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「先生、貧乏なの?」と言われた日。児童館で始まった“石油王”の話

「先生、貧乏なの?」
児童館で子どもにそう聞かれて、
私は思わず笑ってしまった。
でもそのあと、
なぜか心が少し軽くなった。

児童館の子どもたちは、今日も元気で騒がしい。
子どものエネルギーって、本当にすごい。
そして不思議なことに、
そのエネルギーを浴びていると、私まで少し元気になってくる。
今日はYと、ちょっと面白い会話をした。

Aがブロックで、自分の「部屋」を作っていた。
ところが私が、うっかり一部を壊してしまった。
それを見ていたBが言う。
「これ100万円だよ!弁償だよ!」
「100万なんて持ってないよ」と私。
するとBが
「じゃあ10万円でいいよ。」
値下げされたけれど、まだ高い。
私が「10万かあ……」と渋っていると、
Aが「払ってよ!」と言い、
Bが畳み掛ける。
「90万円も値引きされたんだから払えるでしょ!」
高額な話なのに、ちゃんと計算できているんだなあと、
どうでもいいことを考えてしまった。
私が壊したのは事実なので、観念する。
「……じゃあ、10万ね。」

そのやりとりを聞いていたYが突然言った。
「俺、100万ドル持ってるよ。」
「え、すごい。いいなあ。」
するとYは、さらっと言った。
「先生、お金欲しい?あげるよ!」
「え、嬉しい。ありがとう!」
さらにYは続ける。
「あと、100万ドルのお金持ちのカード、3枚持ってるよ。」
頭の中に、ゴールドカードとかブラックカードが浮かぶ。
「すっごいお金持ちじゃん。セレブだね。
何でも買えるし、食べたいもの何でも食べられるね。」
するとYが、真顔で聞いてきた。
「先生、貧乏なの?
ちゃんとごはん食べてないんじゃん!」
「まあ、貧乏だよ……。
でも、ごはん食べるくらいのお金はあるよ。」
そう言うと、Yは言った。
「じゃあ、カード1枚あげるよ!」

セレブのカードをくれるらしい。
なんて気前がいいんだろう。
もちろん本当の話ではない。
でも私は、少しだけ想像してしまった。
世界のどこか、日本のどこかには、
本当にそんなセレブがいるんだろう。
私には想像もできない生活をしている人たち。
もし将来、Yがそんな人になったら──
雲をつかむような話だけど、
Yと話していると、頭の中に不思議と映像が浮かんでくる。

Yが続ける。
「俺、100・・・・・・・ドル持ってるんだよ!」
なぜ「ドル」なのかはよくわからない。
「0いくつあるの?
もう石油王じゃん!」
するとYは胸を張って言った。
「油田、3つ掘り当てたからね!
石油王は世界で一番最強な武装を持てるんだよ!」
私は最強の鎧を想像した。
「すごいね。じゃあ暗殺とかされないね。」
「石油王は護衛が100人ついてるんだよ。」
「ええ?そんなに?」
話はどんどん壮大になっていく。

大人同士の会話では、
こんなふうに空想を広げて話すことは、あまりない。
でも子ども相手だと、それが自然にできてしまう。
現実とは全然違う世界の話をしているのに、
なぜか少しだけ心が軽くなった。
いつもとは違う形で、Yから元気をもらった。


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