障害者雇用に就職しやすい人って?就労移行の支援員からの視点
この話題、世知辛いんだよな……と思うんですが、だからこそ書いた方が良いかな、と。
幸いというか、支援員をやってるので沢山の人を見ています。たくさんの人を見ていると、その人の個別事情とかはさておき、就職しやすい人というのは居ます。
あ、スキルとかじゃないです。ビジネスマナーとかパソコンスキルとかね、確かにあると良いものなんですけど、そこなくてもいけるんですよ。
でも、だからこそ世知辛い。
ほんとに、これはしんどい話なので、読んでてやだなって思ったら無理しないでくださいね。
そして同時に「就職しやすい人」なのでここに当てはまってなくても、きっちりとした支援を受けて色々と取り組む事で、自分に合った求人を見つけられる可能性は十分あると思います。
1位:勤怠が安定した人
はい、のっけから身も蓋もないです。
週5日、6~8時間を休まずに働けるなら、他のもろもろにしんどさがあっても大体いけます。
多くの、特にメンタル障害を持つ人は「まず短時間から働きたい」「週3~4、一日4時間くらいが限界」という人が多いですし、働くのが長続きしない人はとにかくメンタルが原因であれ身体が原因であれ「勤怠が安定しなくなってしまう」から長続きできなかったのです。
え?だから障害者雇用で配慮を受けたい、急に休む事が多くても雇止めされない所で働きたいって?そうですよね。分かってます。でも企業が求めてくる事の1位はこれなんです。だって障害者雇用のカウントは時間数ですからね……。
なので、障害理解のない周囲が(え?何で障害者雇用なのに障がい者理解がないのって?雇うのは人事で、一緒に働くのは現場の人ですからね。現場の末端まですみずみに障害理解の啓発してる企業はなかなかないですね……そして個々人の知識と負担に頼るのです……)イラッとしながら支えてたりする事はあっても本人は元気であり潰れてしまわないタイプの発達特性強めの人とか、作業量やスピードや理解力はしんどめでもとにかく元気で休まない知的障害の方とかはなんだかんだ就職していきます。
ここはね……障害を持つ人を急に配属されて困惑したまま負担を背負わされる人達、ジョブコーチなどのサポートもなくイライラが募る健常者の人達にだって支援が要るでしょう問題はあるのですが、今回は障害者雇用に就職しやすい人、の話なので置いときましょう……。会社はね、良くも悪くも、本人が元気に出社してればあんまし何も言わないんです。
2位:情緒(メンタルとはちょっと違う)が安定した人
なにそれ?って事ですが、えーと、身も蓋もない事言うと、
周囲を攻撃しない人。他責しない人。
です。べこべこにメンタルが凹んで休んじゃったり職場で泣いちゃったりしてもね、それは意外と致命的じゃないんです。そこで「私が至らなくてすみません」「皆さんにはいつも助けてもらってる」って心から言える人は良い職場さえ見つければ長続きします。
いえ、支援者として、知ってますよ。攻撃してしまうというのは「助けて」のメッセージだって。でもね、それ、一般の人は知らない。というか、知ってても助ける義理がないんですよ。だって知ってても傷つくもん。職場には仕事をしに来てるんですよ。助けを求めて傷つけてくる人を傷を背負ってでも相手するって別に雇用契約に書いてないので。支援員じゃないんだから。
すげえ嫌な言い方しましたけど、実際ね、支援ってのは専門職がやってますよね。つまりはスキルが要る事なんですよ。でも障害者雇用されてる人に対して健常者がその人をスキルを身につけた上でサポートしたって、そのスキルを評価されて給料増やしてもらえるわけじゃないんですよ。これは、スキルを見せてしまったら給料が増えないまま仕事が増えるよくある職場のつらさになるわけです。
いや、周囲を攻撃なんてしないよ!……って思った人は注意してください。人間は追い詰められたら、よほどの聖人以外は周囲を攻撃し始めます。つまり「私は攻撃なんてしないし、してるわけがない」と思うなら、危険なんです。多分よほどの聖人は「私も不完全であり、人を傷つける事がある」って思ってるでしょうし。
パワハラやモラハラについて知識ある方はよく分かると思いますが、攻撃ってしてる方には自覚ないです。むしろ被害者だと思ってます。もちろん、支援員としては出来るだけ自覚を促し、ワークをしたり、面談したりしますけよ。
でも就労移行支援は訓練の場でありセラピーの場ではないので、長年の行動パターンやトラウマや成育歴の苦しみを癒すなんてそうそうできない。ていうか基本利用期間2年なんで。2年で訓練の片手間にわずかなセラピーしてそんな治るわけない。
「私はこんなに頑張ってるのに誰も認めてくれない」って負のオーラを放ちまくる人。「あの人が私にひどい事をしたんです」と言うけど全員の話を聞くとあの人や周囲を傷つけているのは貴方ですね……という人。「みんなが私を避けるんです、事務的な話しかしてくれない」というけど、周囲の話を聞くとその人が相応の理由で周囲に嫌われていたり。(それは特性の無理解の事もよくあるけど、でも、理解のために勉強する時間は業務時間中にないし、業務時間外にする義務も義理もありません)
「障害者なのに優しくしてもらえない」も、残念ですが、大抵の人には攻撃されてる判定です。「貴方の優しさは足りていません」って事なんで。
正直なところ、周囲を攻撃する人、他責する人はむやみに企業に紹介できません……が、環境がバチッと合うとそんなことしないかもしれない。
先述したように攻撃とは、助けを求める叫びですから、助けてもらう必要のないベストマッチの環境に行けば消失する可能性もある。
就労移行支援事業所は訓練施設と言えど、というかだからこそ、様々な特性のある人が居て人間の合う合わないは激しくなりやすいし、職場ではないのでとりあえず仕事を軸にして会話してコミュニケーションして時間を過ごす事も出来ないので。
だから祈るように就職活動を一緒にやり、送り出す事はあります。もちろん他責が出てきたら定着支援ですっ飛んでいくし、本来月1回の面談くらいが定着支援の想定なんですけど、週1以上に訪問する羽目になるのも覚悟はします。何もサービス報酬とか加算とかはつかないですが。
3位:マメな人、動く人
動く人、これはなんだかんだ就職します。
この中には、ADHD的な衝動と多動で、支援員に何も言わずに応募して面接してきて「受かりました!」って言ってきて、えっ同行もしてないし顔合わせもしてないし、とか、場合によっては、障害伏せて就職したんですね?!三者面談とかできないですね?!というような事もあります。で、上手くいかなくてやめちゃったりはします、しますが、でもまた動いて、そのうちなんかマッチする職場に行けたり、支援員には知らせてくれたのでなんとか同行して顔を知らせて支援に入る事が出来たりもします。
勢いと衝動で動いておられて、ご本人もつい動いちゃって大変なんだろうな……と思うものの、でも、就職はしますし支援を入れられればそこそこなんとかなります。
そしてこれを言い換えると、マメに動いてる、って事ですね。
ここはもう障害あるなし関係なく「ちゃんと求人を数撃っていく人は当たる」んです。
障害特性や病気のために、数撃っていくのがしんどい人は多いし、しんどい人にはしんどいなりの、いい求人にきっちり準備するとか、見学や実習に行けてそこから選考してくれる求人(=そこまでいけば採用率高め)を探したりもします。
でも支援員としては「体力気力が許すなら数撃って……!マメに応募して……!」って思ってます。
で、障害や病気の重さという感じではなく「そこまでしなくたって」という雰囲気で応募数が少ない人が居て、そういう人は就職が決まりにくいです。
4位:資格を取る人(スキル的な意味ではない)
はい、これは「スキルアップしましょう」という意味ではないです。
これは「学習意欲があります」って事です。
あと「とにかく訓練期間、何かしらしてました」の証明です。
体調を整えるのに数か月以上かかる人は少なくないです。そこから、就職活動のための自己分析や、つらい過去の職歴を振り返ることなどいろいろやって、就活を始めるまでに1年かかったりとかもよくあります。
それは別に、正直にそれを言えばいいんですけど、就職活動を開始して、半年とか就職活動して、なかなか決まらない。3位の「マメに動く、沢山動く」ができない人の場合、どうしても応募できる求人は少なくなり、マッチする職場を当てられる率も高まらない。
この時に、就活以外何もしない人が居ます。スキルはあるから、とか、スキルを求められない求人を探してるから、とか。
でもね、そうするとね、「就活できる体調になるまでに1年かかりました」までは良いんですけど、そこからさらに半年何してた?ってなります。
そこを、資格取得してれば説明できるんですよ。
それとですね、資格取得していると「学ぶ意欲がある」アピールができます。だから、別に就職したい分野に深い関係がある資格とかじゃなくていいです。興味本位の資格でいいです。
いい求人を待ちながら、資格の勉強をする事で、面接を切り抜けやすくなります。
……が、これの本質は面接ではなく、「学ぶ意欲がある」ことです。何か資格取ろう、今までよりも何かを磨こう、という人は、仕事にも意欲的になりやすいです。そうすると就職後の評価も良くなり、しんどくなりにくくなります。職場で役に立ててない(が、工夫や学びをする習慣はない)という状態になると、自信を無くしてしまい、メンタルを崩すんですよ。
番外:自己理解している人、適切に助けを求められる人
実は本当はこれが一番重要だし強いんです、が、何故番外なのかというと、これがきちんと出来てる人なんてほとんど居ないからです、っていうか、これが出来てる人、健常者にも支援員にもそうそう居ないと思います。私も全然自信ない。
とはいえ、これ、きちんと、でなくても、少しでも出来ていると全然違います。
自己理解自己理解って唱えまくりがちで、「なにそれ」「自分の事なんてわかってるよ」って反応をもらう事もしばしばなんですが、でも……
・自分が、何のせいで今までつらくて、行き詰っているか。
・自分が、本当は何が得意で上手くできるのか。
・自分が人間関係上手くいかない理由の根っこを理解しているか。
などが分からないまま、苦しみながら就活してる人、すごく多いです。支援員から見たら「それのせい!!」って思うんですけど、それをそのまんま言ったところで決して認めません。
それは別に、短所の指摘とかつらい過去のほじくり返しとかに限らないんですよ。(というかそれをやるのは危険だから普通こっちから言わないです。自己理解が進めば自分で見つけたり、話したりします)
「家族との関係で辛い状態だと思いますよ」と言っても自分を責めるばかりだったり。(これは場合により辛い過去に繋がってくるので、言えない場合も多いですけどね)
「貴方はぜったいにAという職種に就職したいとがんばってますけど、Bの職種に必要な能力がものすごく優秀なんですよ」というのを認めなかったり。でもAに就職したいんです、っていうのじゃないんです。「いえ、Bは全然優秀じゃないので、Aに就職したいです」みたいになるんですね。
人間関係にしても、「私が無能だから」とか「性格が悪いから」とか「周りの環境が悪かったんです」とかで片づけてしまう人が多すぎる。実際の所「能力が優秀だから仕事を押し付けられまくってた」「本人なりに周囲の心配をしているのだが、一般的な気遣い方からズレている。しかしそれに気付いてない」「周りの人は実はきちんと気遣っていたが、すべてはねのけており、なのに他のみんなが仲良く喋っている事を仲間はずれにされてると見なす」とか色々……
自己理解ができれば、自分に必要なものが分かる。そうしたら、適切な助けを求める事が出来る。
障害理解というのもこの範疇です。
「怒られると覚えられないから、優しく指導してほしい」という人は多いんですけど、ていうかほとんどの人がそうでしょう。でも、「自分はどういう言われ方だと怒られたと認識してしまうのか」「自分はどういう指導ならば分かりやすく覚えやすくて、優しいと感じるのか」という理解が出来ている人は少ないです。怒られたら誰だっていやでしょ!と言いながらその「怒られた」の基準が世間からはかなりズレている、という人は少なくありません。
これを番外としているのは、これらが全く不十分でも、挙げている4つが出来るならば、多くの方は就職していくからです。人間、人生の課題を解決するよりは就職の方がまだ難度が低い事が多いですよね……。
まとめ
残念だけど、勤怠の安定を企業は一番求めてる。
でも、情緒が安定していて他責せず人に気配りできる人だったら理解あるいい職場を見つけられる率は意外とある。
数を撃てる人は強い。ちょっと暴走してても、それでも、動ける人は強い。
療養中は良いのだけど、就活できる状態になってから就活が長引くのであれば「学ぶ意欲がある」というのを具体的な形で示していける方がよい。
というような感じです。
「それが出来れば苦労しないよ!!」というとこも多いかと思います。
でも、企業側も、営利を求めてるので、「障害者雇用1人分を確実に取れる人」「ぶっちゃけ仕事はそこまでできなくていいけど、周囲の雰囲気を悪くしない人」を強く求めています。
これはあくまで、何処かの支援員の私見です。
いやいやそんな事ないよ! とか、 もっと別のポイントを教えてほしい。とかあれば、ご意見ください。
