千字文解説
はじめに
こんにちは
今回は私たち書道サークルが学祭にて展示予定の千字文について解説していきます。
今回千字文について調べてみて面白いなと思ったので共有したいと思います。
千字文についての経緯はこちらのnoteから!
1 千字文とは
千字文とは中国南朝・梁時代(502~549年)のころ、皇帝が文章家として有名な文官、周興嗣に文章を作らせた千字から構成される作品です。
文字は能書家として有名な王羲之の字を模写して集成し「書道の手本」にしたと伝えられています
完成当初から非常に流行し宋代以後全土に普及しました。
その特徴として挙げられるのは千字すべて異なるものが用いられていて一文字も重複していないということです。
2 意訳(簡略版)
千字文は広くいうと当時の宇宙の理や講釈を説くような内容になっています。
簡単に紹介します。
冒頭:
宇宙の成り立ちについて
天と地が広がり壮大な宇宙が存在している。太陽、月は満ち欠けしており星々は秩序正しく並んでいる。
差し当たるフレーズ→天地玄黄 宇宙洪荒 日月盈昃 辰宿列張
序盤:
自然の恵み
寒い季節が来れば暑い季節が去り、秋には収穫し冬には蓄える。自然は規則正しくめぐりその恵みで人は生きる
差し当たるフレーズ→寒来暑往 秋収冬蔵 果珍李奈 菜重芥薑
中盤:
人間社会の発展
人々は群れを作り国を築き都を整えた。法律や制度が作られ、文化が栄えた。
差し当たるフレーズ→坐朝問道 垂拱平章 遐邇壹体 率賓帰王
学問の大切、家族博愛
学問を身に着けた者は社会で活躍できる、親を敬い兄弟仲良くし家族を大切にせよ
差し当たるフレーズ→知過必改 得能莫忘 学優登仕 攝職従政 孔懐兄弟 同気連枝
人としての徳
約束を守り言葉に誠実に、人に対して思いやりを持ち自己を律しなさい、成功しても驕るな
差し当たるフレーズ→省躬譏誡 寵增抗極
終盤:
歴史上の人物を手本に
昔の優れた人物の行いを学び自己の戒めとしなさい
差し当たるフレーズ→求古尋論 散慮逍遙
老いと人生
人はやがて老い、栄華も永遠でないので日々を正しく生きよ
・全体簡単意訳
この世界には天地自然の大きな秩序がある。四季は巡り万物が存在し育っていく。人は国や社会を築いてきた。人として生きるなら学問を修め親を敬い、礼儀を守り、誠実であれ。成功しても驕らず、先人の知恵に学び、自らを磨き続けなさい。人生は長くなく、栄華も永遠ではない。だからこそ徳を積み、穏やかに生きることが大切である。
全体をまとめると
「宇宙→自然→国家→法→家族→修養→人生」という流れで構成されていると思います。宇宙から始まった話が最後は個人へとつながっていきます。
千字文は皇帝が漢字の練習書として作らせたものですが、全て異なる字ながらもちゃんとした詩・文章になっていることがわかります。
3 千字文について面白いデータ
千字文やその作者である周興嗣や王義之について面白い文献が散見されたので紹介したいと思います
・千字文は周興嗣が一晩で完成させたらしい
皇帝から命じられ千字文を編纂した周興嗣、漢字の練習帳として作成されたもので宇宙や世界、人生について論じられており内容もかなり深いものであり、日本にも広く伝わるほどで高く評価されていることがわかります。
しかしそんな千字文はなんと一晩で完成させたという逸話があります…!
一人で作ったのかは定かではありませんが中国の官僚にはそんなにすごい人がいるのですね。翌朝には髪が真っ白になっていたという話もあります。もうちょっとゆっくり作ってもよかったのでは…
私はこの伝説はさすがにないだろと思っています。
・1000文字なのに1000文字ではない!
紹介した通り同じ字を使っていないという特徴ですが実は現存する版によって微妙に違うとのこ戸らしいです。
というのも、中国の歴史の中で様々な側面があるらしく、
・皇帝の名前を避ける
・異体字への変更
・写本の誤写
などが起きたそうです。そのため同じ字が重複していたり別字にさし変わっていたりします。
たしかにたまに漢字が置き換わったりしてるので書いていて間違ってしまうことがあります。千字文はトラップ有りなので書く際にはご注意を。
・東アジア共通の教科書だった
千字文は中国はもちろん日本にも飛鳥時代に伝わり、朝鮮、ベトナムなどでも長く漢字教育の基本教材だったらしいです。日本では江戸時代に寺子屋や書道教育でも盛んに使われたそうです。
中国、日本では漢字がよく使われているイメージがありますが他のアジアの国でも漢字は広く伝えられているそうで千字文の伝達がアジアを形成したのかもしれません。
・王義之

・王義之は字が上手すぎて「書聖」と呼ばれた
王義之は書の聖人「書聖」と呼ばれていたらしいです。有名な作品は蘭亭序。

中国ではしばしば「書道界のモナリザ」のような扱いを受けているそうで最高傑作と考えられています。
・王義之の著作「蘭亭序」は今は現存していない
実は今は王義之直筆の蘭亭序は現存しないらしいです。
有力な説では皇帝唐太宗が蘭亭序を異常なほどに愛し「死後も一緒に埋葬してほしい」命じて墓にいれたため失われたといわれています。
昔は今以上に「書道」への位置づけが高かったことがうかがえます。
・王義之はガチョウマニアだった!?
王義之は大のガチョウ好きとして有名でした。一説によるとガチョウの首の動きを見て筆法を研究したといわれています。
後世には字を書く人はガチョウを見るといわれるようになったとか…
・墨池の伝説
実は王義之は毎日書を練習しまくっていたらしく、筆を洗っていた池の水が真っ黒になったという伝説があります。
これはもちろん誇張ではあると思いますが王義之が努力家でもあったということがわかります。
この伝説を見て思ったのが、

この墨池って王義之の伝説から着想されたのでしょうか。
参考資料
(要翻訳)
まとめ
いかがだったでしょうか。千字文には様々な逸話、伝説、言い伝えがありとても面白かったです。みなさんも是非調べてみてください。
4年 I.R
