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発達障害の私が「1日20本のタバコ」をどうしてもやめられなかった科学的な理由

私は発達障害の当事者です。

これまで「ただの意志の弱さ」だと思っていた1日20本の喫煙習慣。

しかし最近の研究では、発達障害者がタバコを吸うことには「自己治療(セルフメディケーション)」としての側面があることが分かってきたようです。

不足しているドーパミンをニコチンで補い、集中力を高めたり、パニックを鎮めたりと、脳の特性をカバーする「メリット」が確かに存在していたのです。

しかし、その代償は決して小さくありません。

今回、私はその「メリット」を手放し、禁煙の道を選びました。

この記事では、特性ゆえにタバコを必要としてきた私が、なぜ、どのように禁煙という大きな一歩を踏み出したのか、そのリアルな葛藤と実践の記録をお届けします。



【徹底比較】発達障害者と定型発達者では、吸う目的がこれほど違う

1. 脳へのアプローチ:補填か、快感か

  • 発達障害(私)の場合:【脳の不足を埋める「補填」】 ADHDなどの脳は、ドーパミンが不足気味で常に「霧がかかったような低覚醒状態」にあります。ニコチンは、このマイナスの状態を「ゼロ(普通の状態)」に引き上げるための着火剤として機能します。

  • 定型発達者の場合:【さらなる「快感」の追求】 もともとドーパミンが安定しているため、喫煙は「プラスアルファの刺激」です。美味しいものを食べた時のような、純粋な「ご褒美・リフレッシュ」として楽しみます。


2. 作業への影響:スイッチか、休憩か

  • 発達障害(私)の場合:【実行機能を助ける「スイッチ」】 物事の切り替えが苦手な脳にとって、「一服する」という物理的なアクションは、作業を終えたり始めたりするための強力な「切り替えスイッチ」です。これがないと、脳のギアがうまく入りません。

  • 定型発達者の場合:【心身を緩める「リラックス」】 「さて、一休みしよう」という意識の補助として吸います。彼らにとってのタバコは、張り詰めた糸を緩めるための、あくまで「おまけの休息」に過ぎません。


3. 感覚面への影響:交通整理か、イライラ解消か

  • 発達障害(私)の場合:【感覚の「ノイズキャンセリング」】 ASD的な感覚過敏がある場合、外の世界は刺激が強すぎます。ニコチンは脳内の情報の交通整理を助け、ざわざわしたノイズを静める「防音壁」のような役割を果たしてくれます。

  • 定型発達者の場合:【日常の「イライラ解消」】 嫌なことがあった時の不快感を鎮めたり、手持ち無沙汰を解消したりするのが主目的です。感覚そのものを守るための「生存戦略」というほど切実なものではありません。


4. 環境への対応:避難所か、社交場か

  • 発達障害(私)の場合:【合法的で静かな「避難所」】 騒がしい場所や苦手な対人場面から、「タバコを吸ってきます」という正当な理由で、パニックになる前にその場を離れる「逃げ道」を確保してくれます。

  • 定型発達者の場合:【つながりを作る「社交場」】 いわゆる「タバコミュニケーション」です。喫煙所での会話を楽しみ、人間関係を円滑にするための「ツール」として活用します。


発達障害者が喫煙から得ていた「メリット」の正体

発達障害、特にADHDやASDの特性を持つ人にとって、タバコは単なる嗜好品以上の役割を果たしていることが少なくありません。

私自身、1日1箱を吸い続ける中で、それが「脳の補助具」になっている感覚がありました。

科学的な視点で見ると、ADHDの脳はドーパミンの働きが弱く、常に「低覚醒」な状態になりやすいと言われています。

ニコチンにはこのドーパミンを強制的に放出させる作用があるため、吸った直後は頭の霧が晴れ、一時的に集中力や実行機能が向上します。

健常者がリフレッシュのために吸うのに対し、私たちは「普通に機能するため」のスイッチとしてタバコを使っている側面があるのです。

また、ASD的な感覚過敏や対人ストレスに対しても、ニコチンは一時的な「盾」になります。

ざわざわした外部の刺激をシャットアウトし、高ぶった神経を鎮静化させる。

さらに「タバコを吸う」という決まった動作(ルーティン)は、物事の切り替えが苦手な脳にとって、次の行動へ移るための重要な「儀式」でもありました。

私たちが禁煙に人一倍苦労するのは、この「自己治療」としての強力なメリットがあるからです。

タバコを辞めることは、自分を支えていた杖を捨てるような不安を伴うものなのです。


メリットを超えた「将来への不安」と決別

それでも、私は禁煙を決意しました。

タバコがもたらす一時的な「脳のブースト」というメリット以上に、目に見える、そして将来予測されるデメリットが無視できないほど大きくなったからです。

まずは経済的な問題です。

1日1箱、月におよそ18,000円。

年間にすれば20万円を超える支出です。

このお金があれば、もっと自分の将来のため、あるいは特性をカバーするための他のツールや環境作りに投資できるはずです。

現在の生活において、この大きな浪費は無視できない重荷となっていました。

そして何より、健康への切実な不安です。

高血圧を抱えている自分にとって、喫煙による血管へのダメージは「いつ爆発するか分からない爆弾」を抱えているようなものです。

今はまだ動けていても、数年後、十数年後に重い難病や血管系の疾患を患い、自由を失うことへの恐怖が日に日に強まっていました。

「今の集中力」と「将来の自由な人生」。

天秤にかけたとき、後者がようやく勝ったのです。

発達障害という特性を持ちながら生きていく上で、これ以上の身体的ハンデを自ら作り出す必要はない。

自分の体と人生を自分自身の手に取り戻したい、その一心で決断を下しました。


ソワソワする「空白」とニコチンガムでの奮闘

決断した今朝、残っていた4本のタバコをすべて吸いきり、私の禁煙生活が幕を開けました。

現在は、離脱症状を和らげるためにニコチンガムを相棒にしています。

ガムを噛むことで、脳が叫ぶ「ニコチンをくれ!」という要求をなだめている状態です。

しかし、長年染み付いた「行動の習慣」はしぶとく私を追いかけてきます。

ふとした瞬間に、無意識に家の中のいつもの喫煙場所へ足が向いてしまいます。

「あ、もうタバコはないんだ」と気づくたび、心の中にポッカリと穴が開いたような、落ち着かない感覚に襲われます。

特に厳しいのが、noteの執筆時間です。

以前は文章を書き、頭をフル回転させた後の「休憩時間」がセットでタバコの時間でした。

思考を整理し、次の段落へ向かうためのスイッチだったあの1本がない今、休憩中はずっとソワソワして、手のやり場に困っています。

この「空白」をどう埋めるか。

今は深呼吸をしたり、冷たい水を飲んだりして、脳に「新しい切り替えの儀式」を覚え込ませている最中です。

脳がタバコのないリズムに慣れるまで、このソワソワとの戦いは続きますが、一歩ずつ、確実に前へ進んでいる実感も確かにあります。


まとめ

禁煙初日、私の脳はまだ混乱の中にあり、自宅の喫煙場所に足が向くたびに葛藤が生まれます。

しかし、今回の挑戦は「根性」だけで乗り切るものではありません。

自分の脳の特性を理解し、ニコチンガムという手段を使い、自分を責めずに戦略的に進めていくプロセスです。

発達障害があるからこそ感じる「辞めることの難しさ」は、同時に、それを乗り越えたときにより大きな自由と自信を得られるチャンスでもあります。

noteを書く合間のソワソワも、私の脳が新しく生まれ変わろうとしている証拠。

今日この1日を乗り越えることから、私の新しい人生のルーティンを積み上げていこうと思います。



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