第十一話 グーグル本社ができて爆上がりしたマウンテンビューの土地
サンノゼに住み始めた頃、日系2世の男性から昔話を聞く機会があった。彼の両親は日本から来た移民で、英語を殆ど話さなかったが、彼は逆に戦後日本人に対する差別があるからと両親から英語のみ話すよう教育された。共存のため日系人はコミュニティーを形成した。その一つがサンノゼにあるジャパンタウンと呼ばれるエリアで、和食レストランやサンノゼ州立大学、高層オフィスビルが立ち並ぶ。サンノゼ別院と呼ばれる仏教寺院では年に2回、お祭りが催されるし、お祭りだけでなく、日頃から日系人は親戚付き合いなどを重要視する。
それから数十年経ち、日系人の中でも特に女性は白人男性と結婚したりして以前ほどのコミュニティの絆は強くなくなったものの、私が日本から来たというとそれだけですんなりと受け入れてくれた。
そして、2000年代に入る頃、前述の男性のマウンテンビューに住む叔母さんが土地を売りませんかという話を持ちかけられる。当時誰も知らなかったグーグルの前身からであろう。雑木林だらけだったマウンテンビューの土地を売り、その頃から高級住宅地だったロスガトスに引っ越した。
私が友達を訪ねてよくマウンテンビューに行ったのは2010年以降だが、初めの頃はまだ渋滞もそこまで激しくなく、車で8分ほどの距離にあるコスコ(CostCo) や、ゴルフ場にもスムースに行くことができた。しかし、徐々に渋滞は激しくなり、友人宅から一本出て左折しようと思うものなら何分も待たなければならないほどになった。ちなみにアメリカは右側通行なので右折は比較的簡単なのだ。
友達はエンジニアで夫もアップル勤務のエンジニアだがそれでもマウンテンビューの家のローンの支払いに四苦八苦して、しょっちゅうリファイナンス(貸付金利を下げる交渉)していた。彼女はよくこぼしていた、「こんなに狭いのに億以上するなんて信じられない」と。
あまりに地価が高騰した結果、最初は北はMarine County (マリン郡), Walnut Creek(ウオルナットクリーク)やFolsum(フォルサム)、東はLivermore(リバモア)、南はScotts Valley(スコッツバリー)などまで引っ越す人が多かったが、そのうちにそれも賄えなくなり、他州へ引っ越す人が何万人もいた。California Exodus (カリフォルニア大移動)と呼ばれる現象が起きた。テスラも本社をテキサス州に移した。
30年前は、のどかで全米一犯罪の少ないサンノゼベイエリアがこのような変貌を遂げるとは誰が想像できただろうか。土地、街、人の動きには驚かされる。。。
