただ、

「人って、そういうものだよな」

と思った。


言っても聞かないときは聞かない。


正論でも、正解でも、届かないときは届かない。


でも、その人のタイミングが来たら、

同じことを、別の顔で受け取る。



私がいなかったから、できたこと


皮肉だけれど、たぶんこれは事実。


私がそばにいた頃は、深爪は聞けなかった。


私がいなくなったから、

ようやく、自分の体と向き合えた。


誰かの言葉が届かないのは、

その人が間違っているからじゃない。


タイミングが違うだけ。



結論


人は、「正しいから変わる」のではなく、

「そのときが来たから変わる」。


そしてそのときは、

誰かがいなくなった後に来ることもある。


それは寂しい話でも、残念な話でもなく、

人生の順番がそうだった、というだけ。





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