パワハラ・セクハラ完封マニュアル ※土曜日の投稿
パワハラ・セクハラは、被害を受けて泣き寝入りになりやすい。企業は基本的に、役職が高い人物を守るからだ。パワハラ・セクハラから身を守る術を伝授する。なお、私は弁護士ではないので、必ず、弁護士に相談してほしい。
記録をとる
入社初日から、記録をとってほしい。可能であれば、録音もしてほしい。パワハラ・セクハラはいつ、やられるかわからない。特に、密室で2人きりの時は要注意だ。録音は多くの裁判例で証拠として採用されており、有力な武器になる。
弁護士・医師に相談
会社の内部通報で解決することはあまりない。内部通報する場合も、合わせて、弁護士と医師(産業医・精神科・心療内科など)に相談するべきだ。うやむやにできないとのけん制になる。精神疾患になった場合は必ず、診断書を書いてもらう。これが証拠になる。ただし、いきなり、裁判などはしてはいけない。それをやると、会社と全面対決になる。弁護士は、初回相談は安い場合もあるので、相談だけすれば良い。
労基署の限界を理解する
まず前提として、パワハラそのものは労働施策総合推進法、セクハラは男女雇用機会均等法が事業主に防止措置を義務付けているが、これらはいずれも労働基準監督署の管轄外である。労基署が権限を持つのは、労働基準法・労働安全衛生法・最低賃金法など、刑事罰の定めのある法令違反だ。だから「ハラスメントを受けた」とそのまま労基署に持ち込んでも、動いてくれないことが多い。ここを誤解すると、相談で終わってしまう。
労基署へ「申告」する
労基署へのアプローチには「相談」と「申告」がある。単なる相談はアドバイスで終わるが、申告(労基法104条1項)は法令違反の事実を通告し、行政権限の発動を促すものだ。動かしたいなら「申告します」と明示すべきである。
そのためには、論拠となる法律を吟味する必要がある。安全配慮義務違反(労働契約法5条・判例法理)を持ち出すと、労基署の直接の根拠にならず「民事の話」として案内されてしまう。そこで労働安全衛生法違反というルートを検討する。精神疾患を発症した労働者に、無理な業務をやらせ、結果として「お前は仕事ができない」と追い込むセカンドハラスメントがあり得る。産業医の面接指導や事後措置の枠組み(安衛法66条の8等)を無視して達成不可能な業務をさせる行為は、安衛法上の事後措置義務違反を構成し得る。ここは「必ず違反になる」とまでは言い切れないので、どの条文のどの義務に引っかかるのかを、弁護士と詰めておくことが肝心だ。
申告を「盾」にする際は、根拠条文を特定する
労基署に申告したこと自体を理由に不利益な取扱いをすることは、労基法104条2項で明確に禁じられている。だから、申告後に報復的な不利益変更があれば、会社はこの条文違反を問われる。「盾になる」と言うなら、この104条2項を根拠として押さえておくこと。漠然と「重大な違反」と述べるだけでは、いざという時に主張が宙に浮く。
労組の団体交渉
団体交渉は、義務的団交事項であれば、会社は「正当な理由なく」拒否できない。正当な理由なく拒めば不当労働行為(労組法7条2号)となり、労働委員会への救済申立てや損害賠償請求の対象になる。義務的団交事項には、賃金・労働時間のほか、配置転換、人事考課、懲戒処分、降格、解雇などが典型例として含まれる。降格や賃下げはこの範囲に入る。
ただし、役員人事や会社組織の変更といった経営専権事項は原則として任意的団交事項となり、線引きがある点は理解しておきたい。また、既に交渉を尽くして進展の見込みがない場合など、正当な理由による打切りは適法だ。だから万能ではない。
弁護士は、証拠が不十分だったり、利益が薄い案件、黒星になりそうな案件は受任してくれないこともあるが、御用組合ではない合同労組(ユニオン)は粘り強く対応してくれる例が多い。
民事訴訟
これは最後の手段である。裁判の期日・法廷は公開が原則(憲法82条)なので、傍聴しようと思えばできる。ただし判決文が氏名付きで一般に流通するわけではなく、「調べれば必ず露呈する」というほどではない。実際にそこまで調べる人はまずいない。民事訴訟の前には、内容証明郵便を送付するのが一般的だ。配達証明を残しておけば、相手が受領した事実の証拠にもなる。
ただ、弁護士を代理人としても、必ず訴訟する必要はない。弁護士立ち会いでの話し合いによる解決、和解もあり得る。この場合は非公開で進められるし、和解条項に守秘条項を入れておけば、漏らした側は合意違反を問われるので、安心度が上がる。守秘義務は自動的に生じるのではなく、あくまで条項として盛り込んで初めて発生する点は押さえておきたい。
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