【現代版】落語・鶴
眠らない町、新宿歌舞伎町。
ネオン街灯が明るく照らし、酔っ払いとキャッチの声が木霊する。
「アニキの背中、いつ見ても見事っすね」
とある銭湯で舎弟が言う。
「でもなんで、松に鶴二羽なんすか?」
身体を拭きながら、雑談を続ける。
「そんなん決まってるやろ。かっこええからや」
ぶっきらぼうに応える俺に構わず舎弟は”なるほどな”と納得した。
次の日、舎弟はこんなことを尋ねてきた。
「鶴って、なんで鶴って名前なんすかね
アニキ知ってます?」
「スマホで調べたらええ」
「それもそうか
アニキはやっぱり頭がキレますね」
ポンポンと舎弟は自分の服のポケットを触ると
「あかん。
スマホ、家に忘れてきましたわ…」
ガックリわかりやすく落ち込む舎弟。
なんとなく、見てられない俺は適当な言葉を話す。
「そうやな。
確か、ある老人が舞の練習を岬でやってたんやて」
舎弟は、目をキラキラさせ話を聞いている。
「んで、東の方から一羽の夫の鶴がツーーっと飛んできて
岬の松に止まった。
そしたら、もう一羽妻の鶴がルーーって飛んできたんやて
二羽が松にとまると絵になるのなんの。
その姿がキレイやったから鶴言うらしいで」
「アニキは何でも知ってますね
確かに絵になるなぁ」
舎弟は話に納得したのかウンウンと小首を振って頷いた。
「そかー。
西の方から飛んできたんですね」
「西ちゃう。東や」
「すんません!東ですね!」
そんな会話があった。
「んで、アニキの鶴はかっけぇっすわ。
確か、鶴の由来も聞きまして…」
舎弟は、仲間に話して聞かせる。
「東の方でお婆さんが洗濯してたんですわ」
「洗濯??なんで?」
「川があったからやないですか?
それよりここからがすごいんですわ」
「お婆さんが川で洗濯してると、一羽のオスの鶴が
ツルーーーって飛んで川の近くの松に止まったんですわ
んで、もう一羽メスの鶴が……メスの鶴は…
なんやったかな…」
「???
意味わからん。」
「お婆さんが川で踊って…?鶴が飛んできて
ツルーーーーって滑って…」
「もっと意味わからん」
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