【掌編小説】触れられない光のもとで
月が、やけに明るい夜だった。
風はなく、音もなかった。
周囲を取り囲む林は静まり返り、遠くの街灯すら届かない砂地に、ぽつんと僕たちはいた。
君は、僕の上着を羽織っていた。
華奢な肩に、ふわりと。
それは少し大きすぎたけれど、君は気にするふうでもなく、いつものように笑っていた。
「寒くない?」
僕が問うと、君はただ首を振って、「だいじょうぶ」と答えた。
それだけのことが、なぜか今も胸に残っている。
君の声の温度、目元に浮かぶ光、上着の裾を握りしめる指先の白さ。
あの夜が最後になるなんて、思ってもみなかった。
ここから先は
1,165字
¥ 100
Amazon Payで支払うと最大2%還元のチャンス! 9/30まで
この記事が参加している募集
よろしければサポートをお願いします。 生きるための糧とします。 世帯年収が250万以下の生活をしています。 サポートしてもらったらご飯のおかず代にします! お野菜買えるかも・・・ あと、ネコのクーラー代とかにもなるのでよろしくお願いします! 生きていく・・・
