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小さな港町にある神社、そこに集まる猫たちと人間たちのお話~「五香宮の猫」

徒然に 650
映画を観終わってしばらくしてお客さまが
「猫は可愛いいし大好きで、我が家でも保護猫がいて、いまや家族の一員です。
でも映画見ていて考えること多いな…と思って」そんなお話を。

瀬戸内に面した小さな港町にある神社「五香宮」(ごこうぐう)。
そこに集まる猫たちと人間たちのお話です。

猫に餌をあげたり、写真撮ったり、
お休みの日は癒しを求めてごひいきのアイドル猫に会いに来たり、
でもこの日はいないので探しあわてる様子。

神社前の堤防ではのんびりと釣りをする人、
そこには釣れた魚を狙って猫たちが。
おじさんから貰った小さな魚をくわえてそそくさを道を急ぐ猫の行き先には
「にゃぁ~」と小さな鳴き声をあげながら子猫が駆け寄ってくる。
まずは要領の良さそうな子猫が先に食事をゲット。
お母さん猫はまた釣りをしているおじさんのところでじっと待つ。
そうしてまたお魚をゲット、
急いで子猫が待つところへ。
今度は先ほどもらいそびれた子猫のところへ。
お母さん猫は忙しい。

そんな猫たちを撮っているカメラに猫も興味津々だけれど
子供たちたちも「ねぇねぇ」と話しかけてくる。
「映画監督になった理由は?」「これって映画になるの?」

猫たちの不妊手術のための捕獲作戦が始まる。
猫はおあわてで逃げるし、捕まったら必至に抵抗。

「ごめんね、ごめんね」と何度も謝りながら連れてゆく。

この場所では猫に餌をあげたり、糞尿の始末をしたり、猫たちの世話をしている人たち、
草花を植えて日課のようにお水をやり育てる人たち、
さぁ今日は草刈りだと大仕事。
神社には色彩がある。

猫が苦手というおじいさんも、糞尿のにおいにあまりいい気持ちはしていないみたい。
でもきっと見つけたらきっときれいにお掃除するのだろう。

生き物が好きな人も、嫌いな人も、それなりに折り合いをつけながら共に暮らしていいんだなということがわかってくる。

年に一度の大掃除、みんなで神社をきれいにほこりをはらって、床を拭き
みんなでこの神社を大事に守っている。
神社だけでなくそこにいついた猫たち生きものも人間たちも共に生きようと
いろいろ知恵を絞っている。
自分にできる気持ちいいことをしようとしているようで
見ている私たちも気持ちがいい。



いのちには限りがある。それは悲しいことだけれど
だから一緒のいることを愛おしいと思いたい。
そんな五香宮のゆっくりとしたささやかな日常に
今私たちの日常を重ねてみる。

先ほどお客さまが「考えることがいっぱい」とおっしゃっていたけれど
ゆっくりと何かを感じることができたなら
なにかが変わってゆくのかもしれませんね。

★つづきはパンフレットにあります想田監督のお話を
ご紹介しますね。



徒然に 650-2
(つづきです)

パンフレットにあります想田和弘監督のお話がとてもすてきでヒントにもなりそうです。
ご紹介します。

・・・

縁あって、牛窓で「牡蠣工場」(2015)と「港町」(2018)という2本の映画を撮った。
当時、僕と妻でプロデューサーの柏木規与子はニューヨークに住んでいて、後年、牛窓に住むことになるなどとは、夢にも思っていなかった。

しかし2020年にコロナ禍が起き、僕らの生き方を大きく変えた。
2021年1月、僕らは27年間住んだニューヨークを離れ、牛窓に移住した。
コンクリートで固められた大都市で自然から隔絶されて生きるのをやめて、
海と山に囲まれながら、可能な限り自然と共に生きていきたいと思った。

『五香宮の猫』 の撮影は、牛窓に移住して間もないころ、唐突に始まった。

僕と柏木は路頭に迷っていた野良猫の兄弟(茶太郎とチビシマ)を保護せざるえなくなり、
地元の猫の保護活動に携わる方のお世話になった。

その成り行きで、柏木は五香宮の猫たちを一斉に捕獲し、避妊去勢手術する活動に参加することになった。勢い、僕はその様子を撮り始めた。

五香宮の猫の捕獲活動を撮影していると、
このちいさな神社には実に様々な人々がさまざまな理由で出入りしていて、
不思議な公共性があることに気づかされる。
また牛窓には野良猫を世話する人々がいる一方、
糞尿などの被害から“猫派”に不満をいだく人々もいて、
それが地域の火種になっていることも気づかされる。
僕は五香宮という場所が持つ力に興味を覚えて、その後2年近く、カメラを回し続けた。

撮影はこれまでの作品同様、「観察映画の十戒」に基づき、事前のリサーチや打ち合わせなしに、行き当たりばったりで行われた。
柏木は成り行き上、本作のプロデューサーであると同時に、被写体にもなった。
その結果、撮る側と撮られる側の境界線があいまいになり、
究極の「参与観察」の映画になったのではないだろうか。

牛窓で暮らし始めてから、すでに破局が近づいているようにみえる自然と人間の関係について、考えさせられることが多い。

外で暮らしている猫たちと接していると、自然の掟に従い、
野生の習性を失っていない彼らは「自然」そのものであると感じる。
そういう意味では、『五香宮の猫』は自然と人間の関係を観察し、考える作品になったのではないかと思っている。    

                        ―監督:想田和弘



劇場公開に先立って出演して下さった牛窓の皆さんにいち早く地元試写会で
見ていただいたそうなのですが

そこでは

日常のいつもの風景がカメラを通すと特別な景色に見えてきて、
なんか誇らしく思えたり、
(その気持ちわかりますね)

気づかなかったところで一生懸命お世話している姿に
神社と猫たちが共存していけたらいいな
そんな声がたくさんいただいたそうです。

映画のラストには神社に捨てられたばかりの3匹のちいさなちいさな子猫が登場しますが、この猫たちは名古屋の方に3匹一緒に引き取られたと、監督からお知らせが。

きっとみなさんほっと安心したことでしょう。

●「五香宮の猫」キノにて人気上映中です。

※牛窓=うしまど と読むのだそうです。




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