塩村文夏でまたバカ共が「から騒ぎ」──政権の野党「尾行・監視」は昔から
2026年5月27日、参議院内閣委員会。
委員会室にはその日、いつもの何倍ものメディアが詰めかけていた。
国家情報会議設置法案──内閣情報調査室(内調)を格上げして「国家情報局」を新設し、政府のインテリジェンス能力を大幅強化するという、この国の情報支配の未来図を決める重大法案の審議だ。
その場で、立憲民主党の塩村あやか参議院議員が言った。
「3ヶ月尾行されたのは私ですよ」
俺はこの発言を聞いて、背中がぞわっとした。
「恋のから騒ぎ」で脳が止まっているバカどもへ
案の定、ネットはいつものやつだった。
「国会は恋のから騒ぎじゃない」
「バラエティのノリを持ち込むな」
「また彼女のから騒ぎだろ」
まだコレ言ってんのか、、、もうため息しか出ない。
知的怠惰もここに極まれり、である。
塩村議員が日本テレビ系『恋のから騒ぎ』に出演していたのは2000年代前半。今から20年以上前の話だ。その後、放送作家として「シューイチ」等を担当し、2013年都議初当選、2019年参院初当選。今は内閣委員会に所属して、この国の根幹に関わる法案を正面から追い続けている。
それでも脳内の時計が平成で止まったままの君たちが「から騒ぎ」と揶揄して悦に入っている。
でたね。「バカのから騒ぎ」だ。
目の前で国が国民を監視できる法案が動きだし、民主主義の根幹が揺らいでいる時に、指先一本で昔の冷笑コメントを打ち込んで「わかってる俺」に浸る。
しかも何年も、何度でも、同じネタで。おまえ、友達おらんのか?
90日間、背後から誰かにつけられている生活
塩村議員が名指ししたのは河井克行元法務大臣だ。
そう、あの公職選挙法違反で有罪確定したひと。奥さんまでとばっちりで起訴された不幸な夫婦(いや、自業自得か)。
当時は与党の現職国会議員で「総理に近い人物」、その後法務大臣にまで上り詰めた人物である。
裁判の過程で明らかになったのは、河井氏側が内調や警視庁の出身者と報じられている人物を使い、選挙の対立候補だった塩村議員を3ヶ月にわたって尾行したという事実だ。
俺ならどうだろう、と考えた。
朝、家を出る。コンビニに寄る。誰かと飯を食う。合間にクイックマッサージに向かう。都度、その後ろに、元警察官のプロが張り付いている。
それが90日間。
目的は「男性関係」等のスキャンダルを掘り起こし、選挙で社会的に葬り去ることだ。
ほとんど浮気調査だ(笑)
これが、民間人の嫌がらせではない。
時の政権与党の実力者(後の法務大臣)が警察OBのネットワークを私物化し、野党の対立候補を監視・恫喝した組織的な政治工作だ。
しかも塩村議員は2025〜2026年にかけても、朝活中に不審な尾行車を何度も目撃したとSNSで報告している。ひょっとしたら今もまだ続いているかもしれない。
「三か月尾行は氷山の一角」、というのは彼女自身の言葉でもある。
法案は成立し、「歯止め」は否決された。
5月27日、国家情報会議設置法案は参議院本会議で可決・成立した。
自民・維新・国民民主などの賛成多数だ。
塩村議員が求めた修正案──情報機関への国会による民主的統制を義務付ける内容──は残念ながら否決された。
しかもその直後に国家情報局が正式に動き出した。まるでどっかの大国の共産党みたいだね、本気かね。これやるの本気かね。
よく読むと、国家情報局って内調の看板を掛け替えただけじゃないの、と俺は今でも思っている。中身はそのまま、権限だけ拡大というパターンは、もういい加減に勘弁してくれや。
高市は会見でこう語った。
「本法律は行政機関相互の関係を律するものであり、プライバシーのリスクを高めるものではない」
はて?、、そうかなあ、

と思いつつ、まあ言いそうなことだわな。
でも待ってくれよ、と寅子は思う。
「政治家が参加しているから民主的統制が効いている」という政府の論理に対し、塩村議員はこう切り返した。
「政治家が参加していること自体をもって、民主的統制が十分に働くと言えるのか」
と。至極ごもっとも。
その政治家が情報機関を私的に使ったのが「河井事件」なんだから、返す言葉ないよね、政府側も。
「それ、あんたらがやったことですよね」という話だ。
国家が持つ武器が「内側に向く」
河井事件は、民間探偵と警察OBのネットワークを動員したものだった。
それでさえ90日間の完全監視が可能だった。
では国家情報局が正式に発足したらどうなるか。
通信傍受、位置情報追跡、SNS監視、サイバーインテリジェンス
──要は国家が合法的に保有する監視ツールの全て=フルセットが、歯止めなしに「政権に近い誰か」の判断だけで動く体制になるということ。
その時、その矛先がどこに向くか、は実は過去の歴史が教えてくれている。
外敵を想定して作られた情報機関が、やがて「政権に批判的な野党議員」「不都合な真実を追うジャーナリスト」「声の大きな市民」へと向かった例は世界中に転がっている。
国内でも、内調による国会議員の身辺調査疑惑が国会で追及されたことがある。「合法的なストーカー国家」のディストピアはSFではなく、歴史的事実だ。
かつてアメリカでも同じことがあった。
政権中枢が情報機関と捜査機関を私物化し、対立候補や批判的な人物を監視・盗聴・工作した。映画『大統領の陰謀』が描いたウォーターゲート事件だ。あの時も「大統領がそんなことをするはずがない」と多くの国民が思っていた。
ニクソンも、あの時は「大統領」だった。
当事者中の当事者だよ、これ。だから塩村議員は実名を挙げて警告を発した。
日本でも、ずっと前から起きていた
塩村議員のケースは「初めて」ではないかもしれない。
2026年4月、衆議院内閣委員会で長妻昭議員(中道改革連合)が内調に対し「今まで国会議員を、国会質問に関連して尾行したことはありますか」と質問した。ところが議場に内調の担当者がおらず、質疑はいったんストップ。
再開後、木原官房長官が読み上げたのは2009年に長妻議員が提出した質問主意書への政府答弁だった。
「内閣情報調査室は国会議員の行動監視等の活動をしたことがあるか」という問いに対し、政府の回答は
「今後の調査に支障を及ぼす恐れがあることからお答えを差し控えたい」
──つまり17年間、ずっとゼロ回答だ。
また、かつて新聞赤旗が報じたのは、
「岐阜県大垣では公安警察が脱原発活動や平和運動に関わる市民の氏名・学歴・職歴・病歴まで収集し、民間企業に提供していたことが裁判で判明。裁判所は憲法13条・21条違反と認定した。」
との事実だった。
「冷笑」は権力側への無償奉仕だ
俺がヤバいと思っているのは、法案そのものよりも、むしろこの社会の反応の方かもしれない。
君たちが「から騒ぎ」と内輪揉めしてエンタメ消費に興じているあいだ、権力は「国民を監視する武器」を法律という形で着々と手に入れた。
修正案は否決され、歯止めはない。
その「武器」は今のところ「外敵」に向いているかもしれない。
でも「外敵」の定義を決めるのは、時の政権だ。
しかも毎回「正当な理由」つきで、なのだ。
まあ、政権が無能なうちは似たような組織をいくつも作って睨み合ってるだけ、という結果が見えなくもないけが、それはそれでたちが悪い。
河井克行も、あの時は「法務大臣」だった。
ニクソンから河井へ。アメリカから日本へ。
気づいた時には、もうこちらを向いている。
ネットの暗闇でせっせと冷笑コメントを打ち込んでいるおまいらは気づいていない。その指が動いているまさにその瞬間、背後に立ってこちらをじっと見下ろしている「本当の尾行者」の存在に。
「から騒ぎ」じゃない。
これは、あんたらも含めおれたち自身の問題なのだ。
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