「現役トップ大生」の指導でIBのスコアは上がった。なのに、なぜ我が子は海外大で潰れたのか?
「合格のその先」のサバイバルを見据える教育プライベートバンクであり、スイス・北米ボーディングスクールや海外トップ大学進学に伴走する個別指導ファーム、Testnation公式note編集部です。
Testnationの教育哲学をひも解く連載コラム。第2回は、インター生や帰国子女のご家庭が陥りがちな優秀な学生チューターの罠について語ります。
先生、うちの子のIBのCalculus、オンラインでイギリスの現役トップ大生に家庭教師を頼んだんです。テストの点数も劇的に上がったので、これで安心です!
最近、海外進学を目指す親御さんから、こんな誇らしげなご報告をよく伺います。
現在、オンライン教育の普及により、"ついこの間まで同じテストを受けていた優秀な先輩"から、世界中どこにいても手軽に指導を受けられるようになりました。"IBで満点近く取った先輩"に教えてもらうことは、親御さんにとってもコスパが良く、何より手っ取り早く「目先のスコア」を上げることができます。

確かに彼らは、優秀なテストのプレイヤーです。 直近の出題傾向や、手っ取り早くスコアを上げるためのハック(裏技)を教えることにかけては、右に出る者はいないでしょう。
これを聞いて、「え、最高じゃないですか。点数が上がるならそれでいいじゃん!」と思われたかもしれません。
しかし、弊社アカデミック・アーキテクトチーム™から言わせてもらえれば、これで海外トップ大でのサバイバルも安心だなんて、野球に例えるならば、センターへのファールボールぐらいありえないと言っても過言ではありません。
彼らは「有能な鎮痛剤」であって、人生の設計士ではない
テストの裏技を教わってスコアが上がった。 それは例えるなら、フルマラソンを走るための基礎筋力が全くない初心者に、最新テクノロジーの厚底シューズだけを履かせて、「タイムが縮んだ! これでオリンピックに出られる!」と喜んでいるようなものです。
最初の給水所(大学入学直後)で、確実に足の骨が折れます。親御さんが本当に我が子に望んでいるのは、目先のテストで数ポイント高い点を取ることでしょうか?
誰も助けてくれない異国のボーディングスクールで、あるいは日系大手、ユニコーン企業、外資系ファームというタフな戦場で、理不尽な壁にぶつかっても自力で解決策をひねり出せる強靭な思考のOSを身につけてほしいと願っているはずです。

学生チューターは、IBやSATというゲームのクリア方法は知っています。
ですが、彼ら自身がまだ社会という荒波(ビジネスの最前線)で揉まれたことのない、いわば教習所を卒業したばかりの若葉マークです。
たった今、教習所で縦列駐車のコツを覚えたばかりの学生に、お子様のF1グランプリ(10年後のグローバルキャリア)のピットボスを任せられますか?
アカデミック・アーキテクトが「正解」を教えない理由
Testnationが「単なる塾」ではなく「教育プライベートバンク」を名乗る理由は、ここにあります。
私たちは、目の前の痛みを取り除く「鎮痛剤(ハック)」は処方しません。私たちがプロとして行うのは、骨格から思考を作り直す、泥臭い肉体改造です。
生徒が「先生、この問題の解き方がわかりません」と言ってきた時、私たちは「こう解くんだよ」とスマートな正解を教えることは絶対にしません。
「なぜ、ここでつまずいたと思う?」 「出題者は、この問題で君の何の能力を試そうとしている?」
徹底的に問いを投げかけ、時には突き放し、彼らが自分の頭から煙が出るまで考え抜き、自力でロジックを再構築するまで、何度でも壁打ちの相手になります。

泥臭く、時間のかかるアプローチです。 しかし、この生みの苦しみ(自走する筋力)を経験せずに、他人の成功体験を上辺だけなぞってトップ大学に潜り込んでしまった子ほど、教授からの容赦ないダメ出しや、全く正解のないディスカッションの場で、見事なまでにフリーズしてしまうのです。
競合他社に勝つ?
「Testnationさんの最大のライバル(競合)は、どこの塾ですか?」
教育業界の関係者や、あるいは熱心な親御さんから、たまにこんな質問を受けることがあります。
私たちには、パイを奪い合うような「競合」という概念が1ミクロンもありません。なぜなら、生徒自身が、自分のポテンシャルを最高に引き出してくれる先生に出会うことが絶対的なゴールであり、その出会いの場が弊社(Testnation)でなくても一向に構わないからです。
世の中には、手取り足取り優しく教えてくれる家庭教師のほうが伸びる子もいれば、大手塾のシステマチックな競争環境でアドレナリンが出る子もいます。
もし彼らが、よそ様の塾で一生の恩師と呼べるような素晴らしいメンターと出会い、見事な自走力を身につけたのなら。 それはもう、映画ならエンディングテーマが流れてスタンディングオベーションが起きるレベルの、文句なしのハッピーエンドです。わざわざ私たちがしゃしゃり出る幕なんてありません。

自社の売上や合格実績のために、本来は別の環境のほうが合っている生徒を無理やり自塾に囲い込もうとする。
そんな業界の縄張り争いなど、「ハワイへバカンスに行く人に、『うちの極暖ヒートテックと羽毛布団が世界一だから!』と無理やり着せ込んで送り出す」くらい的外れで、端的に言って大迷惑な話です。
私たちTestnationがアカデミック・アーキテクト™として伴走するのは、あくまでTestnationの泥臭いサバイバルOSの構築(The Gold Standard)という哲学が、ドンピシャでハマる生徒だけです。
「正解を教えずに、壁打ちで自分の頭から煙が出るまで考えさせる」という私たちのハードコアな伴走は、生徒によっては強烈な筋肉痛を伴います。
だからこそ、事前の面談で「これは他所の塾の、あの先生にお願いした方が絶対にこの子は幸せになるな」と判断すれば、躊躇なくそちらをお勧めします。

生徒の人生という壮大なプロジェクトにおいて、私たちは「どうしても必要なピース」であれば全力で機能しますが、無理に主役の座を奪うような三流の真似はしません。
同業者を蹴落として「合格実績の数字」を競い合うのは、学習塾の仕事です。 しかし、10年後のタフな大人を育てるために、あえて自社の利益を手放してでもその子にとっての最適な環境(ポートフォリオ)をフラットに提示する。
これが、私たちが「教育プライベートバンク」を名乗る、もう一つの理由なのです。
教育を「便利な外注」にしないための3つのプラン

もし、お子様がこれから海外というタフな環境に挑むのであれば、教育を歳が近いお兄さん・お姉さんへの便利な「外注」だけで済ませないでください。
ご家庭で明日からできる、3つの視点のシフトをご提案します。
① 点数ではなくリカバリー力を評価する
学生チューターのおかげでテストの点が上がった時、「すごいね、点が上がったね」と結果だけを褒めるのは、砂漠で除湿機をフル稼働させるくらい意味がありません。
「前回わからなかった所を、どうやって自分の力で乗り越えたの?」と、プロセスを本人に言語化させてください。本人が「〇〇先生が分かりやすい解き方を教えてくれたから」と答えたら、それは思考停止の危険信号です。

② 人生の戦略を若葉マークに丸投げしない
現役トップ大生は「素晴らしいロールモデル(身近な目標)」にはなりますが、人生の設計図を描く「アーキテクト」ではありません。
点数を上げる戦術は彼らから吸収しつつも、より高い視座で10年後のキャリアから逆算した戦略を共に描ける、プロのメンターを周りに置いてください。

③ 教育を「消費」から「資産構築」へシフトする
目先の課題をこなすための教育費は、使って消える「消費」です。Testnationが提供しているのは、生涯にわたってお子様を支え続ける自走するOSという強固な固定資産への投資です。この明確な哲学の違いを、ぜひご家庭内で共有してください。

10年後、共に美酒を味わうために

数年後、お子様が海外トップ大学へ進学した時。 かつて宿題の答えを教えてくれた有能な学生チューターは、とっくに自分自身のキャリアのために別の道を歩み、お子様の前から姿を消しているでしょう。
しかし、TestnationのWetな伴走はそこからが本番です。 大学の難解な経済学のスライドを前に絶望していれば、夜な夜な画面を共有して共に読み解き、生き残るための戦略を練る。
卒業後、親御さんと、ご家族とランチやディナーをご一緒させていただき、結婚式や人生の大事な門出を一緒に祝わせていただいてきました。
企業の最前線でたくましく生き残る彼らと、美味しいお酒を飲み交わしながら、「今度のプロジェクトの壁打ち、付き合ってくれませんか?」と笑い合う。
目先の点数という流動資産ではなく、一生モノの思考力とWetな人間関係という固定資産を。 それこそが、Testnationが掲げる本物のThe Gold Standardなのです。
