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ブロックチェーン技術を活用した国際送金のイノベーション!脱SWIFT(スイフト)へ🏦

アジア太平洋(APAC)地域で国際送金インフラの革新が加速している。本レポートでは、ブロックチェーン技術を活用した最新の取り組みと今後の展望を解説する。


Tiger Research(タイガーリサーチ)は、Web3に特化したアジア最大級のリサーチファームです。Web3企業の経営者から個人投資家まで必読の市場分析レポートを無料でお届けします。


30秒でわかる!本レポートの要点👇

  • グローバル化が進むにつれて、国際送金の分野は急成長。特にアジア諸国における取引高が高水準となっている

  • 従来の国際送金技術はコスト高かつ時間がかかるなど改善が必要であり、国や組織がブロックチェーン技術による革新を目指している

  • 国際送金は多くのステークホルダーが関わる分野であり、技術革新を起こすためには政府、企業そしてWeb3業界による開けた連携が重要だ


🌏APAC地域における国際送金システムの現状

「国際送金システム」とは、ある国の支払者から別の国の受取人へ資金を移動させるためのインフラを指す。このインフラは、国際貿易の促進やグローバルビジネスの円滑な運営を支える重要な役割を果たしている。しかし、国際的な銀行・金融機関のネットワークを通じて資金を移動させる必要があるため、そのプロセスは複雑だ。

2023年 国際送金受取額の上位10カ国(単位:10億ドル) ※推計値

出典:世界銀行(Datawrapperを用いて作成)

APAC地域において、国際送金システムは特に重要性を増している。アジア諸国は急速な経済発展を遂げており、国際取引の規模も急増しているためだ。世界銀行によると、2023年のグローバル送金額上位5カ国のうち3カ国がAPAC地域に集中している。その規模を考慮すると、この地域における国際送金システムの安定性と効率性の重要性は一層高まっている。

しかし、現在の国際送金インフラは、その複雑さと非効率性により多くの課題に直面している。複雑な手続きと高額な手数料は、グローバル取引のメリットを大きく損なっている。

そのため、多くのアジア諸国は、国内外の取引をよりスムーズにするためにブロックチェーン技術を活用したイノベーションを追求している。この取り組みは、コスト削減とアクセシビリティ(利用のしやすさ)の向上を通じ、金融包摂を目指すものだ。

⚠️従来型国際送金システムの課題

従来の国際送金システムは、主にSWIFT(スイフト)に依存しており、世界中の11,500以上の金融機関を接続している。しかし、このシステムは国際取引において非効率的だ。

支払者から受取人まで、複数の仲介銀行を経由して資金を移動させるプロセスは最大2週間を要する。さらに、資本規制や規制遵守の手続き、バッチ処理システム等により、(国際送金の)リアルタイム処理は不可能であり、高額な手数料が発生する。

日本銀行の分析によると、2013年から2019年にかけて、従来の銀行を通じて200ドルを海外送金する際の平均コストはその約20%、つまり約40ドルに達している。

一般的なB2B送金の経路

出典:Stellar

一方、ブロックチェーンなどの分散型台帳技術を国際送金に活用することで、以下のような大きな利点が期待できる。

国際送金におけるブロックチェーンの利点

  1. 👁️ 透明性の向上
    ブロックチェーンは全ての取引を記録するため、資金の流れや関連情報の追跡が容易だ。中央銀行は、ブロックチェーン技術を活用したCBDC(中央銀行デジタル通貨)を発行することで、マネーロンダリングなどの金融犯罪への対策も講じることができる。

  2. 💫仲介者の排除
    従来の国際送金システムでは、複数の仲介者が介在することでコストが高額化し、処理に時間がかかっていた。ブロックチェーンを活用すれば、銀行間で直接取引が可能となり、中間コストの削減とリアルタイム処理の実現につながる。

  3. 🌍グローバルなアクセシビリティの向上
    ブロックチェーンは分散型ネットワークを通じて支払いを処理するため、金融サービスが限られている発展途上国や地域でも国際送金が可能となり、国際取引の促進につながる。

💡アジアにおけるブロックチェーン技術を活用した国際送金への取り組み

香港政府によるCBDCの検討🇭🇰

2024年5月、香港金融管理局(HKMA)は、香港と中国本土(広東省・マカオを含む)間の国際送金をサポートするデジタル人民元(e-CNY)のパイロットプロジェクトを発表した。

このCBDCは、香港住民に現金決済のデジタル代替手段を提供し、中国のデジタル通貨を香港の金融システムに統合するものだ。2019年のパイロットプロジェクト開始から2023年6月までに、デジタル人民元は1.8兆元(約250百万ドル)の取引を実現し、中国本土17地域にわたる1,000万以上の加盟店で利用可能となっている。

このプロジェクトでは、香港住民が携帯番号と連携したデジタル人民元ウォレットを作成し、24時間365日稼働のFast Payment(ファストペイメント)サービスを通じてチャージできる。

これは、CBDCと高速決済サービスを初めて統合した取り組みだ。利用が増加するにつれて、デジタル人民元ウォレットは本土の銀行口座を持たずともチャージ可能となる方向で進んでいくかもしれない。

デジタル人民元(e-CNY)の仕組み

出典:Deutsche Bank Research

デジタル人民元は、二層構造の枠組みで運営されている。発行と流通は、中央銀行と商業銀行、そして商業銀行と小売の2段階で行われる。

具体的には、中国人民銀行(中央銀行)が商業銀行などの金融機関にデジタル人民元を配布し、それらの機関が既存の金融インフラを使用して個人ユーザー向けにデジタル通貨を管理・配布する仕組みだ。

この構造により、中央銀行は通貨供給を管理しながら、すでに確立された金融システムを通じて効率的な運営が可能となる。

出典:e-CNY

ただし、香港におけるデジタル人民元の利用は、まだテスト段階であり、一定の制限がある。例えば、決済可能金額は厳格に制限されており、1回あたりの決済額は2,000元まで、1日の決済金額は5,000元まで、ウォレット残高の上限は10,000元に設定されている。

また、個人間(P2P)送金は行えず、金融の安定性を維持しながらデジタル通貨の利用を拡大するための慎重なアプローチとなっている。このパイロットプロジェクトは、従来の銀行への依存度を低下させ、地域間取引を簡素化することで、個人と法人の双方にメリットをもたらすことが期待されている。

📱金融業界のイノベーション:スタンダードチャータード銀行のブロックチェーン技術を活用したユーロ建て送金

出典:Ledger Insights

2024年5月、スタンダードチャータード銀行は、ブロックチェーン基盤の決済システム「Partior」を利用し、香港とシンガポール間でユーロ建ての国際送金を実施することに成功した。これは、ブロックチェーン技術を活用したユーロ建て送金の初めての事例となった。

Partiorは、24時間365日稼働のリアルタイム国際送金システムであり、ブロックチェーン台帳を通じて清算・決済プロセスを自動化することで、取引速度を向上させている。

この取り組みでは、スタンダードチャータード銀行は独シーメンスやシンガポールのフィンテック企業iFASTと協力し、実際の業務フローにブロックチェーン技術を組み込み、その実用性を実証した。

💫 Web3発のプロジェクト:OobitのテザーとTONを活用した暗号資産決済システム

出典:Oobit

シンガポールを拠点とするOobitは、「Tap and Pay(タップアンドペイ)」機能を通じて、VISAやMasterCardのように簡単な非接触決済で暗号資産による支払いを可能にすることで、国際送金市場に革新をもたらそうとしている。

Oobitは外部ウォレットや従来型決済システムとの連携をサポートし、それらの間のギャップを大幅に縮小することを目指している。現在、ビットコインやイーサリアムを含む35以上の暗号資産に対応しており、テザーやTONから投資を受け、さらなる提携を計画している。

出典: Oobit

Oobitは特に個人による国際送金に革新をもたらすと期待されている。海外旅行中でも、一般的な1〜3%の手数料を支払うことなく、簡単かつ迅速な決済が可能となる。

ただし、多くの国が暗号資産を決済手段として認めていないため、規制面での課題が予想される。そのため、暗号資産に加えてCBDCもサポートする必要が出てくるかもしれない。

📈今後の展望

中国のデジタル通貨e-CNYの香港での導入や、スタンダードチャータード銀行によるブロックチェーンを活用した国際送金など、アジアの国際送金市場は大きな変化を遂げている。

さらに、リップルもアジア市場での影響力を拡大していたり、複数の国がCBDCの開発を積極的に進めるなど、この分野でのイノベーションは加速している。

一方、Web3企業主導のイノベーションにはまだまだ課題も多い。主に以下の3つの点が挙げられる。

  1. 規制面の課題:国際送金は複数の国にまたがる技術であり、様々なステークホルダーを説得した上で、それを多様な市場環境に適用していくことは非常に困難となる。

  2. 各国政府との協働の難しさ:決済システムは国の金融政策に影響を与える可能性があり、政府との緊密な協力が必要だが、それを実現することは容易ではない。

  3. 専門性の不足:国際送金は、卓越した専門性を持つ事業者がすでに支配している分野であり、新規参入は困難だ。

以上から、Web3企業は様々な専門性を持つ企業や政府と垣根なくオープンなイノベーションを心がけていく必要がある。その際、Web3企業は専門的な技術分野に注力し、他の企業が運用や規制面を担当すべきだろう。このような協力関係が、国際送金分野におけるイノベーションを推進していくと考えられる。


※本レポートは、タイガーリサーチがSubstack上で発信する英語の記事(2024年6月6日公開)を翻訳し、一部編集したものです。
※最新の英語のレポートについては、以下リンクよりご確認ください。


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