見出し画像

問題社員の退職勧奨で「訴えられない」5つの鉄則|不当解雇・パワハラと言われない進め方

「もう、あの社員には限界だ。明日から来なくていいと言いたい……」

ルール違反、繰り返される遅刻、何度指導しても変わらない態度。
現場のリーダーや経営者の皆様が抱えるストレスは、想像を絶するものがあります。
しかし、感情に任せた不用意な一言が、数ヶ月後には「不当解雇」「パワハラ」として、数百万円の慰謝料請求という牙を向いてくるのが現代の労務リスクです。

こんにちは。大阪弁護士会所属、弁護士歴20年目の吉田浩司です。

私はこれまで20年間、多くの中小企業経営者様の「身近なパートナー」として、泥沼化しそうな労働トラブルを未然に防いできました。
弁護士と聞くと「怖そう」「敷居が高い」と感じるかもしれませんが、私の役目は怒ることではなく、あなたが守りたい会社と職場環境を、法律の盾で守り抜くことです。

今回は、一歩間違えれば「違法」となりかねない問題社員への退職勧奨について、安全かつ円満に解決するための「5つの鉄則」をプロの視点から徹底解説します。

この記事を読み終える頃には、あなたの不安は「具体的な次の一手」へと変わっているはずです。

✅ オンラインで無料法務セミナーを開催中です。



「退職勧奨」と「解雇」の決定的な違い|合意退職を成立させる法的境界線

まず、大前提として知っておくべきなのは「退職勧奨(たいしょくかんしょう)」と「解雇」は全く違うということです。

退職勧奨の法的位置づけ
  • 解雇: 会社側からの一方的な労働契約の解除(クビ)。

  • 退職勧奨: 会社側から労働者に対し「退職してはどうか」とお勧めし、双方が合意して労働契約を終了させること。

退職を提案すること自体は適法です。
しかし、労働者が「辞めたくない」と言っているのに、長時間の面談を何十回も繰り返したり、大声を上げたり、嘘の理由(証拠もないのに横領を疑うなど)で辞めさせようとすると「違法な退職強要」となり、慰謝料や休業補償を請求される事態に発展します。

【面談回数は2〜3回まで】違法な「退職強要」とみなされないための安全基準

応じない労働者に対する面談は「2〜3回まで」「1回あたり1時間以内」に留めるのが安全です。


上司が陥る4つのNG対応|人格否定や録音への萎縮がリスクを増大させる

実際の現場でよくある、上司が主導権を握られて失敗してしまうNGパターンをご紹介します。

業務指導のNG対応例

1. 論点をすり替えられてしまう

営業社員に対し、事前の値引き承認を取らないことを「ルール違反だ」と注意する例でいえば、指導の最中に「でも私、売上は出してますよね?」と返され、結局ルール違反の指導ができずに終わってしまうパターンがあります。このように相手のペースに飲まれてはいけません。

2. 「合わないんじゃないか」と曖昧に伝える

「うちの会社には合ってないんじゃない?」といった言葉は、相手に真意が伝わらないばかりか、伝え方や話の流れによっては「人格を否定された」「パワハラだ」と受け取られかねません。

3. 「録音してますよ」と言われて萎縮する

最近の労働者は、スマートフォン等で秘密録音を行う方が多くいます。急に「録音してますよ」と言われて慌ててしまい、言うべき指導ができなくなるのはNGです。

4. その場で決断を急かす

退職は、結婚・離婚と同じくらい、人生における重大な決断です。「今日中に決めてくれ」と急かすと、後になって「無理やり書かされたから無効だ」と争われる原因になります。必ず持ち帰って検討する時間を与えましょう。

NG例のポイント

円満解決を実現する4ステップ|複数名での対応と「選択肢」の提示法

では、どのように進めればトラブルなく退職勧奨を行えるのでしょうか。ポイントは「入念な事前準備」と「毅然とした態度」です。

改善例

① 必ず複数名で対応する

「言った・言わない」のトラブルを防ぐため、1対1の面談は避けましょう。上司のほかに、記録係としてもう1名(人事担当者など)を同席させるのが基本です。

② 選択肢を提示する

「辞めろ」と1つの道しか提示しないと退職強要になりかねません。以下のように選択肢を用意します。

  1. ルールの厳守
    今後は、絶対にルールを守ってもらう。

  2. 配置転換
    ルールが守れないなら、営業事務など別の部署・職種へ異動する(給与変動の可能性あり)。

  3. 退職
    どちらも受け入れられないなら、条件付きで退職する。

どの道を選ぶかは、あくまで「本人の判断」であるというスタンスを保ちます。

③ 録音されても堂々と対応する

「録音してますよ」と牽制されたら「業務内容の確認と指示をしているので、記録されても大丈夫ですよ」と毅然と返しましょう。
あるいは、就業規則で「社内での無断録音禁止」が定められている場合、その点を指摘することも有効な対策です。

④ 会社側の「退職条件」はむやみに動かさない

退職勧奨に応じてもらうための条件(解決金として給与の〇ヶ月分を支払う、有給を全消化させる等)は、会社側から提示します。
労働者側から「弁護士に聞いたら低すぎると言われた」と揺さぶられても、焦って条件を釣り上げてはいけません。

条件交渉に引きずられ強硬要求に押し切られるパターン

遅刻・無断欠勤を繰り返す社員への正しい対処法|即解雇が危険な理由と記録の残し方

ルール違反だけでなく「無断欠勤や遅刻を繰り返す」社員への対応も非常にご相談が多いケースです。

勤怠不良の法的整理

実は、数回の遅刻や欠勤だけで「懲戒解雇(クビ)」にするのは、裁判所の基準では非常に困難です(過去の最高裁判例でも、アナウンサーが2回寝坊して放送事故を起こしたケースでさえ解雇無効とされています)。

【勤怠不良社員への正しいステップ】

勤怠不良への対応策
  1. 客観的な記録と注意
    「いつ、何時間遅刻したか」「それによって周囲にどんな迷惑がかかったか」を客観的に記録し、LINEやメール等の残る形で注意・指導を繰り返します。

  2. 就業規則の活用
    「連絡なき欠勤が14日以上続いた場合は、自己都合退職とみなす(自然退職)」といった規定を就業規則に定めておき、それに則って処理します。

  3. 休職制度の案内
    メンタル不調が疑われる場合は、受診を勧め、傷病手当金を受給しながらの休職を打診します。
    それでも復帰が難しければ、退職勧奨へと移行します。

感情的に「明日から来なくていい!」と怒鳴るのは絶対にやめましょう。


【まとめ】会社を守り抜くための5つの鉄則|経営者が一人で抱え込まないために

退職勧奨を成功させる5つの鉄則
  1. 入念な準備をする(指導・勧告の目的、言うべきこと・言ってはいけないことの整理と段取りの確認)

  2. 1対1を避け、複数名で対応・記録する

  3. 選択肢(オプション)を用意して提案する

  4. いきなり退職を迫らず、まずは「業務改善の指導」という段階を踏む

  5. 威圧的・感情的にならず、淡々と毅然とした態度を貫く

社員との話し合いは、大変な精神力を要します。経営者や人事担当者様が一人で抱え込み疲弊してしまう前に、ぜひ専門家を頼ってください。

「こんなことで弁護士に相談していいのかな?」
「まだ裁判になっているわけじゃないし……」

そう思われる段階からご相談いただくのが、実は一番のトラブル予防になります。当事務所(TMG法律事務所)では、30分の無料個別相談(Web対応可能)を実施しております。退職勧奨のシナリオ作成や面談のサポートも行っておりますので、どうぞ肩の力を抜いて、お気軽にお問い合わせください。

あなたと一緒に悩み、会社を守るための最善の解決策を一緒に見つけていきましょう!


この記事の執筆・監修者

吉田 浩司(Koji Yoshida)
TMG法律事務所 代表弁護士(大阪弁護士会所属 登録番号33866)

【経歴・実績】

1999年:神戸大学文学部哲学科(社会学)卒業
2004年:(旧)司法試験合格
2006年:弁護士登録(大阪弁護士会)
2010年:TMG法律事務所 開設

【専門領域・活動】

弁護士登録以来、約20年にわたり企業法務の最前線に従事。「経営者の良き相談役」として、中小企業の労務管理、トラブル予防、コンプライアンス対策に注力している。
難しい法律用語を噛み砕き、経営実態に即した「解決策」を提案するスタイルに定評がある。


オンデマンドで視聴する

こちらのウェビナーは動画で視聴可能です。理解を深めたいという経営層の方は、ぜひオンデマンドでご覧ください。

個別相談会のご案内

記事の内容を踏まえ、貴社の状況に合わせた個別相談(初回30分無料)をご希望の方はこちらからご連絡ください。

無料ウェビナーのご案内

TMG法律事務所は、中小規模の企業で起こりやすい問題やその対処、回避方法を的確にお伝えするセミナーを開催しています。
まずは無料セミナーにご参加ください。中長期的に、経営者・管理職のあなたを力強く支える顧問弁護士がここにいます。

▼この記事を読んだ方にはこちらのマガジンもおすすめです

#退職勧奨 #問題社員 #不当解雇 #パワハラ #労務管理 #中小企業経営 #人事 #マネジメント #弁護士 #リスクマネジメント #経営改善 #労働法 #企業のnote #TMG法律事務所

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集