海岸で拾った緑簾石― 母岩を割って、観察してみよう ―
はじめに
こんにちは、てるめぐるです。💎
今回は鉱物採集をテーマにした記事です。
海岸で拾ったひとつの石をきっかけに、
観察・考察・鑑定の記録をまとめていきます。
鉱物採集のおもしろさが、少しでも伝わったらうれしいです。
ちなみに今回の鉱物は、
前回の記事
「灰鉄ザクロ石を拾った話 ― 海岸での鉱物採集と考察の記録 ―」
で紹介した場所と、同じ海岸で採集したものになります。
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どこで採集したの?
今回も神奈川の海岸で石拾いをしました。
気になる岩石は、ハンマーで割って観察するスタイルです。
この場所は石の量も多く、とても観察しがいがあります。
前回の灰鉄ザクロ石と同じく、
岩石の中に熱水の脈や溶解の痕跡がないかを意識しながら採集しました。
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どんな鉱物をみつけたの?
今回採集したのが、こちらの鉱物です。
まずは全体写真と、顕微鏡で撮影した写真を見ていきます。






黒くてすべすべした岩石の中に、
溶解して貫入したように見える白い脈が入り、
その周囲に、鮮やかな緑色の鉱物が確認できます。
放射状に伸びた結晶が、とても印象的です。
さらに、
サーモンピンク色をした微細な結晶の集合体も確認できます。
こちらは、ハンマーで割った面になります。
母岩を割ることで、新鮮な観察面が現れ、
鉱物の特徴や産状を、よりはっきりと確認することができます。
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鑑定してみよう!
ここからは、
母岩 → 白い脈 → 共生鉱物の順で整理しながら、
この標本を鑑定していきます。
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・母岩はなに?
まず、母岩の特徴を整理します。
・黒色(やや藍色がかる)で緻密
・全体としてすべすべした質感
・ハンマーで割った面が非常に鋭い
これらの特徴から、
この母岩は 泥質のホルンフェルス(hornfels) である可能性が考えられます。
ホルンフェルスは、
マグマの熱によって焼かれて形成される接触変成岩であるため、
この母岩の性質は、
以降の鑑定において重要な前提条件になると考えました。
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・白色の脈はなに?
次に、白い脈について特徴を整理します。
・母岩の中に、溶解して充填したような白い脈が入り込んでいる
・形状は、ほぼ楕円形
・モース硬度テスト(カッター)で傷がつかなかった
これらの点から、
この白い部分は、
後から入った石英(quartz)脈である可能性が高そうです。
このような石英脈の存在は、
母岩がホルンフェルスであるという推定ともよく一致します。
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・サーモンピンク色の結晶は?
続いて、サーモンピンク色の結晶について整理します。
・色はサーモンピンク〜赤黒
・粒状〜集合体
・ガラス光沢
色合いや産状から、
この結晶は、
前回採集した灰鉄ザクロ石(andradite) と
同じ鉱物である可能性が高そうです。
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・緑色の結晶は?
最後に、緑色の結晶について整理します。
・濃い緑色
・放射状に伸びた、細い柱状の結晶
・ガラス光沢
・結晶の長軸方向に対して並行な条線
肉眼でも、
はっきりとした鉱物の結晶であることがわかります。
この時点では断定できませんが、
緑簾石(epidote) や緑閃石(actinolite)などが候補として考えられます。
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鑑定結果まとめ!
これまでの観察を整理すると、
今回の産状は、
接触変成と熱水作用が関与した環境が存在し、
スカルン系鉱物の生成条件に近い状態があった可能性を示していると考えられます。
今回採集した標本は、
以下のような構成を持っていると判断しました。
・母岩は、泥質のホルンフェルス
・白い脈は、石英脈
・石英脈の内部には、
灰鉄ザクロ石および緑簾石が共生している
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おわりに(感想)
今回の採集では、
ハンマーで母岩を割ることで、
仮説を強化するための情報を多く得ることができました。
石拾いにおいて、
標本を傷つけたくないという美学もありますが、
ハンマーで割ることは、ただ砕くこととは違います。
観察面を露出させることで、
石の内側にある価値や情報を引き出すための、
ひとつの美学でもあると感じました。
また次の採集でも、
同じような瞬間に出会えたらいいなと思います。🪨
