【掌編小説】傘のいらないひと【1469文字】
夜更けの駅のホームは、細い雨でしっとりと濡れていた。
遅い時間に走る電車を待つ人影はまばらで、雨脚が金属の屋根を叩く音ばかりが響く。
スーツの肩にまで湿り気が染み込んで、俺は小さなため息を吐いた。
その時だった。
一人、女性がホームの端に立っているのが目に入った。
白いワンピースが雨に濡れて張り付き、長い髪はしっとりと頬に垂れている。
傘もさしていないのに、不思議と寒さや濡れを気にしていないように見えた。
視線が重なった。
彼女は少し微笑んだ。
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