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スペルマゲドン 精なる大冒険 感想

男1人につき、精子キャンパスが1校ずつ設立されてるとなると胸が熱くなる。
自分の中の大学に通う精子達くんは、僕に向かってどのような感情を向けているのだろうか。

ディズニー様とピクサー様には大変気の毒であるが、「インサイド・ヘッド」を引き合いに出したくなる気持ちは非常に分かるほど、コンセプトは似通っている。
コントロールセンターで脳を動かすオペレーター達の認識では、性的興奮によって脳のシステムがぶっ壊れる、という解釈らしい……笑

若者はミュージカルに嫌悪感を示す者も多いし、B級的な肩肘張らないコメディとして捉えるなら、高校生辺りの年代に向けた性教育ミュージカルビデオとして最適解だと思う。

「受精」という大きなゴールに向け、一般精子達は夢見て突き進む存在として機能するだけでなく、ヴィランが成し遂げたい野望ともシンクロしている設定がユニーク。
※僕はMarvelオタクなので、校長が身に纏うバトルスーツに、まんまアーク・リアクターが装填されてるのはかなりテンション上がった😂

そして、その計画の果てに待つスペルマゲドン(性行為)という一大イベントが物語の骨子となるのだが、副題である「現実世界の恋愛模様」とのシナジーがかなり強固。
人間側で青春イベントが訪れる度に、身体内のオペレーターや精子達が、まるで厄災でも到来したかのように振り回される表現が面白すぎる😂

「あれがカウパーさん……!?」とか言って、ツチノコやネッシーのような幻の存在を見ちゃった!みたいなリアクションをする精子達もおもろすぎる。
しかも当のカウパー達も、フリーメイソンを彷彿とさせる、どこかミステリアスで上品な立ち振る舞いをしてんのもウケる。

また、手違いで主人公達が大腸に迷い込むプロットも、インディ・ジョーンズ的なスケール感があって中々に面白い。
しかし、うんちうんちと連呼する曲は流石に気持ち悪かった。

一方で、本作は精子という題材だからこそ、生死の倫理に妙な甘えがないのも好感が持てる。
生命循環の理を冒険の中で結論付けているので、精子といえどちゃんと血を吹き出してグロく死ぬし、死を憂う気持ちも備えている。
精子(人間でいう命)を、娯楽的に消費する我々に対して、警鐘を鳴らす役割も担っているのだろう。

物語終盤には、卵子というラスボスにして夢の終着点でもある、破滅と成就の二つの役割を担った存在が登場する。
卵子の位置付けも面白く、天使と悪魔のような二面性を持つ特別枠として描かれており、ビジュアルも星のカービィ的な可愛さを全面に出しながら、無意識に精子を殺すという残虐性も孕んでいる。
キャラデザにおいては、卵子を始めとした全キャラクターが個性的で、評価できるポイントのように感じる。

そしてラストでは、人間達の性行為はお互いが満足する結果に終わり、精子界のヴィランは滅され、主人公達はスペルマゲドンという厄災級の生存競争を乗り越えて着床する。
子供ができるまでの過程、人間と身体細胞の戦いをコミカルかつ残虐に描きながらも、あくまで妊娠はハッピーエンドだよ、という前向きなミュージカルとして締められる。

前述の通り、映画好き視点で一本の作品として観ても、楽しく教養を深められる若者向け教材として観ても、エンタメ映画という括りに分類するのであれば非常に素晴らしい作品でした。

一つだけ苦言を呈するなら、ニキビだったり歯の矯正だったり、精子達の容姿にすらルッキズムへ配慮したデザインは、生命の可能性そのものにまで見た目の優劣が持ち込まれているようで、かなりやるせない気持ちになった。

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