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マドンナを聴いていたら、デトロイトテクノが聴こえてきた。

この7月にリリースされたMadonnaの新譜『Confessions II』を、よく聴いています。

僕は、Madonnaをずっと追いかけてきたわけではありませんし、「Like a Virgin」や「Music」などのヒット曲を耳にする程度でした。

それに僕にとってのMadonnaは、Junior Vasquez『If Madonna Calls』や、「Papa Don't Preach」のストリングスとMichael Jackson「Billie Jean」を引用したHotzenplotz『Bye Bye Berlin』を思い出すくらいの存在でした。

そんな僕が、今回の新譜を聴くきっかけになったのは、先日のCoachellaでのSabrina Carpenterとの共演です。世代交代感のある共演に「やっぱりカッコいいな」と思い、YouTubeで何度か聴いているうちに、「あれ? このフレーズ、どこかで聴いたことがある」と感じました。

調べてみると、やはりInner Cityの「Good Life」がサンプリングされていました。「Good Life」は、デトロイトテクノのオリジネーターの一人、Kevin Saundersonによるグループのヒット曲。
90年代初頭にデトロイトテクノシーンから出た最初のメインストリームヒットです。

90年代のハウスやテクノが少しずつ再評価されている空気は感じていましたが、まさかここでMadonnaとSabrina Carpenter、そしてデトロイトテクノが一本の線でつながるとは思いませんでした。

6月に公開されたビデオもあまりにも強烈でした。

豪華な出演者と最高のサウンドに加え、思わず「そのグリーンのビーム、一体どこから出てるん!?」と突っ込みたくなる演出や、クラブでのセクシャルなバスルームシーンなど、あと数年で古稀を迎えるとは思えないMadonnaの新しいアルバムへの期待がいやが上にも高まりました。

実際にアルバムを聴いて、さらに驚いたのが、1曲目『I Feel So Free』で、Lil Louis『French Kiss』とDonna Summer『I Feel Love』が引用されていて、これはちょっと凄いアルバムかもしれないと思いました。

『One Step Away』はCarl Craig「At Les」を思わせるシンセとPépé Bradock「deep burnt」のようなドラムパターンも聴こえてきます。裏付けは取れませんでしたが、充分あり得る気もします。

『Danceteria』では、80年代のMadonnaがLower East Sideのディスコで過ごした日々が歌われています。
Basquiat、Keith Haring、Nile Rodgers、David Byrneらの名前も登場し、当時のニューヨークの空気がそのまま閉じ込められているようでした。

そして、アシッドサウンドに乗り、"Call It Trance, Call It House,  Call It Techno, Call It love without words "とクラブへの愛を歌った『Love Without Words』には感慨深い思いがしましたし、コロンビアのFeidが参加した『Read My Lips』もめちゃくちゃカッコよく、ここまでワクワクしながら聴いた新譜は久しぶりでした。

アルバム全体はまだ聴き込み始めたばかりですが、90年代を過ごした僕には、4つ打ちのグルーヴが心地よく、少しの懐かしさを残しながらも、しっかり2026年のサウンドにアップデートされています。
これからさらに聴きこんでいくとまだまだ新しい発見がありそうです。

巨大フェスで映えそうな曲もあれば、アンダーグラウンドなクラブを思わせる曲もありました。選曲次第ではDJごっこでかけても面白そうです。

そして、僕の手元の2枚組レコードは、そんなことまで再現しなくても、と思えるシールドシール付き。
これは昔の12inchでもたまにありましたが、ジャケットに直接貼られた未開封証明シールです。
レコードを取り出すには、シュリンクラップを剥がす、シールをはがす、もしくはカッターで切らないと開けられない仕様でとても面倒です。
そして盤自体も最近の主流のカラーレコード(半透明ピンク)で、黒盤がリリースされていれば迷わずそちらを選びましたが、致し方ありません。

この銀色の部分がシールドシール

このアルバムには、Madonnaが歩んできた40年以上のダンスフロアの時間が詰まっているようで、80年代から活躍している彼女にしかできない、とても説得力のある表現でした。

この作品を聴いていると、いつかUnderground Resistanceに影響を受けたメインストリーム・ヒットが生まれても、不思議じゃない気がします。
例えば、"Hi-Tech Jazz"のパーツをサンプリングしたトラックの上で、現代のDIVAが歌う…。
そんな未来も案外近いのかもしれません。

我が家では、娘がSabrina Carpenterのファンなので、比較的リビングでも最新のメインストリーム・ポップスがよく流れています。Olivia RodrigoやPinkPantheressも自然と耳に入ってきます。

だから我が家では、Lyle MaysやBill Evansのレコードを聴いた数分後に、娘がかけるPinkPantheressの「Stateside」が流れることも珍しくありません。

昔なら「ジャズの次にこんなダンスポップを聴くなんて!?」と思ったかもしれませんが、今はそれがごく自然です。
家族それぞれが好きな音楽を流しているうちに、ジャンルや年代の境界なんて、いつの間にか気にならなくなっていました。

世間ではアルゴリズムに選曲を任せることも当たり前になりました。でも、そのおかげでジャンルや年代をあまり意識せず音楽を楽しむ人が増えているのだとしたら、それはそれで面白い変化なのかもしれません。

そう考えると、アンダーグラウンドなクラブシーンにも少しずつ変化が生まれていくのでしょうか。

例えば、田中フミヤやLaurent GarnierがMadonnaをプレイしているのを僕は聴いたことがありません。でも、彼らは90年代から思いもよらない曲をセットに自然に差し込んできたDJです。実はもう、どこかでさらっとかけていても不思議ではない気もします。

それに、最近気に入っているカナダのJump Source『Fold』も、アンダーグラウンドなテックハウスにポップな感覚が自然と溶け込んでいて、とても面白い作品でした。

これまでnoteでは、アルゴリズムやサブスクに少し批判的にも読めることも書いてきました。でも、好きなジャンルやこだわりを持つことと、新しい音楽との出会いを閉ざしてしまうことは、きっと別の話だと思います。

そもそも僕の音楽人生は、ゲーム音楽やテレビの主題歌から始まっています。そう思うと、僕は昔からいろんな音楽が好きだったはずです。

それなのに、クラブやレコード収集に夢中だった頃には、

「へっ! あんなダサい○○なんて、アンダーグラウンドなクラブじゃかからないぜ。」
「え? オリジナル盤じゃないのにわざわざ買うの?」

なんて思っていた時期もありましたが、今思えば、あれも若気の至りというか、中二病みたいなものだったのかもしれません。

今、10代の頃の僕に会えるなら

「お前なあ、そのうちハイクオリティな再発盤を買ってその音に驚きながら、『こんなんアンダーグラウンドなクラブじゃかからへん』って切り捨ててた音楽を、自分から進んで聴いてるぞ。」と言いたい気もします。

きっと「そんなわけあるか!!」とそっぽを向くと思いますが、実際に大人になって体験してみると、それも悪くない未来でした。

最近は、もっと自由に音を楽しめばいいんじゃないかと思っています。

さて、もう一回『Confessions II』を聴こうっと。

※見出し画像を変えました。
これまでの僕の記事と同じように撮影した写真にしました。


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