第110話 元気になってきた日に、泣いた理由
教員として働く中でうつ病を経験し、休職・入院・リワークを経て回復の途中にいます。
このnoteでは、うまくいかない日も含めた闘病の記録と、自己肯定感について綴っています。
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やっと、少し元気になってきた。
朝、自然に目が覚めた。
顔を洗って、外の光を見て、
「今日は動けそうだな」と思えた。
ほんの少し前まで、
布団から起き上がることさえ難しかったのに。
それなのに。
その日、私は泣いた。
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元気になることが、怖かった
体は軽かった。
頭も前より回っている。
散歩に行ける。
人と話せる。
未来のことを少し考えられる。
本来なら、喜ぶべきことだった。
でも心の奥で、別の感情が動いていた。
「また壊れたらどうしよう」
元気になるほど、怖くなっていった。
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2つの恐怖の正体
後から自分の心の中を静かに紐解いてみると、
2つの「怖さ」が隠れていました。
「また落ちるのが怖い」という再発への不安
一度どん底を見た人間にとって、
元気いっぱいな日は
「次に落ちるための高い場所」に
見えてしまいます。
高ければ高いほど、
次に落とされた時の衝撃が怖い。
だからいっそ、
低い場所に留まっていたいと、
本能がブレーキをかけていたのかもしれません。
「また頑張らなければ」というプレッシャー
うつ病になる前の私は、
元気=頑張れる状態、だと思っていました。
元気なら働ける。
元気なら期待に応えられる。
回復してきた自分を見て、
無意識にこう思ってしまった。
「もう大丈夫なんじゃないか」
「そろそろ戻らなきゃいけないんじゃないか」
その瞬間、心が緊張した。
元気になることが、
「また頑張らなければいけない合図」のように
感じたから。
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泣いた理由
でも、泣いていたのは、
弱かったからじゃない。
「もう二度とあの暗闇に戻りたくない」
そう思えるくらい、
私は本当に苦しかったんだと。
そしてそれだけの場所から、
今日ここまで来ていたんだと。
元気になってきた自分を見て、
ようやくわかった。
私は、生きている。
だから涙が出た。
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回復とは
「元に戻ること」ではなかった
以前の自分に戻ろうとすると、
また苦しくなります。
回復は復元じゃない。
回復は再出発。
一度壊れたからこそ、
以前よりも自分の守り方を知っている、
新しい自分に生まれ変わっていくプロセス。
前と同じペースじゃなくていい。
前と同じ期待を背負わなくていい。
元気な日があっても、
無理に走り出さなくていい。
その力は、
また自分を追い込むためではなく、
「自分を幸せにするため」だけに、
まずは使っていいと思います。
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まとめ
回復は、一直線ではなかった。
調子がいい日も、
できない日も、
理由もなく落ちる日も、
全部回復の途中でした。
でも一番つらかったのは、
調子が悪い日ではなかった。
調子が良い日のほうだったかもしれません。
「この状態を失いたくない」
「またあの暗闇に戻ったらどうしよう」
回復が見え始めたからこそ、
失う恐怖も生まれていた。
それは、自分を大切に守ろうとしている、
とても優しい証拠だったのだと今は思います。
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おわりに
元気になってきたのに、不安になる。
調子が良いほど怖くなる。
それは後退ではないです。
ちゃんと回復の途中にいる証拠です。
心は、もう一度壊れないように、
慎重に歩こうとしているだけ。
だから今日は、
元気でも頑張らなくていい。
少し笑えたなら、それで十分。
外の空気を吸えたなら、それで十分。
一歩進むのが怖ければ、
その場で日向ぼっこをしているだけでもいい。
あなたのペースで、
新しい自分となじんでいけばいいと思います。
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泣いた日のことを、
今は少し優しく思い出せます。
あの涙は、生きている証だったから。

