京セラ美術館 2026 夏
Season 2 , 3 of 6
入口の手前で降り始めた雨雫が頬に落ちる。
美術館に入った身体が閉まっていく。
濡れ始めた緑が視界を横切る。
一段落ちた照明が瞳孔を開く。
駆動しない作品たちが視界を通り過ぎて行く。
スーパーの品出しと通勤の映像。
日常に瞳孔が緩む。
脚に力が戻る。
暗い部屋が脚を止める。
電球の引力に抗い、諦める。
物質を吊るしているワイヤーが光を止める。
車輪の影が固定される。
人がたは光に押され、影に抑えられる。
影が光を増殖させる。
影は壁に沈んでいく。
壁は光を受けて迫ってくる。
身体が部屋から押し出される。
戻った明るさが虹彩を萎縮させる。
展示場からはじかれる。
濡れそぼった緑が視覚を戻す。
絶え間なく降る小さな雨粒で熱が落ちていく。
