好き化粧(411字) 毎週SS裏お題
娘は絵を描いていた。何について描いてるかも分からないような絵だった。
「何描いてるの?」
「完成してから見れば分かるよ」
「じゃあ書き終わったらママに見せてね」
「うん」
娘はその後もひたすらを絵を描く。私は絵なんて子供の頃に数回描いた記憶がある程度だ。
誰に似たのかしら。きっとパパね。
画家である夫はいつも絵を描きながら娘に質問されていた。
「何描いてるの?」
「完成したら分かるよ」
こんなやり取りは日常茶飯事だ。
「完成したけど何描いたか分かんないよ」
「何に見える?」
「えーと、えーと、もしかして海?」
「そう見えたなら、それが答えだよ」
「よく分かんないけど、パパすごい」
私には娘と夫が重なって見える瞬間がある。
「ママ、出来た」
私は画用紙に描かれた娘の絵を見た。
「え、何これ?」
「いつも、お絵描きしてるママだよ」
「え、私、お絵描きなんてしてないよ」
「これはね、好きな絵を描いてるママなの。出掛ける前にいつも描いてるでしょ?」
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