『鉄との戦い』第11話(最終話):歩き出すという選択
― 見えない支えがくれた勇気 ―
父のいなくなった工場で、
ようやく「自分の居場所」に立てた瞬間があった。
孤独の先に見つけたのは、仲間と共に進む力。
父がいなくなったあとの会社には、
少しずつ、自分が選んだ社員たちが増えていった。
最後に辞めたのは、父が入れた社員だった。
俺は、父が残したものを、自らの手で壊したくはなかった。
その社員もかなり高齢だったが、
本人の気持ちを尊重し、「ここまでにしよう」と区切りをつけるまで働いてもらっていた。
会社も、人も、仕事も。
父が残したものは、すべて受け継ぐつもりでやってきた。
そのあとに入ってきたのは、
面接を通して自分が選び、
自分の言葉で迎えた人たちだった。
彼らは俺を“社長”として頼ってくれた。
困ったときは相談してくれて、
うまくいったときは一緒に喜んだ。
「ようやく、自分の場所に立っている」
そう思えたのは、この頃が初めてだったかもしれない。
もちろん、現実はまだまだ厳しい。
仕事が多くて間に合わないときは、
自分が時間を作って現場にも入った。
でも――
誰かと同じ方向を見て動けることが、
あれほどまでに心を軽くしてくれるとは思っていなかった。
初めて、
“孤独じゃないかもしれない”と思えた。
それはほんの一瞬のことだったかもしれない。
でもその瞬間は、
確かに俺の中で、次に進む力になった。
だから今、
歩き出すという選択をしている。
湊という名前で。
俺自身の人生として。
――鉄との戦いは、これからも続く。
そして、俺の本当の挑戦は、いま始まったばかりだ。
ここまで 『鉄との戦い』第一章 を読んでいただき、
本当にありがとうございました。
孤独と葛藤の中で、支えてくれた人々がいたからこそ、
今日まで歩んでこられました。
この物語が、誰かの 「次に進む力」 につながれば嬉しく思います。
正直に言えば、この先のことはまだ決まっていません。
けれど、こうして書ききることで、
自分の足で一歩を踏み出せた気がしています。
第2章は、いまも私自身が歩んでいる “現在進行形”の物語 です。
書くかどうかはまだ決めていませんし、
どんな結末になるのかも、私自身にもわかりません。
だからこそ、第一章をここで区切りとし、
ひとつの記録として残したいと思いました。
読んでくださった皆さまが、
少しでも心に何かを残してくださったなら、
それ以上の喜びはありません。
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『鉄との戦い』を読んでくださりありがとうございます。
この物語が少しでも心に残ったなら、応援いただけると次の力になります。