久しぶりのアンヘルと完璧なトルティージャ
「もう、君の事忘れてしまうとこやった!」
私がお店に入るなりそう言ったのは、金物屋さんのアンヘルだ。
前回お世話になったのは、水が止まらなくなったときだっただろうか。
「お元気でしたか!あなたのところに来るのは、いつも何か問題が起きたときなんです。だから、しばらく来なかったということは、問題がなかったということでして…。そして、今日ここにいるということは、つまりそういうことなんですけれども」
もそもそと話す私に、アンヘルは今日もいつもどおりの暖かいまなざしを向けてくれる。
早朝や夕方に小走りでやってきては、あれが大変だこれが大変だと、文法の怪しいスペイン語でまくしたてる私に対しても、落ち着いてゆっくり話してみなさいと、笑顔でつきあってくれる。その名前の通り、とても優しい人である。
「そうか、そうか。今日は一体どうした」
昨夜からキッチンの電気がおかしい。
ついたり消えたりする。
数年前、アパートを購入した際に、キッチンの電気も蛍光灯からLEDに変えようと思っていた。しかし、思ったより天井が高いのと、まだ家に梯子がなかった。まあ、そのうち、と思いながらそのままになっていた。それが、とうとう昨夜おかしくなった。
そんなわけで、頼みの綱であるアンヘルのお店のドアを叩いたのだ。
こうこうこういうものが欲しいのであると言うと、すぐに出してきてくれた。

「取り付けるのは大変ですか」
「まずは、市役所に行って、歴史的建造物の外観改変許可をとるところからやな」
いかにもスペイン、または、ヨーロッパらしい冗談であった。
(例えば、旧市街などで、歴史的建造物などの保全地区内に建物がある場合は、仮に住居であっても勝手に改築などができない。事前に許可を得る必要がある)
「そうでしたか。そしたら、その前に許可申請予約のための料金を払わないとですよね」
数秒遅れるも、がんばってアンダルシアジョークで返す。
そうそう、こういうの。
ちょっと関西みたいだなあと思う。
もっとも、関西人は冗談の後にウインクをしないかもしれないけれど。

最近、このままてんやわんやスペイン暮らしでいくのか、てんやわんや日本暮らしにするのかなどと考えることが多い。日本が恋しいこのごろ。いつまでここにいるのだろうか、私は。
そんなことを思いながら、日本語クラスの生徒さんに教えてもらったレシピで作ったトルティージャは、最高の出来だった。明日食べようと思って作ったはずが、いつのまにか1/3食べていた。


お腹もいっぱいになったので、LEDの取り付けは夫に任せることに決めた。
その当人は、最近また日本語の勉強を始めたようだ。
「そろそろ就寝しますので」
と言ったり、
宮沢賢治を読んだりしている。

そして、久しぶりの更新に、調子に乗って写真を載せすぎた。
久しぶりにnoteを書いたら、いろいろと書きたいことがあるのを思い出した。
彦根城デートのこと、先輩がアンダルシア田舎に来た話、ペペが引退していたこと、散髪の話。あれもこれも。

今月はあっという間に過ぎていったので、来月はもう少し自分の時間がとれるようにしたい。皆さまのnoteにお邪魔する時間も。
どこにいても、まずは元気でいることである。そして、笑うことと、ときどき関西弁を聞くこと。ちゃんとご飯を食べることも。
半袖で過ごしていたが、アンダルシア田舎にも秋の気配。
皆さまも、ステイ元気で楽しいおいしい秋を!
