10月5日 御船町恐竜博物館
車での移動となったので時間的に余裕があり、朝風呂に入ったり外のお店でモーニングを食べたりしたメンバーも。ゆっくり9:30にホテルを出発し、近くにある熊本城で加藤神社に参拝もできた。博物館に着いて、まず近所の恐竜公園へ。たまたま何かのお祭りをやっていて屋台が出ている。他のメンバーはここでカレーを食べたらしい。

ようこそ恐竜の郷・御船町へ。地元にカルカロドントサウルス像がある暮らし・・ちょっと住みたい。たてがみ状の冠羽があるのか。

路傍の石にミクロラプトル。羽毛痕の描き方がいいですね。

博物館玄関左手のティラノサウルス像。

チケットを買って常設展示に入ると、まずミフネリュウの化石標本が迎えてくれる。発見した親子の再現ドラマ付きで、よくできた映像が流れ、真鍋先生がミフネリュウの歯を手に、回転してナイフのような薄さを見せる。カルカロドントサウルス類と似ている。
恐竜を中心に御船層群で発見された動物のジオラマがある。ハドロサウルス類、ドロマエオサウルス類、テリジノサウルス類、ワニ、スッポンモドキ、アドクス類などである。
博物館の設計として、まずミフネリュウを見せ、御船層群の解説とこれまで発見された様々な生物化石のパネル展示で学術的内容を学んでもらい、それから恐竜の全身骨格へ進むようにできている。もちろん素通りする人もいるだろうが、学術的研究成果をしっかり展示してあるのは非常に助かる。アズダルコ科の翼竜ニッポノプテルスの頸椎は、最近の研究成果のようだ。中生代哺乳類ソルレステスは、有蹄類の祖先にあたる系統とあり、それがこんなに早い時代から分岐していたのは初めて知った。魚類、カメ、ワニ、哺乳類、翼竜、恐竜と並んでいる。

このカメ類の図を見て違和感があった。スッポン科、スッポンモドキ科、アドクス科の背甲と腹甲である。白い線が骨、オレンジ色の線が鱗板の境界。カメの背甲は脊椎と肋骨が変形したものなので、中央の細い脊椎部分と両側の肋骨部分からなる。ところがアドクス科シャチェミスでは、脊椎部分がなく左右の肋骨部分が接しているように見える。これは脊椎部分がないのだろうか、それとも内部に脊椎部分があり、表面を肋骨部分が覆っているのだろうか。いずれにしても特殊なことが起きているらしく、この種類で頸椎や仙椎との関節はどうなっているのか気になる。背甲の腹側に椎体があるのかな。カメ一般の骨学を勉強しないといけない。

獣脚類の大腿骨、腓骨、脊椎骨。この脊椎骨はどのような根拠で獣脚類といえるのだろうか。サウロファガナクスの件を思い出す。

獣脚類の歯は、大きいものは上の列に、小さいものは下の列に並んでいる。大型のは大体カルカロドントサウルス類またはその他のアロサウロイドに見える。小型の歯は明らかに形が異なり、中には一見アベリサウルス類のような低い感じの歯冠もあるが、これは何だろうか。小型のティラノサウロイドかドロマエオサウルス類といった感じだろうか。いずれにしても、ヴェロキラプトル類やティラノサウルス類前上顎歯とあるように、鋸歯の状態や断面形状など、何か特徴的な形質があるものが同定できるということだろう。

獣脚類の骨。脛骨、距骨、中足骨、腸骨など。この腸骨は背側のiliac bladeの大部分は欠けていて寛骨臼周辺部ということだろう。恥骨柄、座骨柄、上寛骨臼稜のあたりで何か特徴があるといいですね。前寛骨臼突起の基部に稜があるような。

いよいよ恐竜大行進のホールへ。パキケファロサウルス全身骨格は科博のと同じなのかしら。

アルヴァレスサウルス全身骨格。パタゴニクスは2回くらい見た記憶があるが、これは初めてか。

トロオドン。ステノニコサウルスとラテニヴェナトリクスに分かれる前に作られた復元骨格ということだろう。福井ではステノニコサウルスと呼んでいるのかな。これは美しいですね。

このキャストの頭骨については以前から疑問がある。外鼻孔の周りの骨の配置を見ていただきたい。このキャストでは前上顎骨の突起が細長く伸びて鼻骨と接し、外鼻孔の下縁をなしている。これはヴェロキラプトルのようなドロマエオサウルス類ではこうなっているが、トロオドン類では違うはずだ。トロオドン類では前上顎骨の突起が短く、上顎骨が外鼻孔に面しているのが特徴である。2017年にまとめたビロノサウルスとサウロルニトイデスの図を貼っておく。サウロルニトイデスはかなり大きく派生的なトロオドン類であるが、トロオドンだけは異なるのだろうか。しかもこの頭骨の左側では、前上顎骨の突起が短く終わっているようにも見え、曖昧な感じになっている。左側の方が本来の形で、後から変に直したのではないか。もちろん博物館の責任ではなく、制作業者の問題である。化石が研究対象であり、復元骨格は展示物にすぎないかもしれないが、教育啓蒙に用いる以上、できるだけ正確であるべきだと思う。それともトロオドンだけはこうなっているのだろうか。



ホールの外に伏兵のようにいるカスモサウルス。フリルの形がかっこいい。

ワンケルは頭骨の吻のところがゆがんでいるので、右側の方がいいという判断だろう。ただしスペースの制約で真横から全身がとれないのは仕方ない。上の回廊からは見られる。

これはすごい。ティラノサウルス類タルボサウルス、オルニトミムス類ガリミムス、トロオドン類トチサウルスと、アルクトメタターサルな3系統をきれいにモンゴル産でまとめている。一番左がヴェロキラプトルで二番目はドロマエオサウルス類とある。ずいぶん骨が太いがアキロバトルとか?このあたりの壁面は頭骨、下顎、脳、前肢、後肢と恐竜の比較解剖学が学べる、楽しい場所である。

デイノニクス骨格は科博と東海大学にある古いものと、丹波にある新しい強膜輪つきのものは知っている。これは強膜輪なしの方か。それはともかくこのデイノニクス、橈骨と尺骨がねじれていないか。哺乳類と異なり、橈骨と尺骨はねじれないで手のひらが内側を向くはずだ。昔の完全に犬かきよりはやや良いが、まだ手のひらが下向きの傾向があるのでは。
主竜類が大きくワニ系統と恐竜系統に分かれるとき、最近はクルロタルシとオルニトディラではなく、シュードスキアPseudosuchia とアヴェメタターサリアAvemetatarsaliaに分かれたということが多い。後者は、オルニトディラの根本からテレオクラテルなどのアファノサウリアが分岐したためである。

スコミムスの顔。

上の階にはなんか、スッポンモドキがおる。池上先生が飼われていたと足立さんから聞いた。また、ミフネリュウ類縁のカルカロドントサウルスの模型がある。単純に、これを3Dプリンターで量産して販売すればいいと思った。塗装しないでペイントモデルにして、「君だけのミフネリュウを作ろう!」ですよ。
ミュージアムショップは、経営が博物館から民間に変わったばかりということで、いまのところ子供向けのものしかなく、私は買わなかった。鉄板加工業の方がいるのでしょう、恐竜のベルトバックルなんかもあったが、コスパ的に今ひとつ。

帰りの車で地元のお店に寄った。カフェ・コンフェチュールというお店で「恐竜ジャム」を売っており、ひと瓶700円か800円でいちじく、プラム、ブルーベリーなどの種類がある。それぞれ恐竜柄が選べる。また地元の商工会ビルの屋根には、「炎の王国」のインドラプトルばりにミフネリュウが乗っている。町を挙げて恐竜を盛り上げようという熱意が感じられてよかったです。
帰りは右手に阿蘇を望みながら空港に向かい、熊本空港に着いて小川さんとお別れした。保安検査場を通った後のフードコートで、桂花ラーメンを食べ、お土産を買って帰途に着いた。
今回3つの博物館とも図録が買えなかったのは残念だった。御船町は近々ミュージアムショップに入荷予定という。しかし個人では到底不可能な日程が、会員同士の協力体制によって実現できてしまう。ネットから情報収集するだけではなく、リアルで活動することが重要ですね。
