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時空を超えてロマンがダダ洩れ!

なんだかんだとお気に召して『キャプテン・フューチャー』偏向でスペオペ活動が進んでいます。今回はTVアニメ版の第5話から第8話のエピソードの原案となっている第8作『時のロスト・ワールド』を読了しました。


8作目がアニメ版で2番目に放送された理由

原作を元に4回に分けてアニメ放送された『時のロスト・ワールド』ですが、アニメと原作に触れる前は「どうして第8作目の話をアニメで2番目に持ってきたんだろう?」と疑問に思っていましたが、視聴してみて納得。前エピソードであるメガラ星との時空を超えた繋がりが設定として盛り込まれていたのでした。

アニメ『キャプテン・フューチャー』第8話「遥かなり50億年の旅」より

最初にアニメ版のほうを観た時は普通に「なるほど、そういうことだったのか」くらいの印象だったんですが、続けて原作を読んでみると、そんな設定はどこにもない! よく考えてみれば、原作にはメガラ星なんて出てこないんですから当たり前です。つまり、原作版では何の関係もない2つのエピソードが、アニメ版では1億年という時を隔てて繋ってるんですよ。そのことに気付いて、ちょっとゾクゾクしちゃいました。アニメ版を作った日本のスタッフ、粋な改変をしてくれてます♪ 原作には無かったロマン溢れる設定をクリエイトしてくれてありがとう。それ故に、視聴者の記憶がホットなうちの2番目放送となったわけですね。

NHKさんからの「木星に人が住んでいるという原作設定を、現代の科学考証に沿って構成し直して欲しい」というオーダーをもらったときに、制作サイドは気乗りしなかったようですが、それを逆手にとって独自の演出に仕立てあげたのはさすが。

で、実際になにがどう変わっているのかは詳しくはネタバレになるので書きませんが、「メガラがクウムで、ユグラがヌーン」とだけ書いておきます(笑) これはアニメと原作小説の両方を摂取しないと楽しめないですw

とにかくまあ「こういうのが僕の求めてるスペオペなんだよ!」とスッキリしました。『宇宙戦艦ヤマト』でいうところの、ガミラスとイスカンダルが兄妹星だった!みたいな設定とか、『STARWARS』でいうところの、ルークとレイアとダースベイダーは家族だった!みたいな設定とか。

太陽系から出ないのにこのスケール感!

スペオペ、宇宙活劇といえば、太陽系を超えて銀河をまたにかけ・・・みたいな印象ですが今回の話は太陽系から一歩も出ません。その代わりフューチャーメンは1億年の時間をまたにかけて活躍しちゃうのです。

彼らは、とあるミッションのため時間移動を行った際、予期せぬトラブルによって30憶年(アニメでは50億年)前まで遡ってしまいます。眼前で太陽系が誕生する以前の太陽や、そこから太陽系の星々が生まれてくる様子なんかをタイムラプス映像みたいに目撃しちゃうんですよ(笑) もともと時間移動は、コメット号自体は同じ座標にとどまり続ける設定なので、窓の外でどんどん太陽系が出来上がっていく様子をキャプテンたちが眺めている描写は、実にロマンティックでした。今の世の中ならともかく、1941年にこんなイメージを描けるって凄くないですか?

ハヤカワ文庫『時のロスト・ワールド』257ページ挿絵より

それだけでなく無事に30億年後から戻ってきたあとも、カタイン星の崩壊とアステロイドベルトの誕生だけでなく、その影響で起きた地球の第2の月の崩壊(その破片の落下によって、それまでツンツルテンだった月に無数のクレーターができた)や、カタインの巨大な破片が土星の輪になっていく様なんかも、キャプテンたちはリアルタイムで目撃しちゃうのです。

こんな宇宙規模のスペクタクルを、キャプテンたちと一緒に妄想の世界で楽しめるのが『時のロスト・ワールド』の面白さ。なんなら、中盤では恐竜のっしのっしと歩く世界での冒険もあるので、コナン・ドイルの『ザ・ロストワールド(失われた世界)』や『ジュラシックパーク』シリーズのテイストも味わえてしまえるお得な一篇といえるかもしれません(笑)

ハヤカワ文庫『時のロスト・ワールド』巻頭カラー挿絵より

さらにこの1億年前の太陽系では、地球とカタイン星、火星の住人たちが同じ星を崇拝しているということにフューチャーメンたちは気付くのですが、時間移動する中で、はるかな昔、外宇宙から太陽系に移民してきた宇宙船団を目撃したことで、3つの星の住民が同じ祖先を持っていたことが判明するのです。これもまた物語後半の胸アツプロットです。ああ、ちょっとネタバレしすぎたかな💦

「もののあはれ」の余韻に浸る

今回、全編を通して感じたのは「もののあはれ」でしょうか。そういうムードは日本人ならではの感じ方かもしれませんが。例えば、物語の中で、お祭りに浮かれた人で賑わう1億年前の火星の街を歩くキャプテンが、こんなことを思うシーンがあります。

"太陽系世界を支配する不滅の法則とは、不滅が存在しないということかな" カーティスはしみじみと考えた。"この文明だって、永遠に栄えつづけるとしか見えないが、まもなく亡びてしまうのだ。それぞれの 惑星世界 でいったいどれだけの数の文明が 栄枯盛衰 をくり返したことやら・・・・・・・"

ハヤカワ文庫『時のロスト・ワールド』126ページより

この物語では地球や火星、カタイン星だけでなく金星にも文明が存在していることが語られていますが、どの文明も環境変化に適応できず徐々に滅んでいきます。その未来を知っているのはキャプテンたちのみ。今回、キャプテンたちが救いの手を差し伸べた人々も、その先のことは不明です。

地球上でもマヤやアステカや、はたまたムーやアトランティスなど滅びた文明の話は山ほどありますが、もしかしたら宇宙の、いや太陽系の中にも僕たちの知らない高度な文明が過去に存在していて、僕らはまだその痕跡に辿り着いてないだけかも・・・。そして僕らの文明もいつかは、そんなふうに痕跡も残さずに塵となる日が来るのかも・・・なんて切ない想像が膨らみました。

最近は日本でも「2025年7月に大きな災害が訪れる」「隕石が衝突して地球滅亡か」なんて話題でザワザワしております。まあ、防げる災害は備えて防ぎたいもんですが、隕石とか自力じゃ防げないものはもうどうしようもないです。

作品の中では、断末魔のカタイン星で、ダンスパーティを開く住民たちの姿だけでなく、彼らに招かれてキャプテンたちも最後の晩餐を楽しむ描写があります。優美な音楽が流れる中、ささやかな食事や入浴を楽しんだあと、自分たちの美しい世界を後ろ髪をひかれつ立ち去る人たちの姿は、なんともいえず切なく、それだけに愛おしい。僕は自分の暮らしていた世界が無くなってしまったら何を思うのでしょうか。

そんなセンチメンタルなエンディングの作品ですが、時を超えて大活躍するキャプテンたちに、ワクワクしっぱなしの一遍でした。ローダン第1巻はまだ読み終えられないのに、2冊目を読破できる『キャプテン・フューチャー』はスペオペ入門編に実におススメです♪

最後に、原作版のこの場面について。アニメ版から先に見ると結構衝撃を受けちゃいます。アニメ版には引き継がれなかったこういう展開は、やっぱ原作はオトナ向けになってるんだなーと思いました。これもある意味「もののあはれ」と言えるのかもしれません。

ハヤカワ文庫『時のロスト・ワールド』177ページ挿絵より

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