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自分で作った作品保護ツールを、自分で疑う。──AI和指紋くんの検証、事前登録

ぼくは「AI和指紋くん」という作品保護ツールを作った。
作品画像に、目に見えない独自に開発した質感LoRA技術で和紙の繊維パターンを織り込む。無断でAIに学習されたときに、あとから「これは僕/私の画像なんだ!」と示すための、『透かし技術』防衛、証明、そして抑止。

でも、正直に言います。AI和指紋くんが本当に効くのか、ぼくはまだ掴みきれていません。

だから、確かめます。そして——実験の結果を見る前に、この記事で「何を測るか」「何をもって成功・失敗とするか」を先に公開します。

あとから基準を動かせないように。

検証手法(コード)はGitHubに公開しています(登録時点のスナップショット:commit c98816f)
https://github.com/TextureLoRALab/github_washi_verify

なぜ、先に基準を出すのか

「検証してみた」という記事は、世の中にたくさんあります。でも、その多くには落とし穴があります。

やってみて、うまくいかなかったら、そっと公開しない。あるいは、結果を見てから「成功」の定義を都合よく変える。

AIから絵を守るツール(GlazeやNightshadeなど)をめぐって、クリエイターがどこか懐疑的なのは、こういう「後出し」を何度も見てきたからだと一人の製作者として感じます。

だからぼくは、逆をやります。基準を先に出し、結果がどちらに転んでも公開する。これは、あまりやりたがらないことだけど、技術を売る前にやるべきことだと思っています。

何を確かめるのか(2つの問い)

問い1:透かしは、ネットの流通を生き延びるか。

画像は、投稿されるとき圧縮され、リサイズされ、スクショされ、再投稿されます。X・note・Blueskyに一度上げて、また落とす——その過程で、目に見えない和紙のパターンは残るのか。まずここを見ます(この検証はGPU不要でできます)。

問い2:AIに学習させたとき、透かしはAIの「出力」に残るか。

もし誰かが、透かし入りの画像でLoRAを学習させたら——そのLoRAが吐き出す画像の中に、和紙の信号は検出できるのか。これが「AIに覚えられる」の本丸です。

順番は、問い1が先です。流通で消えてしまうなら、問い2を調べる意味がないからです。

判定基準(結果を見る前に確定)

その前に、『物差しそのもの』を点検します。透かしを入れただけの、まだ何もしていない画像で、ぼくの検出方法でちゃんと検出できるか——これを最初に確かめます。合格の基準(検出率90%以上・偽陽性率5%以下)も、いま固定します。もしここで測れなければ、それは「透かしが消えた」ではなく「ぼくの測り方では測れなかった」ということ。技術の失敗と、測定の失敗は、別のことです。区別して報告します。

問い1(流通耐性):圧縮・リサイズ・スクショ・各SNS再投稿の一つ一つについて、

  • 検出率90%以上 かつ 偽陽性率5%以下 → その変換に「耐えた」

  • それを下回る → その変換では「消える」

と判定します。都合のいい変換だけを選んで載せることはしません。

「検出できた/できない」を分ける基準値そのものも、変換をかける前の画像で先に決めて固定します。結果を見てから、線を引き直さないためです。

問い2(学習残存):透かし入りで学習したLoRAの出力と、透かしなしで学習したLoRAの出力を、和紙信号の強さで見分けられるかを AUC という数値で測ります(AUCは「2つのグループがどれだけ分かれているか」の指標。0.5=まぐれ、1.0=完全に区別できる、という読み方をします)。

  • AUC 0.9 超 → 「学習残存あり」。検知の主張を、はっきり出せます

  • 0.7〜0.9 → 「部分的に残る」。条件つきの表現に留めます

  • 0.7 未満 → 「現状の手法では、出力から検出できない」。
    この場合、AI和指紋くんが何を約束するかを、ぼくが書き換えます

(0.7未満のときの報告は、上の点検を通っていることが前提です。点検を通った物差しで測れなかったなら「透かしは入力では測れるが、出力からは検出できなかった」。点検自体が通らなかったなら「測定方法が足りなかった」。この2つを混ぜません。)

約束

結果が良ければ、それを証拠として出します。

結果が悪ければ——たとえば問い2が0.7未満で「出力からは検出できない」と出たら——それも、隠さずに書きます。そしてAI和指紋くんの説明を、正直な範囲に直します。

そして、結果がどちらに転んでも、これが小さな個人の検証であることを添えます。学習は透かしあり・なしで各2本ずつ、計4本。そこから計400枚を生成して測る。大きく言い切りたければ、本数を増やした追試が要る——そこまで含めて、正直に書きます。

「効くかもしれない技術」を、効くと言い切って売ることはしません。効くかを、公開の場で自分に問う。それが、この事業でずっと守ってきたやり方です。変えたくありません。

結果は、準備が整い次第、このnoteで報告します。良くても、悪くても。
——
検証の途中経過と、検出コードの読み解きは、メンバーシップ「質感LoRAラボ」で先行して報告します。結果の要約はこれまで通り、無料記事で公開します。
https://note.com/texture_lora_lab/membership

(2026年8月2日 追記)検証は終わり、結果を公開しました。結論:保護ツールとしての開発は停止します。約束できる水準の防御は作れないと判断しました。ただし、質感の層を貼る仕組みは、ときめかせるための道具として作り直します。検証結果の記事:https://note.com/texture_lora_lab/n/n4d0a552cca63

質感LoRAラボの入口はこちら → https://note.com/texture_lora_lab/n/nc6b9fe2692a4 

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