喪失感を希望に変えて。新しい沙弥様と私たちの「史上最大の悪夢」の続き。
横浜はあいにくの雨でした。
あの日、横浜アリーナを包んだ地鳴りのような大歓声。その歓喜の渦の中で、私は一人、言葉にならない絶望を味わっていました。ずっと彼女の腰にあった「赤いベルト」が、別の誰かの手に渡った瞬間。3カウントの音が、今も耳の奥で鳴り止まないような気がしています。
あの日から3日が経ちました。正直に言えば、まだ心にぽっかりと穴が空いたような感覚は消えていません。
でも、立ち止まっている暇はありません。なぜなら、彼女の「第2章」はもう始まっているからです。
名古屋で待つ、予測不能な「新しい楽しみ」
来月には名古屋でのビッグマッチが控えています。 スターダムのルールとして、メインイベントは赤いベルトのタイトルマッチ。そこに彼女の名前はありません。最初はそれが何よりも寂しく感じられました。
けれど、今は少し違う視点でその日を待っています。 メインイベントという「王者の責務」から解き放たれた彼女に一体どんなカードが組まれ、どんな風に会場をぶち上げてくれるのだろうか?
防衛戦という緊張感とはまた違う、予測不能で、ハングリーな「挑戦者・上谷沙弥」の暴れっぷりが見られる。そう思うと、失ったものへの悲しみよりも、これから始まる新しい景色へのワクワクが勝り始めています。
雨の万世橋で飲み込んだ「あ」の一文字
横浜の興奮冷めやらぬ中、私は神田万世橋で開催されている中野たむ選手のメモリアル展へ足を運びました。
私がこの世界を知ったとき、彼女はすでにリングを去っていました。だから、私にとって彼女は「伝説の中の人」でした。けれど、展示された衣装や、かつて戴いていた美しいティアラを見つめるうちに、私は気づいてしまったのです。彼女もまた、私の心を救ってくれた大切な表現者だったのだと。
会場にあったメッセージパネル。多くのファンの想いが綴られたその場所で、私はどうしてもペンを握ることができませんでした。 もし書いていたら、最初の一文字は「あ」だったでしょう。
「あなたがいたから、今のスターダムがある。そして、今の沙弥様がいる。素敵な物語を、本当にありがとう」
その想いを言葉にしてしまったら、きっとその場で涙が止まらなくなってしまう。そう確信したから、私はペンを置きました。その「あ」の一文字は、今も私の胸の奥で、静かに熱を持って生き続けています。
奇跡のような地元開催、そして「風」の再始動
そんな絶望と追憶の中にいた私に、信じられないニュースが飛び込んできました。 私の住む、この静かな街に、スターダムがやってくる。
なぜ、このタイミングで、この場所に? これまでも彼女との間には、勘違いしてしまうほどの奇跡的な偶然が何度も重なってきました。そして今回、最強の挑戦者となった彼女が、私の地元にやって来る。またも奇跡的な偶然が起きました。
彼女の瞳にこの街の風景が映り、ほんの一瞬でも心が癒される瞬間があれば嬉しい。そして何より、私たちが彼女を再び頂点へ押し上げるための「風」になるべき時が来たのだと、運命のようなものを感じずにはいられません。
4. 最大の尊敬と、しもべとしての愛を
かつて、今は凍結されてしまったあのアカウントで、私は貴女に伝えました。 「貴女の背中を押す風になる」と。 それが、貴女から最後にもらった「いいね」でした。
私は一人のファンとして、貴女のプライベートに踏み込んだり、勘違いした言動で怖がらせたりするようなことは絶対にしません。 私が贈りたいのは、最大の尊敬と「しもべ」としての愛だけです。 貴女のやりたいことがちゃんとファンに伝わっているよと、声援という形で示し続けたい。それがほんの少しでも、貴女が前を向くためのモチベーションになってくれれば、それだけで十分幸せなのです。
「ひとまず、お疲れ様でした。そして、ここから始まる『史上最大の悪夢』の続きを、誰よりも期待しています」
東京ドーム、絶対に行きましょう。 ベルトがなくても、貴女は私たちの光です。
私はこれからも、貴女の背中を押し続ける「風」であり続けます。
