ガレージキットの作りやすさとは?

私は「変形・合体」をテーマに、光造形3Dプリンターを用いた作品作りを行っています。

一般的に、このジャンルをガレージキットとして成立させるのは非常にハードルが高いとされています。その最大の理由は、光造形レジン特有の「脆さ」と「摩耗のしやすさ」です。

変形・合体を実現しようとギミックを組み込めば、必然的に部品は細かくなります。しかし、繊細なレジンパーツでそれを構成することは、破損や摩耗のリスクを格段に高めることにつながるからです。

問題点一覧
・ギミックの多さ
 ⇒パーツの複雑化、破損リスク
・変形・合体
 ⇒破損リスク・摩耗リスク

では、これらの問題をどのように解決するべきかについて書いていきます。


レジン検討

光造形3Dプリンターは精巧な出力ができる反面、「割れやすい・削れやすい・強度が低い」という素材特有の弱点があります。

これを克服するため、タフレジンであるRESIONEの「M68」「K+」「M58」「TH-Tought74」などを試してきましたが、どうしても摩耗への不安が残りました。そこで導入したのが、より強靭な「TH-Tought74 V2」です。

実は、扱いやすさ(洗浄性・切削性)の面では、「M68 : TH-Tought74 V2 = 3 : 7」という混合比がベストでした。しかし、毎回の計量があまりに手間で、運用を断念しました。

現在は、洗浄残りが出やすく研磨も大変というデメリットはありますが、準備の手軽さを最優先し、「TH-Tought74 V2」単体で使用しています

最初に作った変形ちびメカ

このちびメカは、初めてワンフェスで頒布したキットです。30mm×30mm×30mmというBOXからちびメカに変形します。
変形の為に、ギミックもりもりにした為、細かい部品は厚み1mmという割れるリスクの高いものばかりでした。(パーツ数70個、M1ねじ50本、真鍮固定という超難関キット)
1回リメイクして、パーツ数の減少、強度や変形ギミックの改善をしました。

最初に作ったガレージキット
完成図

2つ目に作った変形ちびメカ

ワンフェスに一緒に持ち込んだ2つ目のちびメカです。1つ目の作品よりはパーツ数を減らし、組み立て難易度を減らしました。(パーツ数34個、M1ねじ10本、真鍮固定とやや高難易度のキット)加えて、強度を上げるために、最低厚み2mmにしました。のちに、3回リメイクして、強度や変形ギミックの改善をしました。

2つ目に作ったガレージキット
完成図

3つ目に作った変形・合体ちびメカ

4回目のワンフェスで持ち込んだ変形・合体するガレージキットです。(パーツ数70個、真鍮固定のみという普通のキット)
この作品を作ったことで、いろいろなことを学びました。特に、「真鍮の芯打ちの重要性」と「市販関節のありがたみ」が理解できた時には自分の中で革命が起きました。

3つ目に作ったガレージキットA
3つ目に作ったガレージキットB
完成図
合体後

4つ目に作った変形ちびメカ

4回目のワンフェスで展示を行った本作は、「最小限のパーツ数」と「絶対的な強度」を最優先に設計したガレージキットです。

【コンセプト:拡張して遊ぶ】
強度確保のためにあえて市販の関節パーツを採用しました。トレーラーヘッドを素体(コア)とし、ダンプ、タンクローリー、コンテナ、クレーンなどの拡張パーツを自由に組み換えて遊べる仕様になっています。

【パーツ構成のこだわり】
コアとなるトレーラーヘッドは、塗装のしやすさを考慮してタイヤを別パーツ化しています。しかし、もし「作りやすさ」だけに特化してこれらを一体化すれば、総パーツ数をわずか11個まで減らすことが可能です。

4つ目に作ったガレージキット
完成図A
完成図B

ガレージキット作りで身についたこと

3つ目、4つ目と回を重ねるにつれ、現在は「極力少ないパーツ数で、真鍮線の芯打ちのみで組み上がる設計」を重視するようになりました。ここに至るまでには、いくつかの試行錯誤がありました。

  1. M1ネジの廃止 かつては強度の信頼性が高いM1ネジを使用していましたが、組み立ての難易度(敷居)が上がりすぎてしまうため、採用を見送ることにしました。

  2. 完成品頒布の苦戦 「変形」をアピールするため、あえて組み立て済みモデルを頒布したこともあります。しかし、ワンフェス会場では「小さくて精巧すぎて、壊してしまいそうで怖い」という反応が多く、私の目指す変形ギミックと、受け手の心理的なハードルとの間にギャップを感じました。

  3. レジン関節の断念 組み立てやすさを求めて「レジンのみでの関節保持」も研究しました。しかし、長期間の保持力の低下、出力時の誤差(クリアランス)へのシビアさ、変形負荷によるクラック(割れ)など技術的な課題が多く、これも断念しました。

こうした経験から、現在はユーザーが安心して組み立てられ、かつ楽しめる「真鍮線接続」「市販関節」という答えに辿り着いています。

この方向に舵を切った理由は、頒布したいキットが作ってもらえない、遊んでもらえないのが嫌だったからです!

17個なので組み立ては食玩キット、ガチャガチャキットレベルです。

次のワンフェスでは、この組み立てやすさ、遊びやすさ、色塗りしやすさ、強度についてアピールしていきたいと考えております。
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