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【BTS】「ごめん、少し遅くなったね」って言われたら【Come Over】


【追記:2026/7/15】「『ごめん』の理由」を追記

「アニ!」って叫ぶのがARMYのお約束

待ち合わせの時にも使えて便利なミーム。是非ご利用ください。嘘。

BTSバンタンの5thフルアルバム「ARIRANG」隠し曲であり、2026年FESTA曲でもある『Come Over』。
Prod. SUGA曲でもあり、何かとARMYの心を騒がせる一曲です。

Come Over(2:58)
Produced by Cirkut, Ammo, SUGA
 Henry Walter, Joshua Coleman, SUGA, Jacob Kasher Hindlin, Gregory Aldae Hein, RM, j-hope

「BTS「ARIRANG」のトラックリストを大解剖してみた!」より

ツアーレポートで語られた『Come Over』

先日公開されたWeverse Magazineのワールドツアーレポートでは、一節を割いて『Come Over』について言及されていました。

「ごめん ちょっと遅くなったね / あれから変わらず元気にしてた?」
『Come Over』のステージで、SUGAは淡々とARMYにこれまでの近況を尋ねる。
この時、「遅くなったね(늦었지)」という問いかけにARMYが「ううん(아니)」と答える掛け合いは、今回のツアーで一つの文化として定着している。

Weverse Magazine「BTS〈ARIRANG〉ワールドツアーレポート」より

この文章が、公式側が出すマガジンで書かれていたことに、感慨を覚えました。

あの「아니!」は、公式チャントにはありません。
でもツアー開始の高陽公演から自然発生的に湧き上がり、続く日本公演へ、そしてその次へと継承されていきました。ずっと待っていたARMYから出て来た言葉だからこそ、尊いのだと思います。

私たちの中からあふれ出した万感の思い。それが、やり取りをしているアーティストとファンだけでなく、それを取り巻く層にも理解されているのだなと感じられる一文でした。とても嬉しかったです。

私の好きな『Come Over』

「Come Over」は、長い空白期間を経てファンの皆さんとの再会を控えたアーティストの率直な気持ちを込めた楽曲です。
道に迷ったような瞬間が訪れるたびに、変わらずに「君」のもとへ向かう心。そして彷徨いの末に扉を叩いた時、そんな「僕」を受け入れてくれるだろうかと問いかける素直な告白が描かれています。

Weverse「[お知らせ] BTS「Come Over」リリースのご案内 (260609 updated)」より

バンタン曲の歌詞の黄金パターンの1つには、「ボーカルラインが主題を繰り返し、ラップラインがそれぞれの視点から語る」という形式があるように思います。

ボーカルライン(ボカラ)=Jin, Jimin, V, Jung Kook
ラップライン(ラプラ)=SUGA, j-hope, RM

ベイベ用TMI

今回の曲もそうなっており、個人的には
「少しおずおずと手を差し出すユンギ」
「葛藤のなかで諦めずあがくナムさん」
「痛みを乗り越え一歩踏み出そうとするホビ」
の対比に見えています。ツボでしかない……!

扉を前にして、ユンギが呼びかけるならナムさんはノックし、ホビがノブを掴むというイメージです。
このラプラの個性の違い、異なるスタンスから同じ焦点(扉)を目指す感じがすごく好きです。私の経験値が低いだけなのだろうと思いますが、グループソングとしてはあまり見たことのない構成です。

ラプラが語るなら、ボカラは思いをつぶやきます。
「道が見つからない」「また君の所へ行ってもいい?」
何度も繰り返される言葉たちは、夜眠る前に脳裏を巡るとめどない思いにも似て、切れ切れの寂しさや後悔、捨てきれない願いを訴えます。
ラプラパートが「言葉」なら、ボカラパートは「想い」なのだと感じます。

そしてその中心にあるのは、扉の向こうにいる「ARMY」への恋しさです。

待っていてくれるのだろうか、失ってしまったのではないだろうかという不安や後悔におびえ、手を引いてしまうのではなく、それでも求めずにいられない切実な想い。あまりにも真っすぐな気持ちに、胸を打たれます。
ステージでのパフォーマンス中、コンコンとドアをノックするバンタンの手を押さえ、扉を開いて迎え入れたくなります。

ジャケットのモチーフはドアの覗き窓

別れを越えたからこそ歌える歌

私は軍白期に沼落ちしたのですが、色んなものを見る中で、「兵役」という大きな別れを前にして「待っていてくれ」と言い切れない感情があるように受け取っていました。

私としては、バンタンが歌わない直接の理由は、その不安が「ARMYへの不信」と裏表になっているからではないかと思っています。

「残っていてくれないのではないか」
「僕たちを忘れて、他へ行くのではないだろうか」

相手が個人なら腕をつかんで引き留めることもできるのに、ARMYにはそれができません。
待っていてくれと言うには長い期間。互いに変化していくだろうに、縛り付ける権利があるだろうかとためらう程度には、バンタンはARMYに誠実であろうとしているように感じられます。わがままを言ってくれていいのに、と全ARMYが思うところなのですが。

「【MUSE/MMM】BTSが歌わない感情【ミニモニ】」より

『Come Over』は、このためらいを越えたからこそ歌える曲なのだと思います。

少し待たせ過ぎたかもしれないけれど、それでも君の扉の前まで戻ってくることができた。この扉を叩くことができる日が来た。
最後に配置されたホビパートは、長く続いた闇から抜け出そうとする力強い一歩のようにも感じられます。伊達に希望の名を冠していないな、と感心しました。

「ごめん」の理由

個人的には、この曲のユンギパートで歌われる「ごめん」の理由が、待たせたことについてであり、心配させたことについてではないところが好きです。

ユンギの件は私がARMYになって初めて経験した大きな嵐であり、忘れられないものでしたから、今でも心に強く残っています。
だから最初に「ごめん」を見た時はドキッとしました。

しかし、この『Come Over』における「ごめん、少し遅くなったね」は、兵役という不可避の空白期間を経たバンタンが、扉を前にしてつぶやくためらいと誠実さです。
パーソナルな感情に根差した謝罪なら、『Come Over』はAGUST D曲になったのかもしれませんが、そうはなりませんでした。

私にとっては、それはユンギが自らの内面を歌う鏡として作り上げたAGUST Dが役割を果たし終え、あの夏の痛みを仲間と共有する葛藤に溶け込ませたことを意味します。

クサズが語り、ボカラが「I just wanna say I’m sorry」と歌う時、『Come Over』は個人としての贖罪色を薄め、バンタンからARMYへの新しい約束を差し出す歌になります。
だからこそこの曲はBTS曲として出たのだと思いましたし、これを聴くと「嵐は過ぎ去ったのだ」と感じて少しホッとします。

バンタンは色んなことを楽曲に昇華していきますし、今後また別の形で出ないとも言い切れませんが、今の私はそう受け取っています。

隠し曲という選択

バンタンはこれまでも色んな形態で、楽曲を発表しています。
SNSに流れていったカバー曲、SoundCloudに上がった個人的な曲、そして隠し曲……。

特に隠し曲は珍しかったので、何故そういう形態を選ぶのだろうと思っていました。販促戦略かもしれませんが、隠し曲になった曲は露出が限られるので、もったいないなって(*ノωノ)

2017年のインタビューで、ナムさんは隠し曲についてこう答えています。

Q. もし幸運にもCDを手に入れたファンがいれば、その一番最後にある2曲の隠しトラックを聴くことができます。何故、これらを秘密にしておくのでしょうか?

🐨RM:あの2曲を隠しトラックにしたのは、僕たちの本当のファンでなければ、そこに込めたメッセージを理解するのが難しいと思ったからです。そうでなければ、きっと理解してもらえません。
普通の人なら「彼らはあんなに上手くいっていて、どこかで1位を取ったり、たくさんのものを手に入れたりしているのに、どうしてこんなに悩んだり不安がったりしているんだろう?」と思うはずです。世間の人はいつもそういう見方をしますから。

でも、もしみなさんが僕たちの本当のファンで、アルバムを買ってあの隠しトラックを聴いてくれたなら――もし2013年や2014年から僕たちと一緒に時間を過ごしてきたARMYなら――きっと分かってくれるはずです。あの曲は、僕たちの本音により近く、より特別なものなんです

Billboard「BTS EXPLAIN CONCEPTS BEHIND 'LOVE YOURSELF: HER' ALBUM: 'THIS IS THE BEGINNING OF OUR CHAPTER TWO'(BTSがアルバム『LOVE YOURSELF: HER』のコンセプトを説明:「これは僕たちの第二章の始まりだ」)」より

「僕たちの本音により近く、より特別なもの」――心の中の柔らかく傷つきやすい、世界中に配信するよりARMYと分かち合いたい何か。
それが「隠し曲」なのだと、私は理解しています。

ただこれは思ったより少なくて、わかってる範囲では5曲しかありませんでした。『Come Over』が6曲目です。

  • BTSの隠し曲(ソロ含む)

    • 2 COOL 4 SKOOL

      • Skit : On The Start Line

      • 길 (Path)

    • LOVE YOURSELF 承 'Her'

      • Skit : 망설임과 두려움 ※躊躇いと恐れ

      • 바다(Sea)

    • FACE

      • 편지 (Dear. ARMY) ※Letter

    • ARIRANG

      • Come Over

『Come Over』の場合はこれまでと違い、途中でデジタルリリースされました。だから正確には、もう「隠し曲」には入らないかもしれません。
今回ARMYからも「皆に聴かせたい」とデジタルリリースを望む声が出たように、時代は変わりますから、そうやって「隠し曲」自体の形も変わっていくのかもしれません。

でも、大事な曲をまずVINYL(LP盤)とワールドツアー、そしてFESTAでARMYに送ってくれたバンタンの気持ちは、昔も今も変わらないのだと思います。

そうしてあなたは自分でも気づかずに
あなたの魂のいちばんおいしいところを
私にくれた

谷川俊太郎「魂のいちばんおいしいところ」より

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さあ、聴こう!

せっかくデジタルリリースされたので、「ARIRANG」と一緒にガンガン聴きましょう!

グクが歌の幕を開け、ラプラが切々と語りボカラが巡る想いを訴える、Prod. SUGAの未練曲。いやARMYへの求愛曲。
そんなもん、なんぼ聴いてもいいですからね( *´艸`)

『SWIM』に続いて『NORMAL』のプロモも始まるので、そっちもよろしくね!(宣伝)


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