「カルチャーのリバイバル」が「20年周期」というのは本当か
どうも。
今日はこういう話をしましょう。ちょっと最近起こった話で、思いついたことがありまして。
ちょっと今、海外エンタメの世界では「ストレンジャー・シングス」「トップガン マーヴェリック」が流行りですよね。そのことは2日前の投稿でも触れましたけども、これ、面白い共通点があるんですよ。それは
1986年!
どちらとも、この年に深く関係してるんですよね。「ストレンジャー・シングス」の方は現在、1986年を舞台にした話が進行中。そして、「トップガン」の方は元が1986年特大ヒット映画。ということもあり、1986年がはからずも注目されてるんですいね。ちなみに今、「ストレンジャー・シングス」経由で国際的に再ヒットしているケイト・ブッシュの「Running Up That Hill」は1985年の曲ですが、まあほぼ同時代の曲ととらえても問題ないかと思います。
で、今、ツイッターの方の企画で「70年代ベストアルバムランキング」という企画がはじまって、今、投票期間中なんですね。僕も面白がって参加したんですけど、僕の場合、70sは映画でのカルチャーの印象、しかもそれが「リバイバルとしてのアメリカの70s」のイメージがすごく強くて、かなりそれを意識した感じになったんですね。
そこで思ったんです。
「リバイバル流行20周年説」って本当なのかな?
これをちょっと検討したいと思いました。考えていくうちに思い出すことも多く、興味深くなったので語るのも良いかと思いましてね。
というのも、これ、「ある時期まではぴったり20年」だなあと僕も思ってふと感心したんですね。ただそれが時の経過とともにだいぶ後ろにずれこんできてるなあ、という感じなんですよね。そのことについて語っていこうかと思います。
①70年代に起こった50sリバイバルの場合
レトロのブームがポップ・カルチャーで起こるようになったのは1970年代の半ばのことだと思ってます。
そのきっかけはやっぱ、これですよね。
1973年に映画、サントラともに現象的ヒットになりました「アメリカン・グラフィティ」。これ、誤解されがちなんですが、そもそもは50sリバイバルが目的じゃないんです。時代設定そのものは1962年。つまりベトナム戦争が始まる前の陽気で楽天的なアメリカ。これを表現したかったわけです。
ところが、サントラの収録曲があまりにロカビリーやドゥワップといった50sテイストが強めだったがために、すごく50sのイメージが強くなったんですよね。やっぱ、そういう音楽にハンバーガーにミルクシェイクっていったら、やっぱ50sですもんね。
で、その50sイメージというのがだんだん定着していきまして。
テレビでも「ハッピー・デイズ」という人気ドラマがはじまりました。これ、分かりやすく言うと、ウィーザーの「バディ・ホリー」のMVの元ネタのドラマです。
さらに
1978年、当時現象的なヒットになりました、ジョン・トラヴォルタとオリヴィア・ニュートン・ジョンよる50sミュージカル「グリース」。
そして
1959年に夭折した伝説のロックンローラー、バディ・ホリーの伝記映画も同じ1978年に出てヒットしています。
②80年代に起こった60年代リバイバルの場合
今度は80年代に起こった60年代リバイバルの話をしましょう。
80s育ちの人、特に日本人、これに無自覚な人が実は多いんです。「そんなものはなかった」という人もいるでしょう。でも、実はこれがあるんですねえ。
1982年の暮れにフィル・コリンズがスプリームスのカバーの「恋はあせらず」、そしてホール&オーツが「マンイーター」を流行らせた時、「モータウン・サウンド・リバイバル」がすごく叫ばれました。洋楽雑誌でも特集組まれたりしてたんですよ。
それって実は他にもあって
ABCの「ルック・オブ・ラヴ」のMVが60年代の大ヒット・ミュージカル「メアリー・ポピンズ」を意識してたり、カルチャー・クラブの「ポイズン・マインド」も、これもまんまモータウン調だったりしました。
1986年にはまさに60s前半のロンドンのカルチャーをテーマにした映画「ビギナーズ」まで出たりしましたからね。それなりに60sってすごく意識されたんですよ。
で、これも、あんまり派手に気づかれないんですけど、ハリウッド映画にも60sの影響ってこの頃あったんですよ。
この当時の青春映画の巨匠でしたジョン・ヒューズの手がけた1986年のヒット作「プリティ・イン・ピンク」。ここで報われないオシャレな好青年ダッキーが、オーティス・レディングの60sソウルの名曲「Try A Little Tenderness」をリックシンクで歌い踊って、この当時のサブカル少年少女の憧れだったモリー・リングウォルド扮するアンディーに思いをぶつける
シーン。これが一番象徴的ですね。
あと同じくジョン・ヒューズの「フェリスはある朝突然に」、これも青春映画の古典ですけど、ここのシカゴでのパレードのシーンで、マシュー・ブロデリック扮するフェリスがビートルズの「ツイスト&シャウト」を歌うシーンもかなり有名です。
③90年代に起こった70年代リバイバルの場合
そして90年代には70年代リバイバルが起こります。
いみじくも、この時代の前半に起こったグランジのムーヴメント。これが70年代のハードロックの影響を強く受けたもので、ファッション的にも80sのピカピカな感じから埃っぽくカジュアルな70sに戻ったことが指摘されましたね。
で、映画でも70sリバイバルが、徐々に起こっていくことになります。
まず1993年に、1976年の青春群像を描いた「Dazed And Confused」、これがカルトヒットして、リチャード・リンクレイターがインディ監督として注目されます。
そして90年代後半にポール・トーマス・アンダーソンが「ブギーナイツ」、ソフィア・コッポラが「ヴァージン・スーサイズ」といった、ともに70sを題材にし、音楽も徹底的に70sにこだわったことで高い注目を受けます。
あと、テレビの方でも90年代の末からその名も「That 70s Show」がはじまりました。こういうことが積み重なったので、アメリカでのカルチャー70sまっしぐらだったんですよ。
あと、クエンティン・タランティーノが70sの黒人のブラックスプロイテーション映画のスーパー・ヒロインだったパム・グリアーを主演にした「ジャッキー・ブラウン」も作りましたよね。あとミュージック・ビデオではビースティ・ボーイズの「サボタージュ」が70s刑事もののパロディだったりもしたし。
で、さっき言った、70sのベストアルバム企画なんですけど、僕が思い切り、90sのこのあたりの70sリバイバルの影響、モロに受けたんですよね(笑)。従って

僕が選んだ70sの50枚のアルバムがかなり思い切り影響を受けたものになっています(笑)。
④実は90sからリバイバル周期に遅れも
ただ、この90sから、リバイバル周期が実は遅れ始めもするんですよね。
だって、
オアシスとブラー筆頭にしたブリットポップのブームがイギリスでおきますけど、これって70sじゃなくて60sに近いですよね。
さらに
1997年のこの「オースティン・パワーズ」。これも、1967年から冷凍された男が現代に出てくる設定だから、まんまスインギング・ロンドンの時代のリバイバルだったわけじゃないですか。このあたりから、必ずしもリバイバル流行が20年周期でなくなるんですよね。
で、アメリカで2000sといっても
「スター・ウォーズ」のエピソード1−3とか、「チャーリーズ・エンジェル」のリメイクとかに力入れるでしょ。これ、両方とも1977年の作品で。これ、アメリカ人、どうしようもなく好きなんですよ。1977年って、アメリカン・カルチャーが完全にベトナム戦争から離れて逃避的な消費狂騒に走る年ですからね。だから思い入れ強いんですよね。だから70s後半っぽさというのが引き続きます。
https://www.youtube.com/watch?v=QvJ1K0_JzFI
2004年のコメディの大傑作「俺たちニュースキャスター」も1976年舞台で思い切り70sですからね。
⑤2010年代に入ってようやく本格80sリバイバル
音楽の方では80sリバイバルな感じのエレクトロ・サウンドが2000sに入る頃からでてきます。それをもって80sリバイバルがあったように言う人もいるんですけど、決定的なものが出なかったんですよ。
やっぱり、それってなんでかというと、映画やドラマでそれを視覚的にわかりやすく表現したものが出てこなかったから。だからもたもた、結構時間がかかってるんですよね。
ただ、それが「ようやく出てきたかな」と思ったのがこれでしたね。
それこそ、はじまったばかりの「ストレンジャー・シングス」だったんですよね。2016年。これのはじまりの設定が1983年。80s前半のニュー・ウェイヴがバリバリかかったから、音楽的には僕、この時期の方が好きなんですよね。
ただ、ようやく、80sそのものを可視化するものが出てきて、やっと「80sリバイバル」が実感できましたね。
これがあったあとに
80年代の人気映画「ベストキッド」の30数年後の続編の「コブラ会」ができ、
イギリスで80年代のエイズを題材にした「It's A Sin」などもでてきたわけですよね。
これでようやくエイティーズ・リバイバルが軌道に乗ったと思います。
で、10年代って、音楽もリバイバル遅くて。だってシティ・ポップ・リバイバルでしょ?それも日本だと80s前半のもので、The 1975への影響が感じられるティアーズ・フォー・フィアーズ、プリファブ・スプラウト、ブルー・ナイルだって1980s後半のイギリスのものじゃないですか。90sまでまだたどり着いてないんですよね。
⑤で、今がようやく1986年リバイバル
で、冒頭にも言いましたけど、今が「ストレンジャー・シングス」や「トップガン マーヴェリック」で1986年なわけじゃないですか。
ただ、これ、他のカルチャーも速度的には同じくらいじゃないかなというのが僕の感想でして
このウィーケンドの曲聴いても、まだ、その時代くらいの感じがしますからね。
ハリーのこの曲だって、ahaの「テイク・オン・ミー」を彷彿させるの声もあるし。これだって1985年のヒットですからね。
だから、まだリバイバルの気分的には、このくらいの時代なんでしょうね。周囲はY2Kリバイバルだと仕掛けようとしてますけど、仕掛けたい人がいたとしても、ついていかないんじゃないかという気が僕はしてます。
ようやくオリヴィア・ロドリゴがグウェン・ステファーニとかアラニス・モリセットと親交深めたりして90sリバイバルっぽさを出そうとしはじめてますけど、これからでしょうね。
ただ、90sリバイバルが起こるとしたら、それは僕は90sの後半だと思います。基本リバイバルは、シリアスな時期を避けて起こるものなので(笑)。70sのリバイバルがベトナム戦争時を避けるように、90s前半の暗く重い時期にはいかないような気がしてます。だからこそのY2K、あの時期は明るいんで、そっちに行きたがるのかなとも思うんですけどね。
