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【うつ病・繊細さん】「治りたいのに治るのが怖い…」その気持ちは甘えではないの?—心が回復をためらう本当の理由

「早く元気になりたい。」

うつ病になってから、この言葉を何度心の中でつぶやいたかわかりません。

以前のように笑いたい。

好きな場所へ出かけたい。

朝、自然に目が覚めて、一日を普通に過ごしたい。

そんな未来を願っているはずなのに、ある日ふと、こんな気持ちが顔を出します。

「でも、本当に元気になってしまって大丈夫なのだろうか。」

その瞬間、自分でも驚いてしまいます。

「治りたいと思っていたのに、どうして怖いなんて思うんだろう。」
「私は本当は治る気がないのかな。」
「結局、甘えているだけなのかな。」

そうして、自分自身を責め始めてしまうのです。

けれど私は、この感情は決して珍しいものではないと思っています。

むしろ、長く苦しんできた人ほど、この「治りたいのに治るのが怖い」という矛盾した感情を抱えやすいのではないでしょうか。


「治りたい」と「治るのが怖い」は矛盾していない

私たちは、「治りたい」と思っている人は、一直線に回復へ向かうものだと考えがちです。

だから、「怖い」と感じる自分が現れると混乱します。

しかし、人の心はそんなに単純ではありません。

頭では「元気になりたい」と考えていても、心は「まだ危険かもしれない」と感じていることがあります。

この二つは、互いに反対の気持ちではなく、それぞれ違う役割を持っています。

「元気になりたい」という気持ちは未来を見ています。

一方で、「怖い」という気持ちは過去を見ています。

つまり、未来への希望と、過去に傷ついた記憶が、心の中で同時に存在している状態なのです。

だから矛盾しているように見えて、実はごく自然な反応でもあります。

心は「一度痛かった場所」を覚えている

例えば、熱い鍋に触れて火傷をした経験があると、次からは自然と手を引っ込めるようになります。

誰かに言われなくても、体が危険を覚えているからです。

心も同じです。

うつ病になるまで、あなたはどんな毎日を送っていたでしょうか。

無理をして働き続けていた。

人に頼ることができなかった。

期待に応えようと頑張り続けていた。

本当は疲れていたのに、「まだ頑張れる」と自分に言い聞かせていた。

そうして限界を超えた結果、心は動けなくなってしまいました。

その経験は、心に深く刻まれています。

だから回復が見え始めても、心はこう考えるのです。

「またあの場所へ戻るのではないか。」

これは決して弱さではありません。

心が二度と同じ苦しみを味わわないよう、自分を守ろうとしている働きなのです。

「元気になること」が怖いのではない

ここで少し考えてみてほしいことがあります。

本当に怖いのは、「元気になること」なのでしょうか。

私は違うと思っています。

怖いのは、その先にある未来なのです。

元気になれば仕事へ戻らなければいけない。

元気になれば家事を全部こなさなければいけない。

元気になれば周りの期待に応えなければいけない。

元気になれば、また以前と同じように頑張らなければいけない。

もし心の中で、「回復=以前の生活へ戻ること」という式が出来上がっていたら、怖くなるのは当然です。

以前の生活が、自分を壊してしまった原因だったのならなおさらです。

つまり恐れているのは回復ではなく、「回復した後の世界」なのです。

回復が近づくほど、不安が大きくなることもある

不思議なことに、人は調子が悪い時よりも、少し元気になってきた時のほうが不安になることがあります。

これは決しておかしなことではありません。

寝込んでいる間は、「今日を乗り切ること」が精一杯です。

未来を考える余裕はありません。

けれど少し動けるようになると、心は少しずつ先のことを考え始めます。

「来月はどうしよう。」

「仕事は。」

「お金は。」

「家族は。」

「また同じことになったら。」

未来が見えるようになったからこそ、不安も見えるようになるのです。

これは回復していない証拠ではありません。

むしろ、心に少し余裕が戻ってきたからこそ起こる変化でもあります。

「このままではいけない」と「まだ進みたくない」の間で揺れる心

うつ病になると、自分の中に二人の自分がいるように感じることがあります。

一人は、

「早く元気にならなきゃ。」

と急かします。

社会に戻らなければ。

迷惑をかけてはいけない。

もっと頑張らなければ。

そんな言葉を繰り返します。

もう一人は、

「まだ怖い。」

「もう少し休みたい。」

「また壊れたらどうするの。」

と静かに訴えています。

多くの人は前者の声ばかりを正しいと思い、後者を弱さだと決めつけてしまいます。

けれど、本当に耳を傾けるべきなのは、後者の声なのかもしれません。

なぜなら、その声は怠けようとしているのではなく、「もう同じ失敗を繰り返したくない」とあなたを守ろうとしているからです。

その小さな声を無視し続けた結果、以前のあなたは限界まで頑張ってしまったのではないでしょうか。

回復とは、ただ元気になることではありません。

自分の心が発する小さなサインに気づき、それを受け止められるようになることでもあります。

そして、そのサインを無視しない生き方を少しずつ覚えていくことが、本当の意味での回復につながっていくのではないかと、私は思うのです。

回復が近づくほど、「期待」が重荷になることがある

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