【掌編小説】二月十四日、名前のない気持ち【3157文字】
二月十四日。
バレンタインデーなんて、正直俺には縁のない行事だと思っていた。
せいぜい母親が「はい」と言って、夜にスーパーの特売チョコを投げてくるくらいのものだ。
学校で何かが起きるなんて、漫画の中だけの話だと思っていた。
だから、朝のホームルームが終わって、机の中に違和感を覚えたときも、最初は気のせいだと思った。
教科書を取り出そうとして、指先に紙の感触が当たる。
覗き込むと、そこには小さな紙袋が入っていた。薄い茶色で、リボンが丁寧に結ばれている。明らかに、誰かが意図して入れたものだった。
「……え」
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