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散文詩|喉の奥で、まだ (朗読可)



喉の奥で、まだ





僕の言葉はいつも

少し遅れてやってくる

頭の中ではもう

とっくに季節が変わっているのに


喉の奥では
まだ昨日に取り残されている

だから沈黙が増えた

そこには

飲み込まれた声や

言えなかった拒絶や

笑って誤魔化した痛みが

積もっている

いつからか

空気を守るために笑うようになった

場を壊さないための表情

愛想だけが上手くなっていく


あまりに長くそうしていると

笑顔は感情ではなく習慣になる

そうしていたら
よく優しいと言われるようになった

人は喋らないものに
都合のいい意味を与える

反論しないことと

傷ついていないことは

全然違うのに

夜になると

からだの奥で澱んでいた言葉が

ゆっくりと浮かび上がってくる

昼間
喉奥で消えていったはずの声

それを拾い集めて

並べ替えて
小さく歌う

歌と呼ぶには

あまりに不格好なものかもしれない

でも

声になれなかった感情には

それくらい歪な器がちょうどいい

途切れることに

ずっと怯えていた

ちゃんと話せること

ちゃんと笑えること

ちゃんと場に馴染めること

言葉につまずくたび


自分だけが

少し遅れている気がした

けれど

壊れたリズムにしか

宿らない呼吸がある

うまく言えなかった夜にだけ

残る声がある

僕はたぶん

それを拾うために

言葉の代わりに
小さく口ずさむ

声になれなかったものが


喉の奥で
まだ



息をしている




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