🎧今日はどんなレコードを買ったの?|1997年:とれまレコード編 | 田中フミヤによる関西テクノの砦
関西を拠点とした田中フミヤのレーベル、とれまレコード。
Frogman、Sublime、Syzygy、Transonicなど、当時いくつも存在した日本のテクノレーベルの中でも、個人的にもっとも好きだったのがこのとれまレコードです。
ミニマル系でも関東のSubvoiceではなく、関西でテクノを聴いていた自分にとっての軸は、やはり田中フミヤでした。
大阪・難波ロケッツで行われていた Chaos West に何度も足を運んでいたこともあり、他のエリアのテクノリスナーより、とれまレコードに自然と強い愛着を持っていたように思います。
確かに当時の日本の有名なテクノレーベルに比べると、主催者の田中フミヤのパーソナルレーベルとしての位置づけが強く、他と比べるのは少し違うのかもしれませんが、僕個人としては大好きなレーベルでした。
今回は、とれまレコードの1994年~1997年までのリリースから、特に印象に残っている作品をいくつか紹介していきます。
TRM006 ARP-2600『Voices Of Planet』 (1994)
山本アキヲと佐脇興英による Tanzmusik 名義の
「Voices Of Planet(Tanzmuzik Brazil Mix)」がとにかく強烈でした。
このEPには砂原良德によるリミックスも収録されています
TRM008 Dove Loves Dub『Reiko, Tomoko』 (1994)
Dove Loves Dubこと石野卓球によるアシッド・トランス作品。
女性名のトラックタイトルが印象的です。
後年のレーベルイメージから振り返ると、最初の10枚ほどはやや迷走している印象もありますが、その感じが逆に好きでした。
TRM011 Fumiya Tanaka『Four Tracks EP』(1995)
田中フミヤ名義での初EP。
Plastikmanを思わせるパーカッシブなドラムマシン主体のトラックが並ぶ中で、「I am not a DJ」の冒頭を飾るブレイクビーツ曲が、ひときわ異彩を放っていました。
TRM015 Akio Milan Paak『Lamborghini EP』 (1995)
山本アキヲのソロ名義作品。
この名義は正直、ハズレなしでした。
なかでもこのEPは、僕が初めて神戸・元町へレコードを買いに行った際に購入した、思い出深い一枚です。Claude Young のミックスCDにも収録されていました。
TRM016 Karafuto (1996)
田中フミヤの別名義、KARAFUTOによる作品。
当時のインタビューで「DJをする時のKARAFUTOはジャズハウス寄り」と語っていた記憶がありますが、その後のクリック・ミニマル期には、ずいぶん印象が変わっていきました。
当時、CISCOのフェアで8,000円以上買い物をすると、このKARAFUTOのミックスCDがプレゼントされました。

その内容が本当に強烈で、Larry Heard から Aphex Twin、St Germain、Ronnie Liston Smith、Booker T & the MG’s までが一つの流れとしてミックスされており、何度も繰り返し聴いたものです。
当時は、このミックスの中で曲名が分からず、テープに録音して何件か中古レコード店で店員さんに聴かせて回ったことがありました。
その結果たどり着いたのがBooker T & the MG’s『Melting Pot』で、これが僕にとって最初に買った古いレコードでした。

価格は忘れもしない、オリジナル盤で3,800円。当時は「中古レコード1枚で!? 高っ!」と思ったものです。
TRM017 Speaker『Vein / Mine』 (1996)
田中フミヤと山本アキヲによるユニット。
ほぼ同時期に Hoodrum 名義でも活動していましたが、この強烈なサウンドは、やはりメジャーレーベルではなく、とれまレコードからのリリースがしっくりきます。
TRM018 Fumiya Tanaka『Time EP』 (1996)
MIX-UP でも使われていた楽曲の正式リリース。
試聴した瞬間、「お、ようやく出たか」と思ったのを覚えています。
TRM020 Fumiya Tanaka『Midnight EP』 (1997)
こちらも MIX-UP 収録曲を含むEPですが、この頃のドラムビートが全体の9割を占めるようなサウンドは、正直なところ自分にはあまり向いていなかった気がします。
前述の 田中フミヤのTRM011 Fumiya Tanaka『Four Tracks EP』に収録されていてた『Billy』 もほぼドラムのみの構成ですが、こちらはハードで、田中フミヤのDJセットでも頻繁に登場する“パーツ”的な存在だった印象です。
この後も、とれまレコードは2006年頃まで12inchのリリースが続いたようです。2008年からはSundanceレーベルも始動し、とれまレコードとしては、2014年の『20th』が、現時点での最終リリースになるのでしょうか。
とれまレコードや Untitled の作品をリリース順に聴いていくと、当時の空気感や、田中フミヤの音楽的嗜好の変遷が、垣間見れるように感じられます。
田中フミヤ自身はメジャーでのリリースや、Tresor、 Perlon など海外レーベル、そして新しい自己レーベルSundanceからのリリース、とれまレコードはすでに過去の輝きなのかもしれません。
それでも、自分にとっては青春を彩った日本の90年代テクノシーンの、間違いなく大切な一章です。
◆ 当時の新聞切り抜き
当時の新聞切り抜きが出てきました。日時は不明ですが、1996年末ごろの朝日新聞かと思います。
あの頃の関西テクノ事情が少し垣間見れる資料です。



◆ TOKYO EYES Jean-Pierre Limosin 1998
Tokyo Eyes 1998
directed by Jean-Pierre Limosin
starring Shinji Takeda and Hinano Yoshikawa.
田中フミヤが自作のInsistenceと共に一瞬だけ映画に出演しています。
