ボクは、レプリカを作らないのではない。:1976年への参加記録 #02
「レプリカは作らないのですか?」
そう聞かれることがあります。
答えは、「作れます」です。
実際、これまでにも数点制作してきました。
ただ、ボクが目指している場所は、そこではありません。
■ コピー精度ではなく、思考に触れたい
レプリカを作るということは、オリジナルにどれだけ近づけられるかを追求することでもあります。
その世界には、高い技術を持った素晴らしい作家がいます。
その方々を心からリスペクトしています。
一方で、ボクが知りたいのは、服そのものではありません。ヴィヴィアンやジョーダン、マルコムは、なぜその判断をしたのか。
なぜ、その表現になったのか。ボクが知りたいのは、その”思考”です。
■ もし1977年、ボクが制作スタッフだったら
制作をしていると、ときどき考えます。
『もし1977年、あの場にボクがいたら…。』
ただ指示通りに手を動かすのではなく、自分ならいろんな提案をするかもしれない。
それに対し、マルコムなら、どう返すだろう。
ヴィヴィアンなら、何と言うだろう。
そんな想像を繰り返しながら、一着を作っています。
もちろん、答えはわかりません。でも、その”思考”を想像し続けることに意味があると思っています。
■ ボクが受け継ぎたいもの
仮にマルコムから「それでは面白くない」と言われたら。ボクは反論する前に、「なぜですか?」と聞くでしょう。
ヴィヴィアンから「縫製が綺麗すぎる」と言われたとしても、同じです。
ボクが得たいのは、彼らの評価ではありません。
その奥にある思考です。
日々の制作では、誰も答えを教えてくれません。
『これで良いのか?』
その問いを抱えながら、自分で判断を重ねています。
だからこそ、もし二人と話せるなら、技術よりも先に、その考え方を聞いてみたいのです。
ボクは、レプリカを作らないのではありません。
コピー精度を競いたいわけでもありません。
ボクが受け継ぎたいのは、服の形ではなく、その奥にある”思考”です。
その思考を、自分なりに解釈し、現代へ翻訳する。
それが、ボクのアナーキーシャツなのだと思っています。
