1-7 劉廂使妻 抉られた瞳
金国が興った頃、その府に劉廂使者(りゅうしょうししゃ)という人がいました。
彼は漢人(かんじん)で、妻とともに年齢は四十歳を超えていました。子供がふたりと、奴婢(奴隷)が数人いました。
ある日、彼はすべての奴婢を解放して自由としました。それだけでなく財産をすべて使って、孤児や老人のために孤老院(ころういん)を建てようとしました。
しかし、その事業にはまだ資金が足りませんでした。
そんな中で妻は左目を捧げると言い、鉄の杓(スプーン)で目を抉り出しました。
さらに刀を上げて筋を切ろうとした瞬間、何かが「ヒュッ」と音を立てて、目が元の位置に戻りました。
その目はまるで何事もなかったかのように見えたのです。
このようなことが三度あり、妻は血だらけになりました。
翌日、再び、同じ事をしようとすると目は消えていました。しかし、朝がくると、目は戻ってきました。いいえ、むしろ輝きを増したのです。
人々はこぞって金や絹を寄付し、孤老院の建物が完成したそうです。
最初はトリックや手品、はたまた魔術の類いかと思ったのです。
それでも意味わからんなと思ってじっくりと想像してみたんです。
神がかりや、憑霊状態、童乩に奥様がなったのではないかという結論になったのですが、どうでしょうか
ちょうど、この頃に広がりはじめたようなので。
