若者のすべて ―ライブハウスの客、ジジイばっかじゃん?問題の話も―
先日Xで、「ライブハウスに中高年男性が多い」という話が、少し話題になっていました。
若い頃の僕も、ライブハウスのお客さんに混じる“おじさん”に、少し違和感を持っていた時期があります。
でも実際に、自分がおじさんになった今、
「おっさんはライブハウスに来るな」
なんて言われたら、普通に悲しい。
ライブハウスにいて、
「今日のお客さん、おっちゃんばっかりだな……」
と思う時も、正直ありますよ。
でもね、そこで気づく。
「あ、俺、この人たちとたぶん同世代だ。おっさんを否定したら、俺もここにいられなくなる!」
すると急に、
「おっさんにも人権を!」
と声高々に叫ぶ自分が出てくる。
なんて自分勝手で、ご都合主義なんだろうとも思います。
ただ、自分がおっさんにならないと分からない、そんな感情もあるんです(笑)。
もちろん今も、若い出演者と若いお客さんを中心に動いているシーンがあって、若い世代が中心になっている場所や場面が、今もたくさんあります。
やっぱり若いシーンがライブハウスの中心であることは間違いないと思う。
一方で、お客さんの年齢層が広がっているのも、現場にいる実感としては確かです。
親子でライブハウスに来て、同じバンドを楽しんでいる人もいる。
これは、とても素晴らしいことだと思います。
ただ、若い人のシーンと、大人が楽しんでいるシーンが自然に混ざるのではなく、まるで別々の島のように分かれている。
その分断の仕方が、今っぽい気もしています。
若ければ、それだけで素晴らしいのか
若いことは素晴らしい。
僕も、基本的にはそう思っています。
ただ、昔ほど無条件にはそう思わなくなりました。
なぜなら「若さ」は、本人が持っている性質であると同時に、ずっと商売にも利用されてきたものだった…みたいな知識もついてくるんですよ。大人になると。
何の本で読んだのかは忘れたけど
社会の仕組みや歴史をたどっていくと、
「なぜ、そうなったのか?」
という理由が、おぼろげに見えてくる。
戦後のアメリカでは、高校や大学へ通う若者が増え、自由に使えるお金を持つ10代が、新しい消費者として注目されるようになる。
1950年代には、広告業界もティーンエイジャーを大きな市場として考えるようになる。
「若さ」が商売になったんです。
それは
「何も買えない若者に、若さを売りつけた」
ではなくて、
若者を一つの市場として切り出し、“若者らしさ”そのものを商品にしていった
という感じでしょうか。
若者向けの服。
若者向けの音楽。
若者向けの映画。
若者にしか分からない文化。
そうやって市場ができると、
「若いことは素晴らしい」
が、少しずつ、
「若いというだけで素晴らしい」
へ変わっていく。
さすが自由の国アメリカ。
商売だって自由だぜ。
何でも、誰にでも売りつけるぜ。
ということで、「若さ」も商売になった。
いや、「若さが社会構造に取り込まれた」みたいな感じでしょうか。
もちろん、これは若者に本来の意味での価値がないという話ではありません。
ただ、若者が持つ未完成さや勢い、時には無責任さまで、全部まとめて称賛する空気には、売る側に都合のいい部分もある 的な意味です。
若い間は、
「新しい」
「可能性がある」
「時代を変える」
と、さんざん持ち上げられる。
ところが、実際に責任のある判断を任せる段階になると、
「まだ若いから」
と言われる。
日本の成人年齢も、いつの間にか18歳になりました。
18歳以上なら、親の同意がなくても、ローンやクレジットの契約ができるようになった。
一方で、18歳未満は原則として、保護者の同意なしに自由な契約を結べる立場ではありません。
なんじゃそりゃ。
若者は持ち上げられるけれど、本当の決定権まで無条件に渡されるわけではない。
若さに、どれほどの意味があるのか
最近は、
若さには、「若い」ということ以上の価値は、本来そこまでないのではないか
と思うことがあります。
体力がある。
失敗しても、やり直せる時間が長い。
初めて見るものが多い。
それは間違いなく、大きな価値です。
でも、おじさんから見た若さが必要以上にキラキラして見えるのは、自分の過去や、もう戻れない時間を重ねているからではないでしょうか。
若い人が輝いているというより、
こちらが、自分の失ったものをそこに見ているだけかもしれない。
若さについて、僕はよくそんなことを考えます。
みんなが平等に持っていて、そして平等に失っていくもの。
「若さ」の正体って、それ以上でもそれ以下でもないのかもしれません。
ライブハウスの平均年齢
僕はライブのMCで、よくこんな話をします。
ライブハウスは、出演者もお客さんも含めて、そこにいる人たちの気持ちの平均年齢を、ちょうどいいところへまとめてくれる場所なのではないか。
10代の子は少し背伸びをして、20代前半くらいになる。
大人は大人で、自分がいちばんキラキラしていた頃を少し思い出して、20代前半くらいになる。
実際の年齢は違っていても、音楽が鳴っている間だけは、なんとなく同じ場所に立てる。
若者だけの場所でもない。
おじさんだけの場所でもない。
きれいごと上等。
みんなが楽しくいられる場所。
本当は、そういう場所であってほしいと思う。
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