2026年4〜6月のさらにもう10枚のアルバム
どうも。
3ヶ月に1度の10枚のアルバムでは、いつも同時に「惜しかった10枚」も発表してるんですが、今回もあります。
こんな感じです!

では、早速行きましょう。



ヒップホップを立て続けて3枚。ドレイクの「Iceman」、ヴィンス・ステープルズの「Crybaby」、そしてニーキャップの「Fenian」。この3枚なんですけどね。
ドレイクは、今年の上半期にヒップホップがアメリカで苦戦する中でなんとか孤軍奮闘した感じを残せた意味では評価してます。しかも「Scorpio」あたりから惰性になってたトラップから一歩引いてちょっとオールドソウル風のトラックに移行したことや、リリックで多少話題になるトピックが作れたことは評価したいところです。ただ、3枚同時にアルバム出す意味はあんまりなかったかな。
ヴィンス・ステープルズはロックの生バンドでロックっぽいトラック作って、政治を始めとして破綻したアメリカ社会のシステムを揶揄、批判するという内容。今年入って聴いたアメリカのヒップホップでは一番良い感じでしたが、ただ、こういう感じだと実験的に解釈されてスポットライト浴びにくいのが今のアメリカのヒップホップ界なのか・・・と考えるともどかしくもあり。
ニーキャップは音楽的にも政治的にも今一番トンガッたアイルランドが誇る戦うヒップホップ3人組。今回も辛辣なリリックそのものは冴えてます。ただ、せっかく前作と主演映画で注目されて最大の追い風吹いてる中で出る作品としてはちょっと無難すぎる感じも受けました。もうちょっと刺激欲しかったかな。

その意味でいうと、このニューヨークのインディ・バンド、リップ・クリティックのセカンド・アルバム「Theft World」。これ、なかなか刺激ありましたね。高速ドラムン・ベースみたいな衝動的なブレイクビーツやディストーション深くかけたベース音を主体とするバックトラックに乗せて煽情的なラップを乗せる感じなんですけど、こういうヒップホップ・アクト出てきたら応援したい感じがありますね。上の3つのヒップホップよりもこっちのほうがカッコいいとは思いましたね。


続いては00年代からの今やベテランのバンド。エヴァネッセンスの「Sanctuary」とMUSEの「The Wow! Signal」。エヴァネッセンスは女性ニュー・メタルバンドという先駆性を活かせそうでなかなか活かせなかった時期が長かったのですが、ようやく時代が合ってきたと言うか。元ブリング・ミー・ザ・ホライズンのジョーダン・フィッシュがプロデュースについたことでエレクトロ・テイストのトラックなども説得力上る感じになってますが、でもなによるエイミー・リーのヴォーカルが力強さ、透明感で共に増しているのが何よりの説得力です。MUSEは彼らの人気をそもそも00年代に押し上げた、ロマン派クラシックのような耽美的な仰々しさが良い意味で戻って来たのが良いですね。アメリカでも売れるアリーナ・バンドになってちょっと縮こまっていた気もしてたので。

あと、ダークホース的に面白かったのがナイル・ホーランの「Dinner Party」。今、裏方として音楽界最大の売れっ子と言えば、ジョン・ライアンとジュリアン・ブーネッタのコンビですが、その2人、元はと言えば後期ワン・ダイレクションのソングライター・チーム。で、1D解散後、誰について来てたかといえば、実はナイルだったんですね。ナイルの場合、ソロになってからはフォーク・ポップ的な印象もあったんですが、ここでは最近のサブリナにも共通するポップ・ロック的な展開で、そうした種明かしがわかりやすい感じになっています。ぶっちゃけ、今年3月に出たハリー・スタイルズのアルバムより出来はいいです。

続いてはオーヴァーパス。これは6月にデビュー・アルバム「Elsewhere,Always」を発表し、これがいきなり全英アルバム・チャート5位を記録したバーミンガムのバンドなんですけど、事前のバズが高くなかっただけ、掘り出しものっぽい感じで得した気になりましたね。タイプとしては90年代からいるタイプのウェットな質感を持つ雄大なアリーナ・ロックを奏でるタイプのバンドで、特に何か変わったポイントがあるわけではないんですけど、曲はしっかりかけてて聴き応えがいいんですよね。近年、ロイストン・クラブだったり、ザ・モロトフスもそうですけど、批評家よりもリスナーが評価してそれに支えられるタイプのバンドが出てきてますが、そのひとつになりそうな感じがします。

続いてはマイ・ニューバンド・ビリーヴ。これはジョーディ・グリープに続く、ブラック・ミディから派生したもののひとつで、ベーシストだったキャメロン・ピクトンによるニュー・バンドです。フロントマンだったジョーディがブラック・ミディの変態性の部分をうけついでいる印象があるんですけど、こちらはかなりメロディックなフォーク・ロック、それもバロック・ポップを聞かせてくれています。とりわけストリングスの編曲能力のセンスがいい感じですね。セールスでそんなに結果が出てないんですけど、批評家評価がのきなみ高いので、このアルバムのツアーから注目集まるんじゃないかという気がしてます。

そしてラストはボーズ・オブ・カナダの「Inferno」。1998年のデビューの時から、アンビエントなフォーク・トロニカ系ではカリスマだったんですけど、前作から13年間隔が空いたことでそのカリスマ性と待望感が高まった後のリリースだったこともあって、もうその界隈の人たちの間では大騒ぎでしたね。最初聴いた感じだと「もちろん質は高いけど、今って感じなのかな」と、久しぶりのリリースだったこともあってそこまでグッとこなかったんですけど、聴き込んでいくうちに、そこかしこに感じられる不穏なオカルト的な空気感に対し、昨今のホラー・ブームに呼応するような世の不安感も感じられ、「ああ、なるほど」とも思うようにもなり。回数重ねることによって聴こえ方も進んでいくような気がしてます。
