「中年のバラード」に寄せて
2月号「「1日』④私鉄車両」を読んで、感動のあまりに涙をこぼしそうになった。私は逢ったことはないけれど、京阪3000系よ、お前は大変な日々の仕事を文句一つ言わずにこなし、幾多の人生を乗せながら、これほどの想いを蓄積してきたのかい……? それに鉄道車両が20年で寿命だなんて、私は今まで知らなかった。「新しいものが主役」――レールファンであっても、どうしたって新型車両に目が行って、いつもの車両に対する愛着はこれでも薄かったのだと、痛烈に思い知らされた。与えられた使命を精一杯にこなしても、いずれ消えゆく運命にある、全ての鉄道車両のために、逆に私たちがして返せることは何なのだろう。個人の力では整備もできなければ、金銭的な援助にも限界がある。だからせめて、これからは鉄道に乗るたびに、車両に自分の想いをつぎ込もうと思う。JR東日本113系にも、営団地下鉄丸ノ内線02系にも。なあ、今日はこんなことがあったよ、お前は元気か? って。それが彼らの財産になるのなら。そして、自分がそれを記憶にとどめることが、彼らが死んだ後の、存在証明になるのなら……! 生命あるかぎり、私は想い続け、彼らは走り続ける。
(1995/3)
