ホテルや飛行機で大切にしている、たった一つのこと
ホテルや飛行機が好きで、さまざまなところに出かけますが、「どうしていつも、スタッフの方とよい関係をつくれるのですか」と聞かれることがあります。
これは、もう1つしかありません。
「察してもらうのをやめる」ことです。
「葛山さんって、本当にスタッフの方々と話していますよね。」と同行者が驚くほど、スタッフの皆さんと話しています。
話す内容は様々ですが、ホテルや航空会社のスタッフの人が挨拶してくれる前に、自分から挨拶しますし、相談があるときは、「相談があるのですが」と言って自分から伝えに行きます。
例えば、機内で仕事に集中したいときがあるとします。食事が始まると、料理は何回かに分けてサーブされますが、その料理を楽しみたいと思いつつ、一方で、できるだけ早く食事を終えたいと思うこともあります。
その場合は事情を伝え、「メインの時に、前菜とデザートも一緒に持ってきていただくことは可能でしょうか?」と、リクエストを具体的にお願いします。
自分が快適に過ごすために、お願いできる範囲で希望を伝え、相談してみる。そうすると、相手にもこちらの事情を理解してもらえます。やり取りを重ねるうちに会話も生まれ、スタッフの皆さんと自然によいコミュニケーションがとれるようになります。その積み重ねが、滞在や移動の時間をより快適なものにしてくれるように感じています。
もちろん、やり取りは事務的なことだけではなく、今回の旅がどのような旅なのかを、相手の仕事の邪魔にならない程度に話すことも時々あります。
また、とてもよいサービスを受けたときには、何が嬉しかったのかを、その場で伝えるようにしています。そして何より、自分自身が機嫌よくいることを心がけています。
それだけでも、機内やホテルでの過ごしやすさは変わります。
相手もサービスのプロフェッショナルですから、こちらの行動や表情から、好みや気持ちを察してくださることがあります。
例えば、あるホテルで朝食をとっていたときのことです。そこで出されたコーヒーが私の好みに合い、何杯かお代わりをしました。その際、「このコーヒーはおいしいですね」とお伝えしていました。
その様子を見ていたホテルのマネジャーが、チェックアウトの際に、「お土産にどうぞ」と、そのコーヒーを持たせてくださったことがあり、とても感動したことを覚えています。
こちらがお願いしなくても、相手が気づいて対応してくださることも多々あるのですが、ただ、それは決して当たり前のことではないと理解したうえで、私自身は、機内でもホテルでも基本的に「待ち」の姿勢はとらず、必要なことや感じたことは自分から伝えるようにしています。
それは、以前ある人から聞いた、コミュニケーションについての言葉が忘れられないからです。
「あなたからコミュニケーションの橋を架けなさい。それが誠実さです」
さらにその人は、「その橋を相手に渡ってきてほしいのなら、『こちらに来てほしい』ということも、きちんと伝えなさい」と話していました。
なかなか深い言葉です。相手が橋を架けてくれるのを待っているだけでは、何も始まりません。自分から橋を架け、必要であれば、渡ってきてほしいという意思も伝える。それもまた、誠実なコミュニケーションであり、ホテルや飛行機で快適に過ごすための極意の一つなのだと思います。
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